SNS採用とは?ソーシャルリクルーティングのポイントを解説
目次[非表示]
- 1.導入企業が増えているSNS採用
- 1.1.SNS採用が注目される理由
- 1.2.採用活動におけるSNSの活用パターン
- 2.採用活動にSNSを利用するメリット
- 2.1.企業の個性や魅力をアピールできる
- 2.2.情報を広く拡散できる
- 2.3.採用コストを抑えられる
- 3.代表的なSNSの特徴と活用法
- 3.1.若年層の利用が多い「Twitter」
- 3.2.中途採用に向く「Facebook」
- 3.3.アクティブ率が高い「LINE」
- 3.4.相手の経歴を確認できる「LinkedIn」
- 4.採用活動におけるSNSの運用方法
- 4.1.ターゲットに応じた媒体を選択
- 4.2.担当者と運用ルールを決める
- 4.3.投稿内容の分析・改善
- 5.SNS採用で注力したいポイント
- 5.1.発信する情報を厳選する
- 5.2.長期的に運用できる体制を作る
- 6.SNSを活用して採用の成功を目指そう
導入企業が増えているSNS採用
SNS採用とはSNSを活用して行う採用活動で、『ソーシャルリクルーティング』とも呼ばれています。SNS採用を検討している企業の担当者は、注目を集めている背景や代表的な活用パターンを押さえておきましょう。
(出典) pexels.com
SNS採用が注目される理由
従来の紙媒体や求人サイトへの出稿といった方法の他に、SNS採用にも活動に力を入れる企業が増えてきました。背景には応募者の行動に起こりつつある変化です。
総務省の調査によると、2020年にSNSを利用していると答えた人の割合は20代で90.4%、30代で86%に上っています。 現在30代までの求職者は多くが幼い頃からインターネットに触れており、SNSやWeb検索など複数の手段を使った情報収集に抵抗を持ちません。企業の公式アカウントをフォローして、採用やサービスの情報を収集するといった行動をとります。 SNSの利用率が上がっている背景を受け、新たな採用手法としてソーシャルリクルーティングを検討する企業が増えたのです。
実際リクルートが行った中途採用における施策の調査では、2021年度は新しく導入したい施策の3位にSNSを使った採用がランクインしました。
参考:株式会社リクルート
採用活動におけるSNSの活用パターン
一口に『SNS採用』といっても、採用のどの段階にSNSを使うかは企業によって異なります。
応募者を集める段階での用途は『採用ブランディング』です。採用におけるブランディングは、応募者に対して自社の価値を発信し「入社したい」と思う動機を作る施策を指します。
採用専用のアカウントを作り、スカウトや応募者とのやり取りのためにSNSを使うのも一つの活用パターンです。質問への回答や面接の日程調整といったフローを全てSNSに集約します。 SNSを外部のアプリや企業のWebサイトと連携させて、求職者の利便性を上げる取り組みも行われます。自社が抱える課題を考慮して活用のパターンを決めましょう。
■関連記事
採用ブランディングで課題を解決。活躍できるエンジニアを獲得しよう
採用活動にSNSを利用するメリット
(出典) pexels.com
SNSを採用活動に取り入れると、従来の方法にはなかったメリットを得られます。求人サイトや紙媒体での採用と比較して、SNSを取り入れる利点は何なのでしょうか。
問題解決力を身に付ける若手、新人SE・PG向けの通年Java研修(1~3ヶ月コース)はこちら
企業の個性や魅力をアピールできる
求人サイトや紙の求人票にも、会社の特徴は掲載できます。しかし給与や勤務時間・応募条件といった事務的な内容がメインとなるため、企業の個性や社風といったソフトな面はなかなか伝わりません。
SNSで企業のアカウントを作ると、求人広告や求人票に掲載する内容とは別にリアルな情報を発信できます。自社のWebサイトと違ってリアルタイムの情報を届けられるため、社風の判断に役立つでしょう。 双方向のコミュニケーションが可能というSNSの性質から、求職者が企業をより身近に感じられるようになるのもメリットです。
情報を広く拡散できる
他の採用媒体と比べてSNSが大きく勝る点は『拡散力』です。SNSではユーザーがクリック一つで自らのフォロワーに対し、他のアカウントの投稿を共有できます。 さらにフォロワーのフォロワーまで拡散されるため、インパクトや有益性が大きい情報なら一瞬で大量の求職者に届く可能性もあります。
求人票や企業サイトの求人情報だと、基本的にある程度は自社に興味を持った人だけ中身を見に来ます。SNSと違って関心の薄い潜在層にまでは届きません。 自社についてよく認知していない潜在的な求職者にアプローチしたいなら、SNSを使った採用活動を取り入れると効果的でしょう。
