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クリティカルシンキングの基本。具体的なステップや思考のポイント

エンジニアの業務には、ロジカルシンキングに加えて、多角的な視点で考える「クリティカルシンキング」も必要です。エンジニアにとって欠かせないクリティカル思考のポイントを押さえておきましょう。育成する側が押さえておきたい高め方も解説します。

目次[非表示]

  1. 1.クリティカルシンキングとは何か?
    1. 1.1.そもそもクリティカルな考え方とは?
    2. 1.2.ロジカルシンキングとの違い
    3. 1.3.クリティカルシンキングの事例
  2. 2.クリティカルシンキングを身に付けるメリット
    1. 2.1.スピーディーに結論が出せる
    2. 2.2.柔軟な発想で本質的な思考ができる
    3. 2.3.正確な判断が可能になる
    4. 2.4.未知の領域にも対応できる
  3. 3.クリティカルシンキングの基本ステップ
    1. 3.1.1.達成すべきものを明確にする
    2. 3.2.2.問題を定義する
    3. 3.3.3.問題を解決する施策を考える
  4. 4.クリティカルに思考するためのポイント
    1. 4.1.思考の偏りを意識する
    2. 4.2.前提は何かを考える
  5. 5.クリティカルに考えられるエンジニアを育てるには?
    1. 5.1.定期的にケーススタディを行う
    2. 5.2.外部の研修制度を利用する
  6. 6.クリティカルに思考できる人材を育てよう

クリティカルシンキングとは何か?


(出典) pexels.com

クリティカルシンキング(critical thinking)は日本語で「批判的思考」と訳されるため、物事を何でも批判的に捉える考え方と思われがちです。 しかし、単に物事の短所や欠点を指摘するのではなく、特定の目的を達成するために身に付けるべき思考技術といえます。まずはクリティカルな思考とはどのようなものか、しっかりと理解しておきましょう。

そもそもクリティカルな考え方とは?

クリティカルな考え方とは、物事の「粗探し」をするのではなく、日頃の自分の思考パターンや考え方を客観的に把握し、さまざまな観点から分析・検証する思考法です。 人間は自らの経験や学んだ事柄をベースに物事を判断するため、どうしても思考に偏りが生じます。それでも正しい解答を導き出せる場合はありますが、偏った価値観や考え方によって、実際とはかけ離れた答えを出してしまうケースも珍しくありません。

そこで、「本当にこれが正しいのか?」と自らの考え方や見方を批判的に検証することで、より妥当で正しい結論を導き出そうとするのがクリティカル思考の本質です。

ロジカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングと混同されやすい考え方に、ロジカルシンキング(論理的思考)があります。 ロジカルシンキングはビジネスパーソンにとって必須のスキルといわれており、さまざまな講座や研修も開催されているので、必要性を理解している人も多いでしょう。 合理的に物事の筋道を考え、帰結を予測・判断するのがロジカルシンキングです。物事を筋道立てて考えられれば、誰でも同じような結論にたどり着けます。ビジネス上の判断や交渉で、非常に役に立つスキルです。

一方、クリティカルシンキングはさまざまな観点から物事を考え、妥当性や客観性を判断する思考法と定義できます。適切な基準や根拠に基づいて、できる限り偏りのない考え方をする思考技術といえるでしょう。 思考の対象だけでなく、その主体である自分の考え方が妥当であるかも検証するのが、クリティカルシンキングの大きな特徴です。

クリティカルシンキングの事例

例えば、多くのエンジニアが毎日残業をしているにもかかわらず、進捗が遅れているプロジェクトがあったとします。計画通りに進まない点について、プロジェクト管理者が「メンバーのやる気がないせいだ」と発言したとしましょう。

果たして、この主張は正しいのでしょうか? 確かにエンジニアがやる気を失っていれば、プロジェクトの進捗に遅れが出るかもしれません。しかし、進捗が芳しくない点についてクリティカルに考えるなら、まずはしっかりとした調査が必要であることが分かるはずです。 エンジニアが本当にやる気を失っているのか、実際にやる気の欠如がプロジェクトを遅らせている原因なのかを確かめなければいけません。

調査をしてみると、他の要因がプロジェクトの進捗に影響を及ぼしている可能性もあります。 たとえ現場の統括者の指摘だったとしても、うのみにせず検証するのがクリティカルな姿勢といえます。さまざまな観点から物事を考え、調査も含めて妥当性を判断するのが、クリティカルシンキングの基本です。

