人材の能力を見抜く質問とは?エンジニア採用面接のポイント
エンジニアの採用をはじめ、自社に必要な能力を持つ人材を見抜くには、適切な質問が必要です。面接時に相手の能力を確認するための質問を紹介します。必ず相手の能力を見抜けるわけではありませんが、自社に合った人材を選別しやすくなるでしょう。
目次[非表示]
- 1.エンジニアの採用面接で何を質問する?
- 1.1.採用面接における質問の重要性
- 1.2.エンジニアのスキルも質問で確認を
- 2.質問でエンジニアの能力を見抜くコツ
- 2.1.求める人材とスキルを明確にする
- 2.2.質問を深堀りする
- 2.3.コンピテンシーモデルを活用する
- 3.エンジニアの能力を見抜く質問
- 3.1.それまでの経験を確認する質問例
- 3.2.スキルを確認する質問例
- 3.3.問題解決力を確認する質問例
- 3.4.協調性やコミュニケーション能力を確認する質問例
- 4.自社に合う人材かを見極める質問
- 4.1.入社意欲を確認する質問例
- 4.2.性格や考え方についての質問例
- 4.3.エンジニアのキャリアに関する質問例
- 5.してはいけないNG質問
- 5.1.本人に責任のない事柄について
- 5.2.本来自由であるべき事柄について
- 6.オンラインでも応募者の本質を見抜くには
- 7.質問内容を吟味して採用面接に臨もう
エンジニアの採用面接で何を質問する?
採用面接で企業側がする質問は、相手の人となりや職務適性を確認するのに欠かせません。事前にどのような質問をするか決めておき、どういった基準で応募者を判断するか明確にしておく必要があります。
特にエンジニアの場合、自社が求める技術レベルに達しているかどうかも、質問で見抜く工夫が求められるでしょう。
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採用面接における質問の重要性
応募者にさまざまな質問を投げかけて、その回答によって業務への適性や自社の価値観に合った人材かを見極める方法は、すでに多くの企業が実践しています。 しかし、経験の浅い面接官の場合、人材の見極めとは関係がなく的外れな質問をしてしまうケースも少なくないようです。
採用後のミスマッチを防ぐためにも、どういった基準で人材を評価するのか人事部全体でコンセンサスを取り、質問の内容を吟味しておかなければいけません。 面接官の経験やスキルによって、人材の能力の見極めに偏りが出ないような工夫をするとともに、相手がリラックスして回答できる環境を整えることも大事です。
エンジニアのスキルも質問で確認を
業務を問題なくこなすための知識やスキルの見極めは、どの業種の採用面接でも必要です。しかし、特にエンジニア採用の場合、応募者のそれまでの経験やスキルをしっかりと確認しなければいけません。
自社が求める技術レベルに達しているか、必要な分野の知識・スキルを確実に有しているか質問でチェックしましょう。書類だけでは、本当に十分なスキルレベルに達しているか判断できないケースもあります。
技術面を正確に評価できる社員を面接官に据えることで、開発環境や使っていたフレームワークなどについて深掘り質問が可能です。実際、技術職の面接では、現場のエンジニアを採用面接に参加させている企業が少なくありません。
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質問でエンジニアの能力を見抜くコツ
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適した質問や面接の進め方は、求める人物像や企業としての課題によって変わるでしょう。しかし、応募者の能力や資質を見抜くための基本は、ある程度共通しています。エンジニア採用に特有のポイントも押さえておけば、面接の参考になるはずです。
求める人材とスキルを明確にする
まずは、自社がどのような人材を求めているのか、必要なスキルレベルを明確にしておかなければいけません。当たり前のように感じられますが、現場が本当に必要な人材を人事側が正確に把握していないケースは決して珍しくないようです。
エンジニアの場合は特に、面接官に技術面の知識が足りないと求める人材を見抜けない可能性があります。経験のある言語だけヒアリングして採用した人材が、現場で採用しているフレームワークを使いこなせないようなケースが一例です。
