SIerでもスキルアップできる環境づくりを。人材確保のための工夫
目次[非表示]
- 1.SIerが抱える人事の課題
- 1.1.高コスト体質で人材が定着しない
- 1.2.スキルアップしにくく人が集まらない
- 2.エンジニアはスキルアップできる環境を好む
- 2.1.スキルの陳腐化を恐れるエンジニアが多い
- 2.2.スキルアップできる環境は評価される
- 3.SIerでもスキルアップできる環境を整えるには
- 3.1.時代の流れを取り入れたOJTを行う
- 3.2.本当の実力が付く外部研修に頼る
- 3.3.スキルアップの支援制度を設ける
- 4.長く働ける環境づくりも重要
- 4.1.一人ひとりの声に向き合う
- 4.2.人間関係を円滑にする工夫を取り入れる
- 4.3.評価制度を見直す
- 5.エンジニアがスキルアップできるSIerを目指す
SIerが抱える人事の課題
AI・IT技術の発達によって、エンジニアの需要は拡大しています。エンジニア売り手市場の中、優秀な人材はどの会社も欲しがっていてなかなか確保しにくい状況です。
特にSIerは人材の確保に課題を抱えてやすいといわれます。代表的な課題を自社が抱えているなら、エンジニアを確保するための施策を練る必要があるでしょう。
高コスト体質で人材が定着しない
SIerによるシステム開発は大規模であることが多く、開発にかかる費用が高騰します。発注単価は基本的に高額です。
しかしSIerに発注が来るまでに、クライアントとの間に入る中間企業に取られるマージンが発生します。発注価格は高額でありながらも、現場レベルの人材の待遇は悪くなるという問題が発生しやすい構造です。
優秀で需要が高いエンジニアは、よりよい待遇を求めてSIerから自社開発案件のある企業に転職してしまうケースがあります。十分な経験とスキルがある人は、独立という道を選ぶ場合もあるでしょう。
スキルアップしにくく人が集まらない
近年のシステム開発は、スモールスタートやSaaSを活用した小規模開発が主流です。自社開発ではUI・UXをエンジニア自身が設計する機会も多くなり、スキルアップにつながります。
一方、SIerの企業エンジニアの場合は、大規模案件になると仕様書通りの作成を求められるため、自身で工夫をしたり設計について考えたりする機会が少ないでしょう。エンジニアとしてのスキルを磨きにくく、マネージメントを求められる事が増えてしまうため、技術面でのキャリアアップや資格取得に向けた準備ができません。
IT技術は日々進歩しているため、エンジニアにとって技術的なスキルアップは必須になっています。スキルアップができない職種という時点で、SIer勤務のエンジニアは敬遠される要因になり得るのです。
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エンジニアはスキルアップできる環境を好む
(出典) pexels.com
SIerが抱える課題の一つに『スキルアップをしにくい』という問題が挙げられます。エンジニアは基本的にスキルアップできる環境を好むため、技能を磨けない環境は人材確保にデメリットをもたらすと改めて認識しましょう。
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スキルの陳腐化を恐れるエンジニアが多い
パーソル総合研究所が公開した『ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査』によれば、ITエンジニアの不安として多くの人から上がっている声が「自分の技術はいつまで通用するか不安」というものでした。 専門的な技能が必要になる職種であることに加え、最新の技術がどんどんと出てくる業界だからこその不安ともいえるでしょう。
実際に現在は通用しているスキルが、2年後には時代遅れの技術になっている可能性もあります。エンジニアにとってスキルアップができない状況は、『食べていけない』不安に直結するのです。
参考:ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査 - パーソル総合研究所
スキルアップできる環境は評価される
情報処理推進機構(IPA)が行った意識調査には「エンジニアを含む先端IT従事者は他の職種と比べてスキルを向上させる意欲が強い」という傾向が表れています。 職場以外で勉強をしないと答えた人は、非先端IT従事者では51.6%に上ったのに対し、先端IT従事者だと26.2%にとどまりました。
勉強をしないと答えた中でも、先端IT従事者だと1番多い理由は『多忙』です。 自主的な学習を現在していないエンジニアはいても、スキルアップへの意欲が高いと読み取れます。
職場の環境に対する評価を決めるのは、働く人のニーズが満たされるかどうかです。スキルが陳腐化しないように学習したいエンジニアにとって、スキルアップできる環境が高い評価を得るのは当然といえるでしょう。
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SIerでもスキルアップできる環境を整えるには
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スキルアップの機会が少なくなりがちなSIerがエンジニアが望む成長機会を与えるには、研修環境の整備が必要です。OJTと外部研修それぞれに分けて、スキル向上に効果的な施策を紹介します。
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時代の流れを取り入れたOJTを行う
OJTとは、実務の中で行う職業研修のことです。
