オンボーディングの重要性。手厚いサポートにより解決できる課題とは
オンボーディングとは、新人社員の定着や戦力化を早期に行うための取り組みです。効果的に実施すれば、組織全体の結束力を高め売上の向上につなげられるでしょう。オンボーディングの基礎知識やメリット、具体的な施策を詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.オンボーディングとは
- 1.1.新入社員の定着と活躍をサポートする取り組み
- 1.2.一般的な研修との違い
- 2.オンボーディングで解決を目指せる課題
- 2.1.まずは自社が抱える課題を明確化する
- 2.2.課題1. 早期離職
- 2.3.課題2. 即戦力化が求められている
- 3.オンボーディングを行うメリット
- 3.1.職場全体が結束しチームで活躍できる
- 3.2.採用活動にかかるコストを抑えられる
- 4.オンボーディングを進める上でのポイント
- 4.1.いつ、何をするか具体的に計画を立てる
- 4.2.既存社員への説明
- 4.3.離職率などを指標とした効果測定を行う
- 5.オンボーディングの施策、事例
- 5.1.メンター制度を取り入れる
- 5.2.1on1やアンケートで社員の悩みを把握する
- 5.3.必要な情報にすぐアクセスできる環境作り
- 6.オンボーディングで新人の心細さを解消
オンボーディングとは
新人研修などの一般的な研修と違い、オンボーディングは新人社員に対するより広義の取り組みを指す言葉です。効果的に実施できるよう、オンボーディングの定義を正確に理解しましょう。
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新入社員の定着と活躍をサポートする取り組み
オンボーディングとは、新卒採用や中途採用で招き入れた新入社員がしっかりと職場に定着し、できるだけ早く活躍できるように企業側がサポートする取り組みです。
新入社員を対象とした研修に限らず、より大きな枠組みで教育や受け入れ態勢を整えることを意味します。
分からないことを気軽に相談できるメンター制度を導入したり、面談やアンケートで新入社員の悩みを集めたりする施策は、オンボーディングの代表的な事例です。
自社に関して知りたい情報があるとき、社員がすぐにアクセスできるシステムを整えることもオンボーディングを意識した取り組みといえます。
一般的な研修との違い
新人研修などの一般的な研修は、自社の事業内容を説明したり業務スキルを習得させたりするために、入社後すぐなどの短い期間で実施されるのが一般的です。
一方でオンボーディングは、組織全体の結束を図り企業の生産性を高めるために、既存社員も巻き込みながら継続して行います。
オンボーディングという言葉は、船や飛行機に乗っている状態を表す「on-board」から来ています。
企業を船に見立て新しい乗組員となる新入社員に対し、「これから同じ船に乗って一緒に頑張っていこう」という姿勢を見せることが、オンボーディングの本質といえます。
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オンボーディングで解決を目指せる課題
オンボーディングでは、早期離職と即戦力化に関する課題の解消を目指します。取り組む前に自社の課題を明確化しておくことが重要です。
まずは自社が抱える課題を明確化する
オンボーディングは、新入社員が職場に定着して早く活躍できるようにサポートする取り組みです。
新人社員が職場に定着できない理由や早く活躍できない理由を明らかにし、それを解消するよう動くことがオンボーディングとなります。
多くの新人社員が早期離職したり即戦力にならなかったりする裏側には、少なからず課題が存在しているはずです。
離職者や即戦力にならない社員が発生する原因を分かる範囲で可能な限り明確化し、自社の課題点として記録しておく必要があります。
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課題1. 早期離職
新人社員が早期離職する主な理由としては、「入社前に抱いたイメージとのギャップ」「職場における人間関係の悩み」「業務量の過多・過少」が挙げられます。
これらの課題はさらに細分化できます。例えばイメージのギャップとしては、「上下関係が厳しい」「残業が多い」「簡単な仕事しかさせてもらえない」などがあるでしょう。
他にも入社時からキャリアアップを考えているケースや、社外から魅力的なオファーを受けるケースなど、自社が直接の原因とならない課題も考えられます。
課題2. 即戦力化が求められている
新人社員が即戦力にならない理由としては、「業務内容を覚えられない」「職場になじめない」「自分に合う仕事とは思えない」などが考えられるでしょう。
これらの理由を課題として捉えた上で新人社員の即戦力化につなげるためには、早期に解決できるようなプランを立てることが重要です。
即戦力化に半年程度かかるという漠然とした尺度を持っていたのであれば、1カ月単位などの短いスパンで成長度合いが分かるようなプランを立てる必要があるでしょう。
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オンボーディングを行うメリット
組織全体の結束力を強められることや採用コストを抑えられることが、オンボーディングを行う代表的なメリットです。それぞれについて詳しく解説します。
職場全体が結束しチームで活躍できる
オンボーディングは、早期離職の防止や新入社員の即戦力化を図るため既存社員も巻き込んで継続的に行う取り組みです。
一般的な研修と違い企業内のあらゆる人が関与することになるため、新人社員との関係をより深められます。
オンボーディングを通じて既存社員同士のつながりを強化できるのも特徴です。部署やプロジェクトの垣根を越えて交流が活性化されれば、職場全体の結束感が強まります。
