エンジニアのキャリアパスを自社でも考えてみよう。具体的な将来像を描く方法
昨今のエンジニアのキャリアパスは多様化しています。エンジニアを目指すのであれば、明確なキャリアパスを描くことが重要です。どのようにキャリアパスを描けばよいのか、具体的な方法とともにキャリアパスの種類について解説します。人材教育、管理職を担当されているの方もエンジニアのキャリアパスについて抑えておくと学生、自社の社員に向けてより説得力の高い話ができるようになると思います。
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目次[非表示]
- 1.エンジニアのキャリアパスの変遷
- 1.1.多様化・複雑化するキャリアパス
- 1.2.多様化の背景
- 2.「インフラ系」と「開発系」それぞれの方向性
- 2.1.高い専門スキルを持つスペシャリスト
- 2.2.守備範囲の広いゼネラリスト
- 2.3.管理者などのマネジメント職
- 3.主なキャリアの詳細
- 4.将来的なキャリアチェンジの道も視野に
- 5.スキルを磨き、エンジニアの生存競争を勝ち抜こう
エンジニアのキャリアパスの変遷
『キャリアパス』の「キャリア」は職歴、「パス」は道のことです。最終的なキャリアの目標を定める際に、そこに向かうためのルートのことをキャリアプランと言います。
キャリアプランは職業によってさまざまです。エンジニアのキャリアプランは現在においてどのように形成されるものなのでしょうか。
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多様化・複雑化するキャリアパス
かつてエンジニアのキャリアと言えば、コーディングやコンパイルを行うプログラマーから始まり、開発の指揮を執るプロジェクトリーダー、全体を見るプロジェクトマネージャーか設計・開発を行うエンジニアといったように決まっていました。
しかし現代、エンジニアの種類は増え、働き方も多様化しています。 一口にエンジニアと言っても車や家電製品のプログラムを組むエンジニアとWebエンジニアでは仕事がまったく異なりますし、システム開発を通じて会社の経営戦略改善を行うコンサルタント的なエンジニアもいれば、よりプログラミングスキルを伸ばしたフルスタックエンジニアなどもいます。
エンジニアとしてのゴールは非常に多く、そのためキャリアパスも複雑化しているのが現状です。
多様化の背景
なぜ、エンジニアのキャリアパスが多様化してしまったのでしょうか。一つにはIT技術の進歩があります。IT技術が進歩し、さまざまな市場と密接に関わりを持つようになった結果、エンジニアの仕事は細分化し、果たすべき役割も大きくなりました。
その結果、かつてのようにプロジェクトの管理だけに留まらず、コンサル的な視点に立てるエンジニアの需要や、より専門的なエンジニアを配置せざるを得なくなったのです。
加えてスマートフォンの普及、データベースの電子化などによって中小企業でも扱うIT案件が増えてきたことで、エンジニアの需要が高まっていることも要因でしょう。 今後もさらにIT市場は拡大していくことが予想され、あわせる形でエンジニアのキャリアパスがより多様化することが予想されています。
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「インフラ系」と「開発系」それぞれの方向性
IT系のエンジニアは大きく2種類に分類できます。ネットワーク環境や基幹システムの管理・運営を行うインフラ系のエンジニアと、新しいアプリやシステムの開発を行う開発系のエンジニアです。
同じエンジニアでも、求められるスキルもキャリアパスも異なります。それぞれの方向性について、詳しく見ていきましょう。
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高い専門スキルを持つスペシャリスト
エンジニアとしてキャリアアップするのであれば、より高いスキルを要求されるのは間違いありません。中でも代替が効かないほどに高い専門スキルを持つ人材は、企業にとって重宝されます。 専門分野のスペシャリストを目指すのも、エンジニアのキャリアパスの一つと言えるでしょう。
守備範囲の広いゼネラリスト
専門分野に特化するのではなく、幅広い分野において一定以上の知識とスキルを持つ人材を目指すのも、キャリアパスの一つの形です。 スペシャリストとは違った意味で、企業から必要とされる人材と言えるでしょう。
なぜなら、昨今はIT市場が多様化していて、一つのプロジェクトに対してもさまざまな分野から見た知見やスキルが要求されるからです。 ゼネラリストの存在もまた、エンジニア市場では不可欠と言える人材であり、広く色々なことをやってみたい人に適したキャリアと言えるでしょう。
管理者などのマネジメント職