採用コストを抑えられる
メディアへの広告掲載やマッチングエージェントを通じた求人活動には、大きなコストがかかります。一方SNSはアカウント作成に費用がかからないケースがほとんどのため、採用コストの削減が可能です。
ただSNSで採用活動を行うには、SNSのアカウントを管理するリソースが必要になる点には注意しましょう。『中の人』の人件費をはじめ、内部コストは発生します。 SNS運用の効果を高めるためには、マーケティングやSNS運用に関するノウハウが必要です。外部のコンサルタントを頼る場合、依頼にかかる費用も用意しなければなりません。
SNSを使ったからといって、必ずしも低コストで高い効果を見込めるわけではないと考えましょう。
■関連記事
未経験のITエンジニア採用。成功させるコツと戦力化のポイント
代表的なSNSの特徴と活用法
(出典) pexels.com
SNSには複数の種類があり、利用者の層もサービスの特徴も異なります。自社が欲する人材にアプローチできるSNSの種類を見極めて、採用活動に生かしましょう。SNS採用で注目したい媒体を四つ紹介します。
若年層の利用が多い「Twitter」
Twitterはユーザーのタイムライン上にフォローした相手のつぶやきやニュース、公告などを流すサービスです。ハッシュタグやトレンド機能を活用すると、話題になっている情報をリアルタイムで拾えます。
特に若い世代で利用率が高いのが、Twitterの特徴です。総務省が2020年度に行った調査では、Twitterを『使っている』と答えた20代の割合は79.8%に上りました。 若年層にアプローチしたい企業は、Twitterが媒体の第一選択となるでしょう。『いいね』や『リツイート』といったアクティビティが活発で、幅広い層への拡散も望めます。
ただ1投稿につき140字という文字数制限があるため、Twitterのみで詳細な情報を発信するのは難しいでしょう。アプリや自社サイトなど他の媒体と連携させたり、求職者に個性をアピールしたりする施策に向いています。
参考:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省情報通信政策研究所
中途採用に向く「Facebook」
Facebookは元々、ハーバード大学の学生たちが友人とコミュニケーションをとるために開発されました。実名登録が必要という特徴から、他のSNSと比べて情報の信頼性に優れています。 公式サイトとしてFacebookのページを活用している組織もあるほどです。
SNS採用に活用する場合は、経歴やスキルの把握が求められる中途採用に向きます。 2020年度の総務省の調査では、利用率が高いのは30〜40代という結果が出ました。20代では2割未満と利用率が低いため、若手より中堅を募集したい企業向けでしょう。
Twitterほどの拡散性はないため、求職者の数よりも質を重視したい・採用のターゲットが絞り込めているという場合におすすめです。
アクティブ率が高い「LINE」
LINEは普及率が高く、日常的なコミュニケーションに広く活用されています。総務省の調査でも40代までの全ての年代で利用率が9割を超えており、求職者のほとんどが使っていると考えて問題ないでしょう。 1対1のやり取りを基本とする性質から、質問への回答や会場案内など個別対応が必要なフローに役立つ媒体です。
登録から利用までの敷居が低く、新たにSNS採用に取り組む企業でも導入しやすいという強みもあります。 『LINE for business』という企業用の有料サービスも用意されています。プロモーションの発信がしやすくなるため、LINEを主力として企業の情報発信をしていくなら活用を検討しましょう。
相手の経歴を確認できる「LinkedIn」
『LinkedIn(リンクトイン)』は日本では普及率が低いものの、グローバルユーザーは2020年の時点で6億人を超えている媒体です。日本でも今後は利用が拡大していくと予想されます。
LinkedInはビジネス特化型のSNSとして、世界中で広く認知されている媒体です。実名で利用する文化があるため、求職活動の場として信頼性が高いという特徴があります。 Facebookよりも気軽につながりを持てる、Twitterに似た性質もLinkedInの強みです。
元々転職のために作られたサービスだけあって、職務経歴やスキルを詳しく記載できる機能が魅力です。 特にITエンジニアやクリエイティブ職など、専門的な技能を持つ人材の発掘に適しています。
■関連記事
中途採用者に行うべき研修の目的と内容。即戦力を養成するポイント
採用活動におけるSNSの運用方法
(出典) pexels.com
SNSを使って採用活動を行う場合、どのように運用すれば効果を高められるのでしょうか。運用する上で押さえておきたいポイントを解説します。