新人社員への取り組みをきっかけに組織力が強化され、結果として業績アップを期待できることがオンボーディングを行う大きなメリットです。
採用活動にかかるコストを抑えられる
新人社員の定着率が低い企業では常に人材を募集しているような状態になりやすいため、採用活動にかかるコストの負担が増加します。
オンボーディングにより早期離職を防止できれば、採用活動で発生するコストの削減につなげられるでしょう。
人材育成にかかるコストを抑制できるのもメリットです。一般的に新しい人材を採用した後、その人材が戦力になるまでの期間は一定のコストがかかります。
オンボーディングで定着率を向上できれば、新人育成の機会が減るため結果として育成にかかるコストも削減できます。
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オンボーディングを進める上でのポイント
オンボーディングを行うにあたっては、プランの作成や既存社員への説明・効果測定を実施する必要があります。気を付けるべきポイントを押さえておきましょう。
いつ、何をするか具体的に計画を立てる
早期離職や即戦力化に関する課題を洗い出し、課題を解消するための目標を設定できたら、プラン作成を行います。
オンボーディングのプラン作成では、「誰が・いつ・どこで・何をするのか」できるだけ具体的な計画を立てるのがポイントです。
例えば新人社員が初めて出社する日の案内役を手配したり、複数人が同時に入社する場合は同期のコミュニティを作成したりするなど、細かい段取りを整える必要があるでしょう。
新人社員の入社後は、新人全員に共通するプランだけでなく性格や能力を把握した上で個別プランを立てること取り組みも重要です。
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既存社員への説明
オンボーディングを実行する際は、企業としての考えや具体的な計画を事前に既存社員へ説明しておくことが必須です。
新人社員への育成方針を全社的に共有しておかなければ、オンボーディングを効果的に進めるのは難しいでしょう。
企業によっては、新人社員が入社してくること自体を既存社員に伝えていないケースもあります。そのような雰囲気の中に新人社員が配属しても不安を増幅させるだけです。
誰がどのような役割を果たすべきなのかを事前にきちんと説明しておけば、既存社員の間に新人社員を出迎える雰囲気が生まれます。結果として新人社員が組織になじみやすくなるでしょう。
離職率などを指標とした効果測定を行う
オンボーディングを実施した後は、具体的に実行した施策の効果を定期的に検証することが大切です。
効果測定を行うためには適切な指標を定める必要があります。既存社員の離職率や幸福度・新人社員の満足度・メンターの定着率を把握することなどが、代表的な指標として挙げられるでしょう。
指標を基にした効果測定を行うことで、オンボーディングのプロセスにおける改善点を把握しやすくなります。
オンボーディングの効果測定では既存社員の満足度や行動傾向も把握できるため、組織全体の改善にもつながります。
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オンボーディングの施策、事例
オンボーディングで取り組める具体的な施策や事例を紹介します。自社への導入を検討する際の参考にしましょう。
メンター制度を取り入れる
新人社員が入社後に抱えやすい不満点の一つに、分からないことを上司に直接聞きづらいという問題が挙げられます。
「こんなことも分からないのか」「何回も同じことを教えなければならないのか」などと思われたくない新人社員は多いでしょう。
このようなケースにはメンター制度の導入が効果的です。メンターとは指導や相談にあたる人を指し、一般的には先輩社員など立場の近い人を指名します。
より身近な人がメンターになることで、新人社員の定着度や即戦力化が期待できるでしょう。メンター側にもマネジメント能力を向上できるメリットがあります。
1on1やアンケートで社員の悩みを把握する
オンボーディングを開始した後は、1on1などの面談やアンケートを通じて新人社員が抱えている悩みを把握する必要があります。
1on1やアンケートはできるだけ短いサイクルで実施するのがポイントです。最低でも1カ月に1回程度は実施しなければ十分な効果が得られないでしょう。
社員の悩みで特に多いのが人間関係です。上司やメンターだけでなく同僚も巻き込んで、人間関係の改善に尽力する必要があります。
1on1以外では、複数の人と面談する機会を設けることでより職場になじみやすくなるケースもあるでしょう。
必要な情報にすぐアクセスできる環境作り
リモート入社などですぐに相談できる相手が近くにいない場合は、必要な情報へアクセスしにくくなります。
新人社員が情報を入手しやすい環境を整える取り組みが、課題の解消につながるでしょう。
例えばフリマアプリを運営するメルカリでは、必要な情報を『オンボーディングポータル』と呼ばれる独自システムに集約し、新人社員がスピィーディーにアクセスできる環境を構築しています。
自社でシステムの構築を検討するなら法人向けに開発されたツールの導入がおすすめです。学習機能を使うことで、新人社員がいつでもアクセスできるトレーニングコンテンツを作成できます。
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オンボーディングで新人の心細さを解消
オンボーディングとは、新人社員の定着と即戦力化を企業全体でサポートする取り組みです。組織全体の結束力強化や採用コストの抑制にもつなげられます。
取り組みを進めるにあたっては、課題の明確化やプラン作成・既存社員への説明・効果測定を行うのがポイントです。
効果的なオンボーディングで新人社員の悩みや不安を解消し、定着率の向上や即戦力化を実現しましょう。