逆に、人事側が必要だと認識している人材の経験やスキルが、現場にとって本当に必要とは限らない点に注意しましょう。 事前に人事側と各部署との間で、求める技術レベルの擦り合わせをしておく必要があります。その際に面接でどのような質問をするか、返ってきた回答をどう評価するかも決めておくとよいでしょう。
質問を深堀りする
採用面接の質問で応募者の能力を見極めるには、質問への回答に対して深掘りする意識も求められます。さらに質問を投げかけて理解度を測ったり、回答に矛盾がないか確認したりする工夫が、本質を見抜くのに有効です。 通り一遍の質問をしただけでは、その場限りの回答をされてしまう可能性が高く、人材の能力を正しく見極められません。
特に、エンジニアのスキルレベルを測るには、使用している言語やフレームワーク、開発実績など、専門的な内容を突っ込んで聞かなければならないケースも多くあります。 人事部門の面接官が技術に関して専門知識を持たないなら、事前の擦り合わせだけでなく、面接当日も現場のエンジニアに同席してもらうのが確実でしょう。
コンピテンシーモデルを活用する
自社の理想とするエンジニアの思考や行動を、コンピテンシーモデルとして活用するのも人材の見極めに効果的です。「コンピテンシー」とは、優れた成果を上げられる人に共通する特性を指します。
まずは社内で高い業績を誇っていて、生産性が高いエンジニアの人物像や行動傾向を明らかにしてみましょう。そこから自社に必要なエンジニアの経験やスキルレベル、業務上必要な能力などを明らかにします。
その人物に面接で応募者にするような質問をして、受け答えを記録するのもコンピテンシーモデルの作成に効果的です。「理想の解答」を設定し、実際の面接で返ってきた答えと比較することで、似た特性の人材を見抜きやすくなるでしょう。
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エンジニアの能力を見抜く質問
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採用面接において、応募してきたエンジニアの能力を見抜くための質問を紹介します。企業によって求める人材は違うはずです。質問例を参考にしながら、自社に合った形にアレンジして活用しましょう。
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それまでの経験を確認する質問例
エンジニアとしての経験を確認するとき、漠然と「経験を教えてください」では、知りたい情報を得られない可能性が高くなります。次のように、具体的な聞き方を心掛けましょう。
- これまでどのようなサービスを開発してきましたか?
- エンジニアとして、これまでに解決した問題を教えてください
- これまでに一番やりがいを感じたプロジェクトは何でしょうか?
- プロジェクトでどのような役割を担っていましたか?
- これまでに成し遂げた最も大きな成果は?
- その成果を得るために具体的に何をしましたか?
過去に携わった仕事やプロジェクトの内容と、そこからどのような結果を得たかを聞くことで、エンジニアとしての経験を測れます。担っていた役割や評価された点は、入社後に任せるポジションを決める要素になるでしょう。
スキルを確認する質問例
応募者の知識やスキルを確認する質問としては、次の例が挙げられます。言語や開発したものだけでなく、開発環境やプロジェクトの進め方にも目を向けてみましょう。
- どのような言語やフレームワークを使ってきましたか?
- なぜ、その言語やフレームワークを選んだのですか?
- これまでに、どのようなツールを使っていましたか?
- どのような開発の進め方をしてきたのでしょうか?
- 自社の業務で生かせる知識や技術は何だと思いますか?
それまでに把握した経験について突っ込んだ質問をしてみると、本当にエンジニアとして必要な知識やスキルを有しているかを確認できるでしょう。
問題解決力を確認する質問例
応募者の問題解決力を判断するための質問としては、次の例が挙げられます。
- これまでに直面した最大の問題は何ですか?それをどうやって解決しましたか?
- 記録に残っている失敗経験は?それにどう対処しましたか?
- チーム内で対立したことは?対立が起こった場合、どうやって解決を図りましたか?
