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ラテラルシンキングとは?エンジニアが取り入れるメリットとポイント

前提を取り払って柔軟に物事を考えるラテラルシンキングは、エンジニアの業務でも活用できます。曖昧な状況でも答えを出せるので、自社のエンジニアに身に付けてもらうことで生産性が向上するでしょう。ラテラルシンキングのポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.ラテラルシンキング(水平思考)とは?
    1. 1.1.発想の枠を広げるのが目的
    2. 1.2.ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
    3. 1.3.ラテラルシンキングには正解がない?
  2. 2.エンジニアがラテラル思考を身に付けるメリット
    1. 2.1.開発で新たな発想を得られる
    2. 2.2.曖昧な状況でも答えを出せる
    3. 2.3.プログラミングにも役立つ
  3. 3.ラテラルシンキングの例題
    1. 3.1.「割り切れない」ものを分ける方法
    2. 3.2.大量のメールをどう処理するか?
  4. 4.ラテラルシンキング実践のポイント
    1. 4.1.「当たり前」を疑ってみる
    2. 4.2.本質は何かを追求する
    3. 4.3.「偶然」にも目を向けてみる
  5. 5.エンジニアのラテラル思考を鍛えるには?
    1. 5.1.例題をたくさん解いてもらう
    2. 5.2.ラテラルシンキングの研修を導入する
  6. 6.ラテラル思考ができるエンジニアを育てよう

ラテラルシンキング(水平思考)とは?

ラテラルシンキングは日本語では「水平思考」と呼ばれており、思考の枠を取り払って発想を広げるための思考法です。まずは、ラテラルシンキングとはどういうものか、基本的なところから理解しておきましょう。

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発想の枠を広げるのが目的

ラテラルシンキングは、もともと1960年代にマルタのエドワード・デ・ボノ博士が提唱した考え方です。 いかなる前提条件にもこだわらない自由な思考法が、ラテラルシンキングとされています。解決策を導くための過程を気にすることなく、さまざまな角度から問題を捉えて解決を目指すアプローチです。

特定の問題や課題に対して事実を一つずつ並べ、筋道立てて考えるのではなく、柔軟な発想によってスタート地点からいきなり解決策を導き出す場合もあります。

ロジカルシンキング(論理的思考)との違い

ロジカルシンキング(論理的思考)とは「AだからB、BだからC」といったように、物事を筋道立てて順番に積み重ね、結論を出すアプローチです。 異なる経験や価値観を持っている人同士でも、「論理」を媒介に意思疎通が可能になるのが特徴です。

「思考法」と聞いて、初めに思い浮かべるのがロジカルシンキングという人も多いでしょう。 ロジカルシンキングでは周知の前提やルールを目の前の事実に当てはめ、特定の解答を導き出すのに役立ちます。一方、ラテラルシンキングは前提を取り払って、柔軟な発想で問題や課題の解決を導き出したいときに使える思考法です。 これらは、互いに相反する考え方ではありません。

ラテラルシンキングで導き出した解答に対して、妥当かつ実現可能かどうかを検証するのにロジカルシンキングが役立つでしょう。両者は相互補完の関係にあるのです。

ラテラルシンキングには正解がない?

ラテラルシンキングは、問題に取り組もうとする人それぞれが、自由な発想で解決を目指す思考法です。 ロジカルシンキングのように特定の解答が導き出されるわけではなく、おのおのが別の解決策を出してくる可能性が高くなります。正しい解答は一つとは限りません。

実際にビジネスシーンでは、正解のない問題に取り組まなければならない場合もあります。一般的な前提やルールを基に考えていては、有効な施策が打ち出せないケースが珍しくないでしょう。 正解が一つではないラテラルシンキングは、ビジネス上のイノベーションを起こすきっかけになります。誰も思いつかなかったような切り口から、改善策や新たなサービスの案が出てくるかもしれません。

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エンジニアがラテラル思考を身に付けるメリット

(出典) pexels.com

エンジニアがラテラルシンキングを身に付けると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ラテラルシンキングを習得することで、エンジニア自身や企業が得られる恩恵を見てみましょう。