エンジニアとしてもう一つの道は、管理する側に回ることです。プロジェクトのスケジュールや人材を管理するスキルが必要になります。
一般職のマネジメントとの大きな違いは「プロジェクトの内容と各人材のスキルを踏まえた上で適切に配置しなければならない」という点でしょう。エンジニアとしての豊富な現場経験やコミュニケーション能力が要求されます。
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主なキャリアの詳細
エンジニアのキャリアは多様化し、一昔前と比較してもさまざまなキャリアがあります。ここではエンジニアの主なキャリアごとに要求されるスキルや特徴について解説します。
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プロジェクトの責任者 プロジェクトマネージャー
プロジェクトにおけるマネジメントを担当する管理職です。スケジュールやアサインする人材の決定、クライアントや他部署との調整を行います。
現場で起きる問題に対する適切な判断と対応が求められるため、エンジニアとしての経験とコミュニケーション力は必須です。
『プロジェクトマネージャー試験』という国家資格もあります。エンジニアとしての知識とスキル、マネジメント能力を要求される複合的なキャリアです。
骨格形成や品質管理を担うITアーキテクト
業務や管理の仕方は企業によってそれぞれです。たとえ最新のソフトウェアやサービスを導入したとしても、自社の環境とは合わないケースもあります。
ITアーキテクトとは、企業の環境と経営戦略を見据えた上で、Webシステムの設計図を作る人材のことです。ITに精通しているだけではなく、経営面からも、Webシステムやデータベースが適合しているかを判断する役割を担います。
エンジニアとしての経験はもちろん、経営的な知識、クライアントや部署間の摩擦のすり合わせを行うための柔軟な発想が必要なキャリアです。
専門分野に特化 ITスペシャリスト
専門分野に特化したエキスパートで、技術者系のキャリアの頂点とも言えるキャリアです。こちらについては、経済産業省が定めた明確な基準があります。
経済産業省が定めた「ITスキル標準」によれば、ITスペシャリストとまで呼ばれる専門職では、「プラットフォーム」「システム管理」「データベース」「ネットワーク」「分散コンピューティング」「セキュリティ」の6分野のいずれかでレベル3を満たす技術者である必要があります。
他の技術者の追随を許さないほどの深い知識が必要であり、エンジニアのさまざまな資格でも最高ランクの資格を有するほどのスキルも必要です。 他のスキルと複合的なキャリアを目指すのか、専門分野に特化するのかは、エンジニアのキャリアとして明確に選択する必要があるでしょう。
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将来的なキャリアチェンジの道も視野に
エンジニア一本だけではなく、エンジニア以外のキャリアに転職することも視野に入れたキャリアパスも選択肢としては有効です。エンジニアからキャリアチェンジできる職種を紹介します。
経営の知識も必要なITコンサルタント
クライアントや自社の経営課題や業務改善などに対し、技術的な知見からのコンサルティングを行う役うキャリアです。経営方針に沿ったシステムの提案、最適化などを行います。
ITコンサルタントは、エンジニアとしての経験が求められるほかに、会社の持つ技術力や予算からどれほどのシステムが作れるのかといった総合的な知見が求められる職業です。エンジニアとコンサルタントの複合的なスキルが必要になります。
マーケティングの知識が必要なWebディレクター
Webディレクターは、Webコンテンツ制作の進行管理をする職業です。進行管理をするにあたっては、どの作業にどれだけの時間がかかるのかといった、エンジニアとしての知見に基づく判断と、問題発生時への対処能力が求められます。
Webコンテンツを作るにあたっては、市場がどのようなものを求めているのか、どのように運用していくのかを判断するためにマーケティングの知識も求められるでしょう。エンジニアとマーケティングの両面から、仕事を行うキャリアです。
■関連サイト
スキルを磨き、エンジニアの生存競争を勝ち抜こう
IT技術の進歩やスマホの普及などにあわせ、エンジニアを取り巻く環境は複雑かつ細分化しています。エンジニアとしてのキャリアパスを描くには、多様な市場の中でゴールとルートを明確にする必要があります。
自分が何のエンジニアになり、そのためにどのような知識やスキルを求められ、キャリアを辿るのかといった計画を立てましょう。
エンジニアとしてのスキル以外に、マーケティングやコンサルティングのスキルを活用した複合的なキャリアを目指すのも有効です。