ローコード開発とは?メリット・デメリット比較と活用事例紹介
柔軟かつ迅速な対応が情報システム部門に求められる時代になり、要望に応えるためのローコード開発が注目を集めています。習得するための事前知識として、ローコード開発のメリットやデメリット、具体的な活用事例を知っておきましょう。
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目次[非表示]
- 1.ローコード開発とはなにか
- 1.1.コードを書かない開発手法
- 1.2.注目されている理由
- 2.ローコード開発のメリット
- 2.1.開発期間・工数の短縮
- 2.2.高度な技術や知識がなくても開発できる
- 2.3.セキュリティ対策の負担を削減できる
- 3.ローコード開発のデメリット
- 3.1.従来のプログラムと比べ自由度が低い
- 3.2.設計やツールに関する知識が求められる
- 4.ローコード開発を活用した事例
- 4.1.教育用プログラミングツール
- 4.2.竣工データ管理システムの開発
- 4.3.建築会社のノウハウ蓄積基盤システム
- 5.ローコードで開発を効率化
ローコード開発とはなにか
ローコード開発とはどのようなことを指す言葉なのでしょうか。概要や注目されている理由など、まずはローコード開発の基礎知識を覚えておきましょう。
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コードを書かない開発手法
ローコード開発とは、コードをほとんど書かずにアプリやシステムの開発を行う手法です。超高速開発手法の一つとして、グローバルなトレンドとなりつつあります。 従来の開発は、要件定義・仕様策定・実装・テスト・リリースといった流れの中で、多くの工程を必要とします。
一方、ローコード開発では、これらの工程を省略したり自動化したりすることが可能です。 ローコード開発を行うことにより、よりスピーディーな開発や、単純ミスの少ない高品質な仕上がりを期待できるようになります。ローコード開発市場は近年大きな成長を見せており、今後も開発ツールを導入する企業の増加が予想されています。
注目されている理由
ビジネスにおけるIT環境の一般化や、先行きが見えない時代の変化に伴い、あらゆる分野でDXが重要視されています。DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がITを活用してビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することです。 2018年に経済産業省が発表したレポートでも、DXの推進による変化の必要性が示されています。
既存のビジネスモデルやシステムが刷新されない場合、2025年には大きな経済損失「2025年問の崖」が発生すると予想されているためです。 アプリやシステムを開発するシーンでも、より迅速かつ柔軟な対応が求められるようになってきています。このような要望に応えられる手法として、ローコード開発が注目を集めています。
参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
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ローコード開発のメリット
ローコード開発にはどのような魅力があるのか、具体的なメリットを確認しましょう。近年注目されている理由にもつながります。
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開発期間・工数の短縮
ローコード開発では工程を簡略化・自動化できるため、開発期間を短縮したり工数を減らしたりすることが可能です。よりスピーディーな開発を行えるようになります。 これまでは、システム開発といえば長期間かかるものというイメージが定着していました。
しかし、ローコード開発がより一般化すれば、このようなイメージは払拭されるでしょう。 開発期間の短縮により、人件費を削減できる点もメリットです。システムを変更しなければならなくなった際も、迅速かつ柔軟に対応できます。
高度な技術や知識がなくても開発できる
人材を確保しやすくなる点もローコード開発のメリットです。プログラミングに関する高度な知識や技術が必要なくなるため、採用のハードルを下げられます。
実務でのプログラミング経験がほとんどない人や、非IT系の部署で働いている人も、ローコード開発を利用すればアプリやシステムの開発に関わることが可能です。 システムの変更を求められた場合も、部分的にプログラムを書けば対応できるでしょう。スキルのある人なら容易にカスタマイズが可能な点もメリットです。
セキュリティ対策の負担を削減できる