- チームメンバーのやる気を高めるためにした工夫を教えてください
それまで応募者が経験してきた問題や課題に対して、どのように解決したかをさまざまな角度から質問してみましょう。
また、簡単な事例を伝えて、ケーススタディーのように解決策を出してもらう方法もあります。社内の技術部門で起こり得る問題を提示し、どのような施策を打ち出すかを尋ねて問題解決能力を測るのも一つの手です。
協調性やコミュニケーション能力を確認する質問例
エンジニアはチーム単位で仕事をする機会が多い職種です。技術者としての経験やスキルに加えて、協調性やコミュニケーション能力も必要となります。コミュニケーション能力を確認する質問の例は次の通りです。
- エンジニアに協調性は必要だと考えていますか?なぜ、そう思いますか?
- チームで何かを成し遂げたことはありますか?その際に心掛けたことは何ですか?
- チームワークを維持するために、あなたは具体的にどのような行動を取りますか?
- コミュニケーションの重要性を感じたエピソードがあれば、教えてください
コミュニケーションの重要性をどう考えているかとともに、実際に能力があるかを見抜く施策も取り入れましょう。具体的にコミュニケーション上の問題や課題を設定し、応募者に解決策や取るべき行動を答えてもらいます。
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自社に合う人材かを見極める質問
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採用面接では、エンジニアとしての経験やスキル・適性だけでなく、自社の価値観や方向性・環境に合った人材かどうかも確かめなければいけません。ミスマッチを防ぐために取り入れたい質問例を見ていきましょう。
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入社意欲を確認する質問例
応募者の入社意欲を確認する質問としては、次の例が挙げられます。このあたりの質問はエンジニアに限らず、どのような職種でも必ず取り入れたい質問といえるでしょう。
- 応募する企業を選ぶ際、どのような点を意識していますか?
- 自社に応募した理由は何ですか?
- 自社のどのような点に興味を持ちましたか?
- 入社後にどのような役割を担いたいと思っていますか?
応募の理由や自社への興味は、企業研究をしてきたかどうかを測るのにも役立つ質問です。 ただ、まずは企業の雰囲気を確かめたいと考えている応募者もいます。温度感を見極めるため、まず応募先を選定する基準を聞いてみてから深掘りしていくのがよいでしょう。
性格や考え方についての質問例
採用後に人材の定着率を向上させるには、応募者のパーソナルな特徴や、社風との相性も確認する必要があります。応募者の性格や仕事に対する考え方、価値観などを判断するための質問例は次の通りです。
- 自分の長所や短所は何ですか?
- 長く続けている活動はありますか?なぜ、その活動を選んだのですか?
- 好きなタイプや苦手なタイプは、どのような人ですか?
- モチベーションが上がるシチュエーションや条件は何ですか?
- 今後、仕事以外で挑戦してみたいことは何ですか?
相手の性格や考え方は、特定の経験について質問しても把握しきれません。さまざまな角度から質問を投げかけてみましょう。ただし、内容によってはコンプライアンス違反を疑われる可能性があるため、プライベートすぎる質問は避ける必要があります。
エンジニアのキャリアに関する質問例
自社の環境に合った人材を採用するには、自社の目指すところと応募者の希望するキャリアとの整合性を取る必要があります。エンジニアの望むキャリアを確認する質問としては、次の例が挙げられます。
- 将来、どのような仕事をしてみたいですか?
- 将来、エンジニアとしてどのような役割を目指していますか?
- エンジニアとしての知識やスキルを、どのような方向に生かしていきたいですか?