多くのSIerで実施されていますが、間違ったやり方している企業も少なくありません。 スキルアップを妨げるのは、教える人間の知識や現場のやり方が慣例的で時代に遅れているOJTです。研修担当者の知識やツールが古い場合、教えられる知識も古いものになってしまいます。 OJTを行う側の知識もアップデートした上で、新人教育に挑まなければなりません。
社内のIT技術は常に最新のノウハウに更新し、成長機会の提供につなげましょう。 研修とは名ばかりで技術が身に付かない雑務をさせるOJTも、スキルアップできない環境を招きます。新人に対しても、エンジニアとして開発現場で活躍できるようなOJTを行う意識が重要です。
本当の実力が付く外部研修に頼る
教育するリソースがない・社内に最新のノウハウがないという場合は、研修のアウトソーシングも選択肢でしょう。
外部研修は社内研修で起こりがちな課題をクリアしてくれます。 外部研修なら、社内の教育リソース不足によって中途半端な指導になってしまう心配がありません。講師は最新の技術に精通しているため、自社の技術的ノウハウが古くても新鮮な技術を学ばせられます。 本当の実力が付く研修サービスなら、エンジニア自身が成長したと実感しやすいでしょう。
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スキルアップの支援制度を設ける
スキルアップを支援する制度を設ける取り組みも、研修制度の整備と同時に検討しましょう。資格を取るための受講費用や試験料の一部をサポートしたり、書籍の購入やスクールに通う補助費用を出したりといった施策が代表例です。
費用面でのサポートを行うことで、エンジニアがスキルアップしやすい環境を構築できます。 エンジニア職種での副業解禁や、社員同士の勉強会を開くといった試みも有効です。ただし自主的な勉強を促すだけでは、社員のプライベートや休息の時間を削ってしまいます。 就業時間内に勉強ができる制度を整えれば、健康や意欲を保ちながらスキルアップに励んでもらえるでしょう。
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長く働ける環境づくりも重要
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エンジニアがスキルアップできる環境を構築すると同時に、優秀なエンジニアが長く働ける労働環境づくりにも力を注ぎましょう。特に取り組みたいポイントを三つ紹介します。
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一人ひとりの声に向き合う
エンジニアの働き方には、非技術職とは異なる点が多くあります。仕事への不満や悩みも、人事や経営者の視点からは分かりにくいかもしれません。
個々が抱える問題点をキャッチアップするためには、一人ひとりの声に向き合う姿勢が求められます。非エンジニアがエンジニアの課題をヒアリングするときは、自らの技術理解が不足している前提で丁寧に話を聞きましょう。
1on1面談や定期的なミーティングなど、小まめに課題を拾い上げるための制度づくりも重要です。働く上での障害を取り除く環境整備が、不満の解消と定着率の向上につながります。
人間関係を円滑にする工夫を取り入れる
エンジニアには特殊な技術が求められるため、部署異動や配置転換が難しいでしょう。案件が終わるまでは固定メンバーで働くのが基本です。 人間関係をスムーズにする工夫も、エンジニアを定着させるために企業側が行いたい取り組みといえます。
職場の人間関係が悪いという理由で、転職をするエンジニアは少なくありません。 少なくともチームの中で起こっている人間関係や雰囲気は、人事もある程度把握しておきましょう。問題が起これば仲裁に入ったり、話を聞いたりといった介入が必要になってきます。 風通しの良い職場環境をつくり、人間関係が円滑に回るような施策を取り入れなければなりません。
評価制度を見直す
エンジニアは業務のサポートやシステムの運営など、直接数字には表れにくい作業を請け負うケースが多々あります。数値化されない仕事は評価がしにくく、エンジニアの不満につながる可能性に注意が必要です。
また自分のスキルが適切に評価されていないと感じれば、より実力に見合った環境への転職を希望するエンジニアが出てきます。 自社のエンジニアが評価制度に対し不満を持っているのであれば、評価制度の見直しが必要です。活躍した人材には相応な評価を与えられる仕組みづくりが、エンジニアの定着につながります。
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エンジニアがスキルアップできるSIerを目指す
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SIerはスキルアップがしにくく、エンジニアに対する待遇も悪くなりがちです。優秀なエンジニアを確保するためには、不満となる要素を取り払う施策が求められます。 IT技術の革新とプログラミング技術の更新についていくため、エンジニアは常に最新の情報に対するアンテナを張らなければなりません。
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スキルアップを見込める環境かどうかは、エンジニアにとって将来に直結します。 エンジニアにとって技術を磨くことは仕事の一環です。SIerでも研修制度のつくり方や研鑽へのサポートによって、スキルアップしやすい環境を構築できます。 優秀なエンジニアに長く働いてもらうため、人間関係や労働環境・評価制度も見直して成長できるSIerを目指しましょう。