エンジニア向けの研修マニュアルとは?作成のポイントと参考資料
新入社員をスムーズに育成するには、研修マニュアルの整備が有効です。エンジニアも新人のサポートにマニュアルがあると、必要な技能を効率的に習得させられるでしょう。研修マニュアルが必要な理由から記載したい内容、作成のポイントまで解説します。
目次[非表示]
- 1.研修マニュアルはなぜ必要?
- 1.1.マニュアルの目的
- 1.2.マニュアルを作るメリット
- 2.エンジニア向け研修マニュアルの内容
- 2.1.自社の理念や設立背景
- 2.2.基本的なビジネスマナー
- 2.3.具体的な業務内容
- 2.4.身に付けるべき知識やスキル
- 2.5.基本となるITスキルやソフトウェアの使用方法
- 3.エンジニア向けのマニュアル作成のコツ
- 3.1.業務の流れを俯瞰できる構成に
- 3.2.直感的に、分かりやすく
- 4.マニュアルを活用した新人研修の注意点
- 4.1.マニュアルでカバーできない部分もある
- 4.2.定期的に内容を改善する
- 5.エンジニア向けの参考研修資料3選
- 5.1.サイボウズ
- 5.2.ミクシィ
- 5.3.サイバーエージェント
- 6.研修マニュアルを充実させよう
研修マニュアルはなぜ必要?
「研修マニュアル」とは、主に新人研修の内容と方法を示したものです。研修のためにマニュアルを作る目的やメリットとは、何なのでしょうか?
マニュアルの目的
研修マニュアルを作成する目的は、新人をできるだけ早く戦力化することです。業務に必要な知識・スキルの習得方法をマニュアル化しておけば、新人は自主的に内容を学習できるようになります。 研修を担当する側も、指導しやすくなって負担が減るでしょう。
何をどういった方法で指導すればよいか分かりやすくなり、指導の内容も均一化できます。 特にエンジニアのには、業務に必要な知識やスキルが非技術職に比べて多い傾向にあります。マニュアルで内容をまとめておけばスムーズに研修が進み、早めに業務を始めてもらえるでしょう。
マニュアルを作るメリット
企業が研修マニュアルを事前に作成しておくメリットとして、研修にかかる時間や手間を削減できる点が挙げられます。 業務手順をマニュアル化しておけば、研修対象者は迷ったときに参照でき、知識を習得するにあたって注意すべき点も事前に確認できます。
さらにマニュアルで業務の手順が明記されていれば、いちいち上司に確認する必要もありません。研修する側がそれほど手をかけなくても、新人の業務レベルを一定レベルまで持っていけるでしょう。 エンジニアの場合、新人でも高度な専門知識が必要な業務を担うケースは多いはずです。マニュアルに最低限、身に付けておくべきスキルは明記しておくとよいでしょう。
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エンジニア向け研修マニュアルの内容
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エンジニア向けの研修マニュアルには、何を記載するとよいのでしょうか?もちろん細かい内容は企業によって変わってきますが、基本となる項目を押さえておくと作成の手間が減るはずです。 一般的なビジネスパーソンとも重複する内容、エンジニアで特に重視したい内容のどちらも押さえておきましょう。
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自社の理念や設立背景
自社の経営理念や設立背景・重要視している価値観は、エンジニアに限らず全社員の研修マニュアルに明記しておく必要があります。企業を担う一員としての振る舞い方や、業務の中で大切にしたいポイントを明示しましょう。
新人エンジニアが研修マニュアルを読んだとき、企業の指針が分かれば自分に求められていることや評価される行動も把握できます。社員の行動指針を定めている企業は、併せて明記しておくとよいでしょう。
基本的なビジネスマナー
営業をはじめとした一般職はもちろん、エンジニアにも基本的なビジネスマナーは必要です。エンジニアはパソコンに向かって仕事をする場面が多いものの、社外の取引先やクライアントと接するシーンもあります。
ポジションによっては、開発しているソフトウェアのプレゼンや仕様に関してクライアントと交渉しなければならないでしょう。 ビジネスマナーに関する内容もしっかりとマニュアル化しておけば、実践的な研修が実現するはずです。
具体的な業務内容
研修マニュアルには、業務の目的や具体的な作業内容を明記しておく必要があります。細かい作業手順を解説しているものもありますが、エンジニアの場合、基本的に手順はOJTを通じて学んでいくことになります。 エンジニア向けの研修マニュアルは、業務の全体像を把握できる内容にしましょう。
全体像を分かりやすく提示すれば、新人のエンジニアでも自らが組織の中でどのような役割を求められているのかを具体的に理解できます。 「何のために業務を遂行するのか」という目的を明確に伝えることで、モチベーションのアップにもつながるでしょう。
身に付けるべき知識やスキル
エンジニアとして身に付けてほしい知識やスキルも、研修マニュアルに盛り込みたい要素です。 業務の全体像を明らかにした上で、遂行のために求められる知識や業務開始までに習得しなければならないスキルを具体的に提示しましょう。
また、業務をスムーズにこなしてもらうためには、目標設定の方法や主体的な行動の重要性を説く内容が必要です。 エンジニアはチームで仕事を進める機会が多いため、周囲と円滑にコミュニケーションを取る技術も、身に付けてほしいスキルとして示す必要があるでしょう。
基本となるITスキルやソフトウェアの使用方法
基礎的なITスキルやソフトウェアの使い方は、非技術職でもある程度は求められるスキルです。 エンジニアの場合はさらに、ソフトウェアの開発に使用するツールやプログラミングのプラットフォームなども使いこなせなければ仕事が進みません。
業務に使うツールや各種アプリケーションの使用方法は、研修後のOJTで学ぶケースがほとんどでしょう。ただ、研修マニュアルにも記載しておけば、新人が予習できOJTもスムーズに進むようになります。
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エンジニア向けのマニュアル作成のコツ
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研修マニュアルを作る前にコツを押さえておけば、後から修正する手間を軽減できます。エンジニア向けのマニュアルを作成するにあたって、どのようなポイントを意識するとよいのでしょうか?