ローコード開発は、ベンダーが提供するツールを用いて行います。ツールには既にセキュリティ対策が施されているため、自社で対策する負担を削減できることがメリットです。
システムをゼロから構築するフルスクラッチ開発では、脆弱性への対応やセキュリティ対策が不可欠です。しかし、ローコード開発ツールを使えば、自社で構築した部分のみ対応すれば済みます。
ローコード開発を提供する主要ベンダーのほとんどは、強固なセキュリティ対策を豊富に講じています。ただし、無料で使えるツールなどはセキュリティが甘い可能性があるため、使用前のチェックが必要です。
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ローコード開発のデメリット
ローコード開発には、メリットだけでなくデメリットもあります。習得を検討する際の参考にしましょう。
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従来のプログラムと比べ自由度が低い
ローコード開発では、ツールで可能なこと以外の開発には容易に対応できません。顧客の細かい要望にも応えられる従来型の開発手法と違い、自由度の低さがデメリットとなります。
ローコード開発は、ツールで提供されているパーツを組み合わせながら実装する仕組みです。開発におけるスピードと手軽さを高めている一方で、こだわりを持ったシステムは作りにくい欠点があります。 ツールでは不可能な機能に対応しようとするなら、従来型の開発手法で別途開発を行わなければなりません。時間や手間が余計に掛かってしまうでしょう。
設計やツールに関する知識が求められる
ローコード開発で大幅に削減できる作業は主にプログラミングです。システム設計や業務分析の作業が不要になるわけでなく、むしろこれらの作業量は増える可能性があります。 設計工程や業務プロセスに関するスキルは、教育方法が十分に確立されているとは言えないのが現状です。プログラミングの知識に代わり、新しい知識の習得がこれまで以上に求められるでしょう。
ツールに関する知識が必要になる点も、ローコード開発のデメリットです。ツールの特徴を十分に発揮させるためには、ツールを使いこなせるようになる必要があります。
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ローコード開発を活用した事例
ローコード開発は実際にどのような使われ方をしているのでしょうか。ローコード開発を活用した3事例を以下に紹介します。
教育用プログラミングツール
ローコード開発を活用した事例の一つに、教育用プログラミングツールが挙げられます。プログラミングに興味がある児童や生徒のために作られた、パソコンで簡単なプログラムを作成できるツールです。
教育用プログラミングツールでは、種類分けされたブロックを並べていくことで簡易アプリを作れます。ブロックとコードが対になる仕組みにデザインされているのが特徴です。
教育用プログラミングツール自体はローコード開発ツールではありませんが、ローコード開発の考え方を反映して作られています。プログラミングだけでなく、ローコード開発の基礎も学べるでしょう。
竣工データ管理システムの開発
建築業界では、ローコード開発で竣工データ管理システムを作成し、事業に活用している事例があります。不具合が多かったExcelやAccessでの管理を脱却する目的で開発されたシステムです。
取扱物件の竣工図書とプロフィールを一元管理できる上、外部システムと連携可能な仕様にもなっていながら、3名によるわずか3カ月の開発期間で稼働を実現させています。 ローコード開発の特徴であるスピードと柔軟性が発揮された事例です。
建築会社のノウハウ蓄積基盤システム
建築業界におけるローコード開発の活用事例をもう1例紹介します。日報管理システムをローコード開発で改善し、続けてノウハウ蓄積基盤システムまで開発した企業例です。
日報管理はExcelで行っている企業が多く、この企業も例外ではありませんでした。しかし、社内からのクレームが多かったことから、ローコード開発を使って新しいシステムの開発に成功しています。
次に開発したノウハウ蓄積基盤システムは、物件の竣工後に物件情報を追加できるようにしたシステムです。日報システムと連携し労務管理に役立てたり、データの保管・閲覧のためにOneDriveと連携したりするなど、企業に合ったシステムに仕上がっています。
■関連サイト
ローコードで開発を効率化
ローコード開発とは、コードを書かずにシステムを作れる開発手法です。開発期間を短縮できることや、高度なスキルがなくても開発できることなどのメリットがあります。 ベンダーが提供するツールで行うため、セキュリティ対策の負担を削減できる点も魅力です。これからの時代はローコード開発のスキルが求められるため、特性を把握した上で習得を目指してみましょう。