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クリティカルシンキングを身に付けるメリット

(出典) pexels.com

クリティカルシンキングはビジネスシーンをはじめ、多くの場面で活用できます。特に、エンジニアがクリティカルシンキングを身に付けるメリットを確認しておきましょう。

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スピーディーに結論が出せる

クリティカルシンキングは、限られた情報でスピーディーに結論が出せるのがメリットです。ビジネスでは変化のスピードが速く、じっくりと時間を取って判断するのが難しい場面も少なくありません。 限られた時間・情報の中で多角的に物事を検討し、妥当な判断を下せるようになれば、時間をかけて完璧な判断をするよりも有利になるケースが多くあります。

特に、ビジネスチャンスをつかむにはタイミングが重要なので、必要なときに妥当な判断を下せることが大事です。 クリティカルシンキングを日頃から実践しておけば、開発プロジェクトで重要な判断を迫られた際にも、素早く決断できるようになるでしょう。

柔軟な発想で本質的な思考ができる

クリティカルシンキングを身に付けることによって、多角的な視点で問題を捉えられるようになります。打ち出そうとしている施策の矛盾を修正しつつ、判断に必要な情報の抜け・漏れを防げるのがメリットです。

さらに、さまざまな観点で物事を考えられるようになるため、新たな発想を得られる可能性も高まります。エンジニア個人の生産性アップだけでなく、組織全体のパフォーマンスの向上にも寄与するでしょう。

正確な判断が可能になる

クリティカルシンキングは「思考プロセスの妥当性」もチェックするため、より正確な判断が可能になります。 どれほど素晴らしい考え方でも、何らかの欠点や穴が存在しているものです。主張の欠けた部分を補い、より妥当で現実的な方法に変えていくために、クリティカルシンキングは欠かせません。 考えの前提を疑って矛盾や漏れを見つけ出すことで、思考を洗練させられます。

たとえ優秀な人であっても、自分の経験や思い込み・価値観などが影響して客観的な判断ができないケースは珍しくありません。 クリティカルシンキングを心掛ければ、自分の認知バイアスを把握し、より客観的で多くの人に通じる答えを導き出せるようになるでしょう。

未知の領域にも対応できる

クリティカルシンキングを身に付ければ、自分に経験がない領域の問題や課題についても、自らの頭で考えられるようになります。本質的な問題は何かを推測できるので、情報が不足していても、ある程度は妥当な判断を下せるようになるでしょう。

新人のエンジニアでも、基本的な素養としてクリティカルシンキングを身に付けていれば、プロジェクトの一員としてパフォーマンスを発揮できるはずです。 結果として開発プロジェクトをスムーズに進められるようになり、企業全体の生産性が高まります。

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クリティカルシンキングの基本ステップ

 (出典) pexels.com

クリティカルシンキングは、単に物事の短所や欠点を指摘するものではありません。特定の目的を達成するために身に付けるべき思考技術であり、うまく活用すれば多くの問題を解決できます。 クリティカルシンキングの基本ステップを押さえておきましょう。

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1.達成すべきものを明確にする

クリティカルに物事を考えるには、まず達成したい目的を明らかにする必要があります。 目の前の問題を解決して、どのような状態にしたいのか・なぜそれを実現したいのかを明確にしましょう。

「何を」「いつまでに」「どの程度の状態に」持っていくのかを、具体的に示すことが大事です。 目指すべきゴールが明確になれば、達成にどのような情報が必要なのか、どういった視点で問題を捉えればよいのか分かります。やみくもに問題に向き合うよりも、解決の糸口をつかみやすくなるでしょう。

2.問題を定義する

クリティカルに物事を考えるには、設定したゴールや期限をもとに目の前の問題を定義します。目標と現状のギャップはどの程度か、具体的に何を解決すればゴールに近づけるのかを整理しましょう。

本質的な問題を明確にしなければ、有効な施策は打ち出せません。個人の思い込みや価値観が介入すると、問題そのものを見誤って的外れな分析をしてしまう可能性があります。 目に見える問題が本質とは限らないため、さまざまな視点から考察・検証を繰り返すことが大事です。

