新人研修のカリキュラムに取り入れたい内容とは。決定までの流れ
新人研修のカリキュラムは、どのような内容を取り入れるとよいのでしょうか?一般的な新人研修の内容について解説するため、自社の目的に合った内容で実施しましょう。カリキュラム作成の手順や研修の実施方法についても解説します。初めて新人研修担当者になる方、外部に発注する担当の方も活用できると思います。
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目次[非表示]
- 1.新人研修の主な目的と必要性
- 1.1.必要なスキルを身に付ける
- 1.2.事業内容を理解する
- 2.研修カリキュラムの作り方
- 2.1.現場の声を聞き必須スキルをリストアップ
- 2.2.現場の声を聞きながら作成する
- 3.外部研修の活用も検討
- 4.カリキュラム決定前に考えること
- 4.1.スケジュール
- 4.2.研修の開催方法を選定
- 4.3.研修のゴールを考える
- 5.さまざまな手法を組み合わせる
- 5.1.即戦力を育てるOJT
- 5.2.知識を学ぶOFF JT
- 5.3.グループワーク
- 6.取り入れたいテーマ
- 6.1.社会人基礎力
- 6.2.マナー、コミュニケーション
- 6.3.ロジカルシンキング
- 6.4.コンプライアンス
- 7.目的を明確にして作成し、価値ある研修を
新人研修の主な目的と必要性
カリキュラムの内容や作成方法を見ていくにあたり、まずは新人研修の目的について確認しましょう。目的や必要な理由が分かれば、自社に適したカリキュラムの作成に役立ちます。
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必要なスキルを身に付ける
新人研修の目的は働く上で必要なスキルを身に付けることです。全てを学ぶのは難しいですが、基礎的なビジネスマナーや業務に必要な知識の基礎的な部分について一定以上の水準で身に付けることを目指します。
また、エンジニアの新人研修では、業務に必要なプログラミング言語を学ぶカリキュラムを実施することもあります。理系出身者でプログラミング言語を習得していても、独学では必要なスキルを満たしているとは限りません。
さらに、文系出身者をエンジニアとして採用するケースも増えています。この場合、プログラミング言語についてほぼ知らないということもあり、新人研修で基礎から教育することが必須です。
事業内容を理解する
自社の事業内容について理解を深めることも新人研修の目的です。
また、どのような価値を提供することで成り立っている企業なのかということや、企業理念を理解することで、新入社員のやる気につなげる狙いもあります。
ただし、企業理念は1度の研修で身に付くものではありません。繰り返し行う研修の中で触れることで、徐々に浸透させていきましょう
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研修カリキュラムの作り方
研修で使うカリキュラムを作るときには、現場で働く社員の声をもとにすることがポイントです。実践で役立つスキルや、現場での学びがスムーズになる知識を盛り込むための作成手順を解説します。
現場の声を聞き必須スキルをリストアップ
まず行うのは仕事をする上で必須のスキルをリストにすることです。このとき現場の声をもとに作成することで、実態に合ったリストができます。
また、職種や年次ごとにできるようになっていると望ましいスキルがはっきりしていれば、育成するときの基準が明確で指導や評価をしやすいでしょう。なおかつ、新人本人もスキル向上の目標として利用できます。
現場の声を聞きながら作成する
次に、リストアップしたスキルをもとにカリキュラムを作成します。このときも現場で働く社員の意見を取り入れながら作ることで、実践で役立つ内容を学べる研修に仕上がりやすくなるでしょう。
また、スキルのリストが事前にあるため、自由に意見を出してもらったとしても議論がまとまりやすい点もポイントといえます。そのため、比較的短い時間で現場の意見を反映したカリキュラムを作成できるでしょう。
外部研修の活用も検討
研修の種類によっては外部研修を利用した方がよい場合もあります。
例えば、ビジネスマナーやビジネスライティングといった内容の研修です。どの業種や職種にも、必要なスキルを専門に研修を実施する企業があります。
このような企業に依頼することで、自社で実施するより質の高い研修を実施できる可能性が高くなるでしょう。また、社内での実施では提供できない知識を学べる可能性もあります。さらに準備にかかる手間や時間を削減する効果も見込めるでしょう。
一方、自社の業務について・業界の課題についてといった研修の場合には、社内で実施する方がより専門性の高い研修ができます。
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カリキュラム決定前に考えること
新人研修の実施が決まったら、カリキュラムの前に設定しておかなければならないことがあります。計画的に研修をするために必要な項目です。
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スケジュール
まずは研修のスケジュールを決定しましょう。基礎から教育が必要な新卒採用は3~6カ月間ほどが適切です。社会人経験のある中途採用は、業界や自社のルールを学べばよいため1~3カ月間程度で行われます。
また、業種や職種によっても研修期間は異なりますが、一般的に技術系職種は研修期間が長めに設定される傾向です。基礎知識がないと業務に取りかかれないエンジニアも、比較的研修期間は長めに設定されます。
ただし、ずっとインプットし続けるわけではありません。研修でインプットしたら、学んだ内容を生かし実務でアウトプットしましょう。これを繰り返すことで段階的なスキルアップを目指せます。
研修の開催方法を選定
次に決めるのは開催方法です。大勢の新入社員を1度に集めるのを避けるため、集合研修の実施が難しいこともあるでしょう。そこで、オンライン研修を取り入れる企業が増えています。
特に注目されているのが、オンライン研修と集合研修を使い分ける「ブレンディッドラーニング」です。他にも、入社式とその前後のみ集合研修で他はオンライン研修を行う方式を採用する企業もあります。
また、参加人数を減らし複数の教室で研修を実施し、不足分をオンライン研修で補うという方法も考えられます。
