インフラエンジニアのキャリアパスを考える。将来性と必要スキルは?
データベースを構築する企業が増えていることから、インフラエンジニアは一定以上の需要が見込める職業です。インフラエンジニアの仕事内容やキャリアパスについて解説します。インフラエンジニアを目指している方、新卒エンジニア採用に関わる人事、教育担当の方は参考にしてみてください。社内のエンジニア不⾜を解決するたった1つの解決⽅法はこちら
目次[非表示]
- 1.インフラエンジニアとは
- 1.1.ITインフラを整え安全な運用を行う
- 1.2.インフラエンジニアの種類
- 2.インフラエンジニア未経験者が成長に欠かせない3要点
- 2.1.監視、運用経験をたくさん積むこと
- 2.2.プログラミングを学ぶこと
- 2.3.クラウド、AI時代に対応するスキルを身に付けること
- 3.キャリアアッププランを立てよう
- 3.1.資格取得でしっかり学ぶ
- 3.2.プロジェクトリーダーを目指す
- 3.3.セキュリティ管理に強くなり差を付ける
- 3.4.二つの道からどちらへ進むか考える
- 4.フルスタックエンジニアとは
- 4.1.開発から保守まで仕事は多岐にわたる
- 4.2.AWSかAzure は学習しておきたい
- 5.プロジェクトマネージャーとは
- 5.1.人員配置やトラブル対応を行う
- 5.2.コミュニケーション能力をコツコツ伸ばそう
- 6.ITコンサルタントとは
- 6.1.システム導入の提案、見直しを行う
- 6.2.幅広い知識、論理的思考力が必須
- 7.ITアーキテクトとは
- 7.1.IT分野における設計士
- 7.2.難易度が高い職種と言われる
- 8.旬な分野に対応できるかが重要
インフラエンジニアとは
システムの設計・運用を行うシステムエンジニアや、サーバー管理業務をメインに行うサーバーエンジニアなど、一口にエンジニアと言ってもさまざまな種類があります。
今回は、その中でも「インフラエンジニア」について焦点を当てて見ていきましょう。まずは、インフラエンジニアの仕事や特色について解説します。
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ITインフラを整え安全な運用を行う
インフラとは、土台や基本骨子のことを指す「インフラストラクチャー」の略語です。実生活では、道路や福祉施設、病院などの「人の生活のためになくてはならない基盤」となる設備や建物のことを指します。
ITインフラとは、IT(インターネット・テクノロジー)を扱う上で基盤となる存在のことです。
ハードウェア(PCやサーバー、Wi-FiやLANケーブルなど)とソフトウェア(OSやアプリ、アプリケーションサーバーなど)を整備し、基盤を構築する人のことをITインフラエンジニアと呼びます。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアは、大きく3種類で考えることができます。
まずは、ルーターやWi-Fiといったハード面、ファイアウォールなどのネットワークに関するインフラを担当するネットワーク系のエンジニアです。「ネットワークに接続できない」といった問題を解決するため、ある程度ネットに関する知識が必要になります。
次に、サーバーの設計や開発を担うサーバーエンジニア。そして3つ目は、構築したインフラを保守・運用を担うエンジニアです。
近年はクラウドサービスやスマホの運用を前提としたインフラ整備が求められるため、インフラエンジニアに求められ得る知識量は増えています。
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監視、運用経験をたくさん積むこと
インフラエンジニアの多くは、そのキャリアを「監視・運用保守」からスタートさせます。
インフラの設計や構築を行うためには、まず「どのような環境を整えれば業務効率が上がるか」「問題の発生しにくいインフラとはどのような仕組みなのか」を、監視・運用保守の観点から学ぶ必要があるためです。
これらの経験を積むことで、次のキャリアである「インフラの開発・設計」の段階において、どのような機能や仕様が必要なのかを、的確に考えることができるようになります。
プログラミングを学ぶこと
かつてのインフラエンジニアは、LANケーブルの接続や設定、OSやアプリケーションのインストールなどを主な業務として、必ずしもプログラミングの技術は求められませんでした。
しかし、今は違います。データベースやシステムをクラウドに依存する環境下ではAPIに対する理解や、社内システムの環境構築のためにJavaをはじめとするプログラムへの理解を求められる機会も多くなっているのです。
インフラエンジニアの業務領域も拡張した結果、プログラムについても学ぶことが求められてます。
クラウド、AI時代に対応するスキルを身に付けること
これまで記述したとおり、クラウドソフトやサーバーの利用が当たり前となっている現状下では、クラウドに対しても理解を深めることが求められています。