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開発で新たな発想を得られる

エンジニアがラテラル(水平的)に物事を考えるようになれば、ソフトウェアの開発やシステムの構築などで、画期的な解決策を導き出せる可能性があります。 それまでになかった発想で仕事を進められるようになり、ビジネス上のイノベーションにつながる場合もあるでしょう。

既存の問題に対して画期的な解決策を打ち出せれば、組織全体のパフォーマンスが向上し、エンジニア自身の市場価値も向上するはずです。

曖昧な状況でも答えを出せる

曖昧な状況や前例のないケースでスピーディーに答えが出せるのも、ラテラルシンキングを身に付けるメリットです。 とりわけシステム開発の現場では、前例のない状況や問題に直面することが珍しくありません。ラテラルに考えて素早く答えを出せるエンジニアが多くなれば、予期せぬトラブルが起こってもプロジェクトを頓挫させることなく進められるでしょう。

特に、納期が差し迫っていて時間がない状況で、最短ルートを見つけるのにラテラルシンキングは有用です。誰も気付かなった方法を発見できれば、開発部門だけでなく組織全体が恩恵を受けられる可能性があります。

プログラミングにも役立つ

プログラミングを進めるには、論理を積み重ねることももちろん重要です。一方、目的を達成するための最短ルートや最適解を、柔軟に見つけるアプローチも求められます。

ラテラル思考を推奨して既存の枠にとらわれず発想できるエンジニアを増やせば、プログラミングに要する時間やコストを大きく削減できるかもしれません。 事実、新たな発想によって大きく発展してきたのが、プログラミングの領域です。エンジニアのラテラルシンキングを磨くことにより、日々の作業を通じて業界全体の発展が促される可能性もあります。

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ラテラルシンキングの例題

 (出典) pexels.com

ラテラルシンキングの正解は一つではありません。重要なのは柔軟な発想で問題を捉えて、自分なりの回答を示すことです。ラテラルシンキングの例題と回答例を見て、自分なりに考えてみましょう。若手、新人エンジニアの成長を阻む 人材育成5つの失敗と解決策はこちら

「割り切れない」ものを分ける方法

例題:3人の子どもに13個のオレンジを公平に分けてあげるには、どうすればよいか?

これは、ラテラルシンキングに関する記事や書籍でよく取り上げられる例題です。「割り切れない」ものをどう分けるかを考えてみましょう。正解は一つではありません。 回答例としては、次のようなものがあります。

  • 回答例1:まずは4個ずつ分けて、残りの1個を3等分に切り分ける。
  • 回答例2:オレンジをジュースに加工して、同じ分量で分ける
  • 回答例3:割り切れず余った1個の種を埋め、新しくオレンジを育てて3人で分ける

回答例1のように、ロジカルシンキングの延長で答える方法ももちろん一つの正解です。回答例2や3のように、全く新しい発想で回答を導き出せる場合もあります。重要なのは、前提や既成概念にとらわれずに発想してみることです。

大量のメールをどう処理するか?

例題:某ソフトウェア企業では顧客からの問い合わせが多く、日々対応に追われていた。この状況をどうやって解消するか?

顧客から来る大量の問い合わせに難儀している企業は少なくないでしょう。特に回答に専門知識が必要な案件の場合、エンジニアが問い合わせの返信に時間を取られてしまい、重要な業務がおろそかになる可能性があります。 できるだけ柔軟な発想で回答を考えてみましょう。回答例としては、次のものが考えられます。

  • 回答例1:顧客対応を外部に任せる
  • 回答例2:WebサイトにFAQを掲載する
  • 回答例3:顧客が不明点を感じないような製品を開発する
  • 回答例4:既存客に問い合わせの対応を依頼する

「顧客対応の外注」や「FAQの設置」は、多くの企業が実践している解決策です。ありがちな発想ではありますが、有効な施策でしょう。

回答例の3は根本的な問題の解決にはなるものの、実現可能性を考えると難しいかもしれません。

回答例4は、既存客に別の顧客の対応をお願いするという斬新な発想です。相手が承諾してくれれば、自社の負担は大きく軽減される可能性があります。 これらはあくまでも回答例ですが、前提に縛られなければ多角的な視点から解決策を考えられることが分かるでしょう。