- 今後の目標や、仕事を通じて成し遂げたいことを教えてください
漠然としか将来のキャリアを考えていない応募者も多くいます。その中で目指したい方向性を持っている人材を見つけるには、質問への工夫が必要です。エンジニアとして目指している役割について、少し突っ込んで聞いてみるとよいでしょう。
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してはいけないNG質問
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応募者を見抜きたいという思いから、つい避けるべき質問をしてしまう面接官もいます。しかし、面接では応募者も企業を選んでいることを忘れてはなりません。 印象を悪くして優秀な人材を逃さないためにも、法律を基にした厚生労働省のガイドラインでNGとされる質問も把握しておきましょう。面接に関わる全ての人に周知する必要があります。
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本人に責任のない事柄について
採用面接では、応募者の出自や家柄・家族の状況や生活環境に関する質問など、本人の努力では変えられない事柄に関する質問をしてはいけません。 これらは仕事に対する適性や能力と関係ないばかりか、就職差別にもつながる恐れがある質問です。厚生労働省も配慮すべき(質問を避けるべき)事項としています。
差別を助長するような質問をすると、優秀な人材を逃すだけでなく、他の応募者の心証も悪くなるでしょう。場合によっては質問の内容がSNSで広まってしまい、企業の信用を著しく落としかねません。
本来自由であるべき事柄について
応募者の思想や信条に関するものをはじめ、「本来個人の自由であるべき事柄」に関する質問も面接では避けましょう。例えば、宗教や支持している政治政党、人生観に関する話題などです。
日頃愛読している書籍や雑誌・新聞などは、何気なく聞いてしまう面接官はいまだに少なくありません。 しかし、読んでいるものには思想・信条が表れるケースが多いため、厚生労働省のガイドラインでも配慮すべきとされています。アイスブレークで雑談する際にも注意しましょう。
また、当然ながら応募者のプライベートに踏み込む質問や名誉に関わる話題、性的な話題など、応募者を不快にする言動はしてはいけません。常識的に考えて、人材の適性や能力を判断するのに不要な質問はしないのが基本です。
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オンラインでも応募者の本質を見抜くには
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近年増えているオンライン面接で、質問を工夫してもうまくいかないと悩む担当者も多いのではないでしょうか。対面でのやり取りとは違う部分と対策を押さえ、オンラインでも人材を見抜ける土台を作っておきましょう。
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対面よりも話すスピードや反応に気を付ける
オンライン面接はカメラ越しの面接となるので、対面以上に大きな反応を心掛けるようにしましょう。日常と同じように受け答えをしていると、応募者に不要なプレッシャーを与えてしまったり、不機嫌な態度に見えてしまったりする可能性があります。
また、話のスピードや通信環境によっては、相手に聞こえづらい場合もある点に注意が必要です。 応募者の中には、声が聞こえづらくても面接官に気を遣って何も言わない人もいます。そうなると正しい受け答えができなくなるので、実際よりも適正や能力が低く見えてしまうでしょう。
オンライン面接でも優秀な人材を見抜くためには、相手に伝わるようにゆっくりハキハキと話すのがポイントです。通信環境は事前にチェックを済ませておくと、当日のトラブルが減ります。
応募者の状況を小まめにチェックする
オンライン面接は面と向かって話をするよりも意思疎通が難しいため、応募者と問題なくコミュニケーションを取れているか、小まめに確認することが大事です。 相手に質問が正しく伝わっていない可能性もあるので、応募者の状況を観察し、不明点がないように気を配りましょう。
カメラ越しではノンバーバル(非言語)な情報が得にくいため、質問の内容や仕方にも配慮が求められます。少しでも応募者の適性を判断しやすいように、質問を具体的にするといった工夫をしなければなりません。
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質問内容を吟味して採用面接に臨もう
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自社に合ったエンジニアかどうかを面接で見極めるには、質問内容を吟味して評価のポイントを明確にしておく必要があります。実際に社内で活躍しているエンジニアをモデルにして、評価基準を決めるのもよいでしょう。
実際には、質問の回答だけで能力や適性を完全に見抜くのは困難です。しかし、さまざまな角度から質問をすることで、自社に合った人材かどうか判断しやすくなります。 現場で働くエンジニアを巻き込み、技術的な観点から人材の評価をしてもらうのもポイントです。
NG質問への配慮も含め、採用に関わる人全てに協力を仰ぎながら面接の改善を図りましょう。