新規システムの運用をするなどの機会に際して、クラウドサービスの選定や比較基準を提案することは、エンジニアとして最低限できて欲しいところです。
合わせて、チャットボットをはじめ、社内インフラにAI(人工知能)を導入する企業も増えています。AIの需要は今後ますます増えていくことが予想されるため、AIを前提としたインフラの構築ができるスキルが、インフラエンジニアには必要です。
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資格取得でしっかり学ぶ
資格取得を目指すことで、必要なスキルや知識を身に付けることができます。客観的に見ても自身の持つ素養を証明できる資格は、インフラエンジニアとしての就職や営業にも有利に働くでしょう。
比較的とりやすい資格としては、『ITパスポート』や『情報技術者試験』、難関資格としては『技術士の情報工学部門』が挙げられます。
まずは簡単な資格から目指すといった具合に、ステップアップして難関資格を取得することも考えましょう。
プロジェクトリーダーを目指す
運用・保守から始まり開発・設計、そしてプロジェクト全体の指揮を執るプロジェクトリーダーを目指すというのが、オーソドックスなエンジニアキャリアの一つです。
プロジェクトリーダーになるにあたっては、プロジェクトの全貌を見ることができる広い視野と豊富な知識、実務経験が求められます。
仕事の範囲を広げていき、他の人の仕事を管理、プロジェクトの進行を任される立場になることを、目指してみてはいかがでしょうか。
セキュリティ管理に強くなり差を付ける
システムの保守・管理を考える上ではセキュリティについての考慮も必須です。こうした背景から、インフラエンジニアからセキュリティエンジニアへの転向を考える方も少なからずいます。
クラウドシステムなど、社内環境のオンライン化が進んできた現代に、セキュリティ管理ができることは、エンジニアにとって必須とも言えるでしょう。
セキュリティ管理も含めた技術やスキルを習得することが、着実なキャリアアップにつながります。
二つの道からどちらへ進むか考える
方向性として、エンジニアには大きく分けて二つの道があります。一つは、技術者としてスペシャリストになる道です。
開発の最後までを1人で担うだけのスキルや経験を持つフルスタックエンジニアが、その最たる例と言えます。インフラエンジニアの中でもより専門的な技術や能力を持つ人など、エンジニアとしてキャリアアップしていく方法が一つ目です。
二つ目の道は、コンサルタントやCTOなど、マネジメント業務や会社の運営に携わるというキャリアです。エンジニアという視点からプロジェクトの運用管理、インフラや経営に関するコンサルティング業務などを行うゼネラルエンジニアです。
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フルスタックエンジニアとは
エンジニアとしてキャリアアップを考える人の中には、フルスタックエンジニアを目指す人は多いのではないでしょうか。フルスタックエンジニアについて、より詳しく解説します。
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開発から保守まで仕事は多岐にわたる
フルスタックエンジニアとは、設計・開発から運用・保守までのエンジニアリング業務におけるすべての業務内容を担当できるスキルを持ったエンジニアのことを指します。
エンジニアの仕事は、通常であれば設計をする人間と運用・保守、セキュリティ対策を行う担当者は分けられることも多いのですが、フルスタックエンジニアの場合、インフラ領域も含めこれらを1人で担います。そのためマルチエンジニアと呼ばれることもあります。
AWSかAzure は学習しておきたい
クラウドを利用する企業は、事業規模や社員数にかかわらず増えています。MicrosoftのOfficeツールであるOffice365でも大企業向けのプランが提供されていますし、大企業がクラウドを使うことは、もはや珍しくありません。
フルスタックエンジニアとして活躍するには、クラウドに関する知識とスキルは必修と言えるでしょう。クラウドサービスの中でもシェア率の高いAWS(Amazon Web Services)はトップのシェア率、Microsoft Azureは2位で徐々にシェアを拡大しているため、ある程度は使いこなせるようになっておきたいところです。
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プロジェクトマネージャーとは
ゼネラルエンジニアのキャリアとして「プロジェクトマネージャー」があります。どのような仕事をするのか、またどのようなスキルが求められているのかを見ていきましょう。
人員配置やトラブル対応を行う
プロジェクトマネージャーとは、開発におけるプロジェクト全体の管理を行う人のことです。プロジェクトリーダーよりも、さらに上の立場としてプロジェクトに関して関わることになります。