学歴、学部による「IT知識」「基礎知識」の格差を無くす個別指導の新人研修プロエンジニア育成コース(Java2・3ヶ月コース)はこちら
ターゲットに応じた媒体を選択
自社が欲する人材像は、どの企業も採用活動を始める段階である程度は決まっているでしょう。SNS採用に使う媒体も、ターゲットとする層にアプローチできる種類を選ばなければなりません。
新卒採用で若い世代に広く知ってもらいたいのに、Facebookを選んでも効果を見込めません。また情報の確度が重要な求職者のリサーチに、匿名性の高いTwitterは推奨されません。 媒体を選ぶ前にターゲットとする人がよく使う媒体の種類や、媒体ごとの特徴をしっかり把握しておきましょう。
同じ情報を発信しても、届きやすいプラットフォームならより高い効果を見込めます。
担当者と運用ルールを決める
SNS運用の担当者が決まっていないと、更新や返信が滞ってしまいイメージダウンにつながる可能性があります。コンスタントに投稿や問い合わせへの回答ができるよう、あらかじめ担当する社員を決めておかなければなりません。
運用を担当するメンバーが複数人の場合は、曜日や時間帯の割り振りを明確にしましょう。 SNS採用を取り入れ始めたばかりの企業では、『中の人』である担当者が個人の投稿と同じ感覚で運用してしまうという問題が起こります。企業の顔としてふさわしい発信や対応ができるように、ルールの策定が必要です。
できるだけ細かくガイドラインを定め、不適切な発信や炎上を招くような対応を防ぎます。企業としてのイメージ戦略に成功すれば、応募したいと思うファンを増やせるでしょう。
投稿内容の分析・改善
運用担当者がガイドラインを守っていても、自社の欲する人材にアピールできなければ採用戦略として成功とはいえません。定期的に分析を加えて効果を検証し、改善の方向性を探りましょう。
SNSでは企業の投稿に対して、どの程度の反応があったかが効果を図る指標です。例えばTwitterでは『いいね』や『リツイート』が多かった投稿から、内容の方向性や投稿する時間帯の勝ちパターンが見えてきます。 逆に炎上してしまった投稿は原因を分析することで、企業のイメージダウンを防げるではずです。
■関連記事
SNS採用で注力したいポイント
(出典) pexels.com
SNSを用いた採用活動を行う場合、効果を高めるために注力したいポイントがあります。中でも重視したい『情報の厳選』と『長期的な運用体制』について、必要性と方法を確認しておきましょう。若手、新人エンジニアの成長を阻む 人材育成5つの失敗と解決策はこちら
発信する情報を厳選する
よくある失敗例として挙げられるのが、ただ社内の様子や画像をアップするという使い方です。社内向けのSNSであれば問題ありませんが、求職者が欲しい情報が含まれていなければ採用活動としての効果は得られません。
発信する情報は『SNS運用で達成したい目標』を軸に厳選しましょう。ブランディングが目的ならイメージアップにつながる情報を、採用サイトへの誘導が目的なら導線となるメッセージを盛り込みます。
運用担当者には炎上のリスクを回避するためのリテラシーや、魅力的なコンテンツを作る能力が求められます。ガイドラインの策定は前提として、定期的に内容を見直しながらSNSの活用を効果につなげましょう。
長期的に運用できる体制を作る
SNSで効果を上げるには継続性が重要になってきます。話題性のある大企業や芸能人ならともかく、できたての企業アカウントに人が大勢集まるケースはまれです。長期的な視点を持って成功までの道筋を探らなければなりません。
長期に運用できる体制作りは早期に済ませておきましょう。発信の担当者1人に無理をかけてしまわないよう、状況に応じて複数人で運用するといった工夫が必要です。 コンスタントな発信を続けるために、更新頻度やユーザーからの反応に対応するタイミングも決めておきます。1日に2回以上は投稿・就業時間中のリプライやDMには2時間以内に返信するなど、具体的な数字を使うのがポイントです。
■関連記事
オンボーディングの重要性。手厚いサポートにより解決できる課題とは
SNSを活用して採用の成功を目指そう
(出典) pexels.com
SNSが一般に広く普及している背景や企業側から積極的な情報発信が求められる現状から、SNSを使った『ソーシャルリクルーティング』に臨む企業が増えています。 SNSにも複数の種類があるため、ターゲットとする求職者と媒体ごとの特徴を照らし合わせて活用パターンを決めましょう。
自社の採用課題を解決できるような発信や、運用体制の整備も必要です。 長期的な視点で効果を上げていくためには、定期的な効果測定と改善が欠かせません。SNS採用のポイントを押さえて、自社の採用課題を解決しましょう。