ただし、集合研修には会場が必要ですが、複数の教室で実施すると自社の部屋数だけでは足りないかもしれません。その場合は、不動産会社や研修室の斡旋業者へ問い合わせて会場を探しましょう。
研修のゴールを考える
新人研修はゴールを設定してから始めることも大切です。
例えば、プログラミング言語の習得であれば、実際に利用しているフレームワークについて学び、最低限のスキル習得をゴールに定めます。
また、開発ツールについても最低限の仕組みを理解し基本的な使い方が分かるまでが研修のゴールです。この際、問題発生時の解決方法についても、パターンごとに学ぶとよいでしょう。
基本が分かっていれば、実際の業務を行う場でも比較的スムーズに仕事に取り組み、スキルアップしていけるはずです。最終的には新人本人が自分の成長を感じ、自信を持って取り組める状態を目指しましょう。
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さまざまな手法を組み合わせる
研修にはさまざまな手法があり性質が異なります。それぞれのよさを生かすため、複数の手法を組み合わせて実施しましょう。
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即戦力を育てるOJT
新人を即戦力として育てるにはOJTが有効です。実務に携わりながら学ぶ方法のため、業務に必要な知識やスキルを無駄なく効率的に学べます。
ただし、忙しい現場や教育担当者が多忙な場合、OJTへ十分な時間を割けず新人が放置される可能性があります。また、教育担当者の意識やスキルが低い場合、新人の能力をうまく引き出せないこともあるでしょう。
配属先によって成長スピードに差が出やすい手法のため、現場任せにせずフォローしながら進めることが大切です。
知識を学ぶOFF JT
職場外研修とも呼ばれるOFF JTは業務に必要な知識を学ぶための手法です。参加者全員が同じ内容を学ぶことで、均一な学習効果を得やすいでしょう。
また、OFF JTはインターネットを使い実施するeラーニングとも相性のよい研修方法です。パソコンやスマホがあれば受講できるため、都合のよい時間に学習を進められます。
さらに、学習の状況は履歴が残るため、進度や成績をチェックしフォローすることも可能です。会場に集まり授業形式で行う研修と比較し、コストを抑えて実施できるのも魅力といえます。
密を避けつつ、必要な知識を習得するための研修方法としても注目されている手法です。
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グループワーク
具体的な課題にグループで取り組むグループワークは、ロジカルシンキングや周りの意見を取り入れる柔軟性・時間内に完成させる実行力などを育む手法です。
中でも、作業型グループワークでは商品パッケージやロゴマーク作りなどの作業を行います。一方プレゼン型グループワークは、テーマについてディスカッションを行いプレゼンする手法です。
どちらの方法で実施する場合にも、制限時間を設けましょう。そうすることで、時間内で効率よく作業・ディスカッションするためにはどのような方法があるのか、体験しながら学べるのです。
また、テーマは何を学ぶグループワークかという点を基準に設定します。例えば、新規事業の立案・自社サービスの強みは何かなどです。
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取り入れたいテーマ
どのようなテーマで新人研修を実施するかという点も大切なポイントです。代表的なテーマについて知り、研修に取り入れましょう。
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社会人基礎力
社会人に欠かせない能力を社会人基礎力といいます。
例えば、主体性は試行錯誤しながら自ら判断し仕事を推進していくために欠かせません。この際、計画を立てて段取りよく行動することも大切です。
また、主体性を持ち仕事に取り組むには、課題を見つけ解決するための思考力もポイントといえます。周りの意見を取り入れつつチームで協働する能力も必要です。
社会人基礎力を新人研修で取り扱うことにより、これらの能力を効果的に身に付けられるでしょう。
マナー、コミュニケーション
ビジネスマナーを学び実践することは、お客様の安心感や社内での良好なコミュニケーションにつながります。単にマナーを教えるだけでなく、そのようにする理由まで解説すると迷いなく実践できるでしょう。
また、ビジネスシーンでのコミュニケーションを学ぶには、ロールプレイングも有効です。グループワークの形式で制限時間内に課題に取り組むことで、チームでの仕事の仕方を身に付けていけるでしょう。
ロジカルシンキング
論理的な会話に必須のロジカルシンキングも重要なテーマです。
例えば、客観的に情報を整理し、結論を導き出す能力がないままビジネス上の会話を進めてしまうと、対立が発生することもあります。関係者が納得できる結論を導き出すためには、論理的な思考から生まれる建設的な会話が欠かせません。
研修でロジカルシンキングについて学ぶことで、日々の業務の中で徐々に訓練されていくことが期待できます。
コンプライアンス
法令順守を意味するコンプライアンスもカリキュラムに組み込みましょう。
コンプライアンス違反は意図的なものばかりではありません。下記のように知らないことが原因で違反していたということもあります。
- インターネット上で公開されている文章をコピペして資料に使った
- 業績が好調で決算賞与が出ることをSNSで発信した
- 宛先を誤ってお客様宛のメールを送信した
これらは悪意なく行っていたとしても、法令違反として扱われる可能性がある事柄です。企業に被害を与えることもあるため、リスクマネジメントとして研修で扱いましょう。
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目的を明確にして作成し、価値ある研修を
新人研修のカリキュラムを作成するときには、研修の目的を明確にすることが大切です。その上で現場の意見をもとに、必要なスキルやそのために実施すべき教育についてまとめましょう。
また、OJT・OFF JT・グループワークといった手法を目的に合わせて使い分けることも重要です。加えて、社会人基礎力・マナー・コンプライアンスなどのテーマも取り入れ、価値ある研修をしましょう。
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