納期の設定や人員の選出、リーダーの選出や人員配置を行うのが、プロジェクトマネージャーの仕事です。さらに、開発途中で発生した進捗や人員に関するトラブル、仕様変更に対するリスケなどといった、プロジェクト全体に関わるトラブル解決も、プロジェクトマネージャーの仕事になります。
コミュニケーション能力をコツコツ伸ばそう
プロジェクトマネージャーになるには、プロジェクト全体を掌握する必要があることから、エンジニアとしての基本的なスキルはもちろん、スケジュールを管理する能力を伸ばしていく必要があります。
より求められるのは「コミュニケーションスキル」です。プロジェクトメンバーはもとより、クライアントや会社の他の部門、経営陣など、プロジェクトマネージャーは多くの人とコミュニケーションをとり、スケジュールや仕様を調整する必要があります。
コミュニケーションスキルは、プロジェクトマネージャーにとっていわば最重要スキルとも言えるでしょう。
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ITコンサルタントとは
ITコンサルタントも、エンジニアのキャリアとして選択肢にあがります。職務内容や求められるスキルについて紹介しますので、目指す人は参考にしてください。
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システム導入の提案、見直しを行う
ITコンサルタントとは、ITの知識・スキルを活用してコンサルティング業務(企業の抱えている課題や問題解決を提案する業務)を行う仕事です。
通常の経営コンサルタントとは異なり、例えば社内システムの運用改善による効率化や、ツールのアップデート、システムの仕様改善といったように、エンジニアの観点から経営全体に影響するコンサルティングを行うのがITコンサルタントです。
幅広い知識、論理的思考力が必須
ITコンサルタントには、前提として幅広い知識が求められます。なぜなら、依頼があった会社の業務について、まずは深い知識が必要になるからです。
業務内容やニーズ、市場動向、または社員の働き方について知らずに、システム改善を提案することは不可能です。加えて、最適なシステムの選定や、主流となっているツールの仕様について、IT方面の豊富な知識も必要になります。
業務内容や働き方などを加味した上で問題点をピックアップし、解決するための最適なツールやシステムの選定・変更を考えなければならないことから、論理的思考力、そしてエンジニアとしての豊富な経験やノウハウが求められる職種です。
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ITアーキテクトとは
最後に「ITアーキテクト」について見ていきましょう。高額報酬が見込める職種ですが、その分求められているものも多く、難易度が高い傾向にあります。
どのようなスキルを求められているのかを、職務内容と共に把握しましょう。
IT分野における設計士
「ITアーキテクト」は、経済産業省が定めているITスキルやキャリアを示した指標である「ITスキル標準(ITSS)」で規程されているIT職種の1つです。
平たく言えば、ITスキルや知識をもってして、IT戦略や、IT企画の立案・実行を担当する職業になります。
ITコンサルタントと類似点も多いですが、ITコンサルタントの場合は「顧客の抱えている課題や問題点の解決」が着地点であるのに対し、ITアーキテクトは根幹的な設計部分から携わるという違いがあります。
目先のゴールではなく、最終的な企業や顧客の利益を考えて、経営の理想図を描いていくことが求められる職業です。
難易度が高い職種と言われる
ITアーキテクトは、経営者的な観点に立つことができる視野の広さと豊富なITの知識が求められます。
ITアーキテクトとして欲しい資格である『システムアーキテクト試験』も、合格率は1割程度と低めです。ネットワークやセキュリティ、システムの運用など多角的な要素を拾い上げる必要があり、複数の資格が求められるケースもあります。
こうした点から、他のキャリアと比べても難易度は高めです。
■関連サイト
旬な分野に対応できるかが重要
インフラエンジニアとしてのキャリアアップの方向性は、エンジニアとしてスキルアップをして、プロジェクト全体に関わるフルスタックエンジニア、経営課題の解決やシステム改善を提案するITコンサルタントなど、いくつかのルートがあります。
キャリアアップを目指す上では、まず自分がどちらのルートに向かうのかを考えた方が良いでしょう。
インフラエンジニアは、セキュリティエンジニアやシステムエンジニアへの転向もしやすい職業なので、将来的にインフラエンジニア1本で絞ることは考えなくても良いかもしれません。
共通して重要なのは、クラウドやAI分野など、市場が求めている分野に対応できるだけのIT知識とスキルです。市場がエンジニアに何を求めているのかを把握した上で、キャリア設計を行うことが成功率を高めることにつながります。