複数人で話し合って、お互いの盲点や不足している情報を補ってみましょう。これまで気付かなかった事実が浮かび上がってくるかもしれません。

3.問題を解決する施策を考える

本質的な問題を明らかにしたら、解決するための具体的な施策を考えましょう。目指すべきゴールと現状の間にあるギャップを埋める方法です。

単に思いついた施策を挙げるだけでは、クリティカルな思考とはいえないでしょう。なぜそのアクションをすべきなのか、周囲を納得させる説明ができなければいけません。 客観的な根拠を得るために、調査が必要な場合もあります。実現可能性の検証も必要でしょう。

特にビジネスシーンでは、打ち出した施策を上司やクライアントなどにプレゼンし、了承を得なければなりません。誰もが納得できる理由を説明し、その施策ならゴールを達成できると思ってもらうために工夫する必要があります。

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クリティカルに思考するためのポイント

 (出典) pexels.com

先天的にクリティカルシンキングが得意な人もいますが、不得意な人でも取り組み次第で後から身に付けられます。クリティカルに物事を考えるためには、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか?

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思考の偏りを意識する

クリティカルシンキングでは、自らの思考の偏りを意識することが重要です。どれほど公正中立に考えようとしても、人間である以上は偏った考えから完全には逃れられません。 人間の思考には、経験や身に付けた知識などが大きな影響を及ぼしています。

しかし、思考の偏りや主観から完全には逃れられなくても、自分自身が偏った思考をしてしまう可能性がある点を意識することは可能です。 自分の考えは「偏っているかもしれない」「間違っている可能性がある」と意識できれば、徐々に視野が広がり、客観的かつ柔軟な思考ができるようになってきます。 周囲の意見を聞きながら、これまでとは違った角度から物事を考える習慣を付けてみましょう。

前提は何かを考える

思考の偏りを抑えつつ柔軟に物事を考えるには、前提は何かを考える癖を付けることも大事です。 世の中は、さまざまな「前提」に基づいて物事が決められています。

例えば、赤信号で車が止まるのは、「赤信号=停車しなければならない」という前提(ルール)があるからです。 もし赤信号で進み青信号で停車する国があったとすれば、前提がひっくり返っていることになります。 こういったルールの多くは妥当なものです。

しかし、中には前提が曖昧だったり、必ずしも正しいとは限らなかったりする場合もあります。時代の変化によって、以前の常識が通用しなくなるケースもあるでしょう。 誤った前提を基にすれば、当然ながらその前提から導き出された判断も誤ったものになってしまいます。

クリティカルシンキングで前提を疑う癖を付けておくと、狭い価値観や凝り固まった考え方で作られたルールに縛られません。より柔軟で、時代に即した施策を打ち出せるようになるでしょう。

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クリティカルに考えられるエンジニアを育てるには?

(出典) pexels.com

自社のエンジニアがクリティカルシンキングを身に付けることで、企業が得られるメリットは多くあります。クリティカルに思考できる人材を育てるために、組織として何ができるのでしょうか?

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定期的にケーススタディを行う

社内でエンジニアにクリティカルシンキングを身に付けさせるには、定期的にケーススタディやグループワークを実施して、実際に問題を解く機会を設けるのが有効です。

個人で学習するよりも、複数人で問題を解き合った方が柔軟かつ広い視点で物事を考えられるでしょう。不足している視点を補い合えるだけでなく、他者の発想や思考プロセスを参考にできます。 複数人で行う研修では、アウトプットに対して他者からフィードバックも受けられます。思考の盲点や癖を自覚して、より客観的な視点から物事を考えられるようになるでしょう。

外部の研修制度を利用する

外部の研修を利用して、社内のエンジニアにクリティカルシンキングを身に付けさせることも可能です。 近年はさまざまな企業が、外部向けにクリティカルシンキングの講座や研修を開催しています。うまく活用すれば、社内で研修をするよりも効率的にクリティカルシンキングを身に付けられるでしょう。実践的な演習でエンジニアの思考力を強化できます。

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クリティカルに思考できる人材を育てよう

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クリティカルシンキングは、前提となっている物事や価値観・実現可能性など、さまざまな点から思考の妥当性を問うのが特徴です。自らの思考の偏りについて理解し、前提を疑うことで新しい発想も得られるでしょう。 エンジニアがクリティカルシンキングを身に付ければ、自身の思考パターンや価値観・考え方の偏りも意識しつつ、現場で実現可能な施策を打ち出せるようになります。 企業としてグループワークや外部研修といった方法を検討して、エンジニア自身が積極的にクリティカルな思考を身に付けられる環境を整えましょう。

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