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業務の流れを俯瞰できる構成に
新人向けのマニュアルは、業務の流れをつかめるような構成にする必要があります。 企業の理念や基本的なビジネスマナーなどは、一つ一つ記載しても問題のない項目です。
しかし、業務に関しては全体像を理解できる構成でないと、研修対象のエンジニアは求められる役割を想定しづらくなってしまいます。 初めに全体像を説明し、そこから細かい業務内容を記載しておけば、複雑な業務でも大枠のイメージから役割を把握できるようになるでしょう。
直感的に、分かりやすく
研修マニュアルは画像やグラフ・表などを活用しつつ、直感的で分かりやすい内容にしましょう。人によって理解力や読解力には差があるため、無理にテキストのみで説明しようとすると理解が進まない新人も出てくるはずです。 常にマニュアルを読む側のことを考え、重要なポイントをすぐに把握できるように心がけましょう。記載するテキストも冗長にならないように注意し、端的で分かりやすい文章にする工夫が必要です。
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マニュアルを活用した新人研修の注意点
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作成したマニュアルを活用して新人研修をする際には、いくつかの注意点があります。研修マニュアルを効果的に使うためにも、事前に対策を練っておきましょう。
マニュアルでカバーできない部分もある
マニュアルの内容をどれだけ充実させても、教えるべき事柄を完全にはカバーできません。マニュアルにどれだけの役割を持たせるかを明らかにして、足りない部分はOJTや実地研修などで補いましょう。 特にエンジニアの場合、特定の社員のスキルに依存している業務もあるはずです。
汎用的ではない知識やスキルを新人に継承させたい場合、その社員が直接指導する必要が出てきます。 インプットとアウトプットの繰り返しで習得するようなスキルも、マニュアルだけでは指導しきれません。
マニュアルでカバーできない部分は、外部研修で補うも一つの選択肢です。例えばジョブサポートの研修では、必要な技能に加えて本質的な問題解決スキルも身に付けられます。
定期的に内容を改善する
研修マニュアルは、一度作成して終わりではありません。新人に任せる業務や企業の方針が変わることもあるので、状況の変化に応じて内容を改善し続ける必要があります。 同じマニュアルを使い続けると、いずれ現状にそぐわない部分が出てきてしまうでしょう。
運用しながら定期的に効果を測定し、その都度見直しやブラッシュアップをする意識が大事です。 人事部門があるなら、部門内でマニュアルの管理担当者を決めておくとよいでしょう。
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エンジニア向けの参考研修資料3選
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組織として高レベルなエンジニアを育成している企業の研修資料は、自社のマニュアル作成の参考になるはずです。紹介する3社の研修資料を確認して、研修マニュアルを作る参考にしましょう。
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サイボウズ
サイボウズ社は2021年7月、自社の研修資料を一般向けに公開しました。内容は新人ITエンジニア向けのマニュアルです。 ツールの使い方といった業務に直接関わる内容から、エンジニアが素養として身に付けたい知識まで、20種類以上の分野を網羅しています。
実は同社は2018年から継続的にマニュアル公開しており、他社のエンジニア研修にも一役買っている企業です。業界全体のレベル向上に貢献しているサイボウズの研修資料を、自社のマニュアル作成に役立てましょう。
2021年のエンジニア新人研修の講義資料を公開しました - Cybozu Inside Out|サイボウズエンジニアのブログ
ミクシィ
2021年の4月、ミクシィ社は公式ブログにて、新卒エンジニア向けに作られた研修資料や講義動画の一部を公開しています。 データベースの基本的な知識を学べるものや、iOSやAndroidアプリの開発研修・フロントエンドエンジニアに向けた研修など内容は多様です。
特にスマホアプリを開発している企業にとって、同社の研修資料は役立ちます。 数時間に上る動画も視聴できるので、文章だけでは分かりにくい部分を補足する方法の参考にもなるでしょう。
ミクシィの21新卒技術研修の資料と動画を公開します! - mixi developers
サイバーエージェント
サイバーエージェント社も、自社の公式ブログに新卒エンジニアのための研修資料をテキストとスライド形式で一部公開しています。技術的な内容以上に、チームマネジメントに関する知識やマインドセットに関するものが多いようです。
新人に対して、エンジニアの素養を身に付けさせるのに役立ちます。同社が実際に新人研修で使用した講義資料なので、参考になるはずです。プロジェクトマネージャー候補を積極的に育成したい企業は、内容を確認してみましょう。
新卒エンジニア研修の講義資料を公開!技術力も圧倒的に成長するチーム開発研修とは|CyberAgent Developers Blog
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研修マニュアルを充実させよう
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研修マニュアルを整備すると、新入社員が後から研修の内容を振り返れるほか、安心して業務に取り組めるようになるのがメリットです。習熟度のばらつきを抑える効果もあります。 マニュアルには自社の理念や基本的なビジネスマナー、業務の全体像などを盛り込みましょう。これらはエンジニアでも他の職種でも変わりません。 さらにエンジニアの場合、実際の業務に関する知識やスキル・習得すべきソフトウェアに関する内容も充実させる必要があります。 どういった内容を記載するにせよ、業務の全体像を俯瞰でき、誰が読んでも分かりやすい構成・内容にしなければいけません。他社の研修資料も参考にしながら、効果の高い研修マニュアルを作りましょう。