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ラテラルシンキング実践のポイント

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ラテラルシンキングを実践するには、いくつかのコツがあります。柔軟な発想を得るために、紹介するポイントを意識してみましょう。社内のエンジニア不⾜を解決するたった1つの解決⽅法はこちら

「当たり前」を疑ってみる

それまでの前提やルールや固定観念にとらわれず、自由に発想するのがラテラルシンキングの特徴です。 目の前の問題や課題がどういった前提を持っているかに注目し、それが本当に正しいのかを考えてみましょう。「当たり前」とされているものを疑う姿勢が重要です。

特にビジネスの環境は日々刻々と変化しており、数年前まで当然と思われていた事柄が通用しなくなっているケースも珍しくありません。 それまでのルールを疑い、別な前提を置くことで思わぬ解決策が導き出される可能性もあります。当然だと思っていた考え方を疑うことから始め、より広い視野で物事を考えてみましょう。

本質は何かを追求する

ラテラルシンキングを身に付けるには、物事を抽象化して「本質は何か」を考える姿勢も大事です。個別具体的な事柄だけを考えていると視野が狭くなり、特定の範囲内でしか発想ができなくなってしまいます。

例えば、エンジニアの人材不足に悩んでいる場合、「いかに優秀なエンジニアを獲得するか」を考えがちではないでしょうか? 確かに優秀な人材を獲得できれば、長期にわたって組織のパフォーマンスが向上するはずです。新たな人材確保の施策が、企業にとって重要なのは間違いないでしょう。 ただし、「なぜ優秀なエンジニアが必要か?」という本質を考えてみると、最終的には「企業の利益を向上させるため」という目的が見えてくるでしょう。

本質的な目的を達成するために、必ずしも新たに人材を確保する必要はないかもしれません。場合によってはOJTの充実や外部の研修を活用するといった施策も、課題の解消に寄与するでしょう。

「偶然」にも目を向けてみる

ラテラルシンキングを磨きたければ、偶然の「出会い」や「発見」にも目を向けてみましょう。偶然に経験した事柄から新たな発想を得られることは珍しくありません。 これまで体験した事柄を目の前の問題に当てはめると、思いもよらなかった新しい発想が出てくる可能性があります。

また、不運な体験やトラブル・失敗した経験から、イノベーションが生まれるケースも多くあります。 例えば、トランジスタやゴムなどは、現在は当たり前のように使われています。しかし、もともと計画的に開発・制作が進められていたわけではなく、発明者が失敗した出来事を生かしたのが始まりです。 常に発想の転換を心掛けることによって、失敗体験ですらも問題解決やイノベーションのきっかけにできるのです。

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エンジニアのラテラル思考を鍛えるには?

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 自社のエンジニアにラテラル思考を鍛えてほしいときは、どのようなアプローチをすればよいのでしょうか?これも柔軟な発想で考えれば、色々な施策が思い浮かぶはずです。 一般的に効果的とされる方法を参考に、自社の課題から最適な方法を検討しましょう。

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例題をたくさん解いてもらう

ラテラルシンキングを習得させるには、実際に問題を解いてもらうのが有効です。社内で講座や勉強会などを開き、参加したエンジニアにできるだけ多くの例題を解いてもらうとよいでしょう。

ラテラルシンキングの例題やクイズは、Webサイトや書籍でも広く紹介されています。エンターテイメント性の高いものも多いので、講座のアイスブレイクにも利用してみましょう。 講座の講師や管理者が、自社に特有の問題・課題を設定するのもおすすめです。楽しみながらラテラルな思考を身に付けられます。

ラテラルシンキングの研修を導入する

自社で講座やグループワークを実施するのに加えて、外部の研修制度を利用するのもおすすめです。 近年はさまざまな研修会社が、ラテラルシンキングやロジカルシンキングといった思考法の講座を開いています。自社に研修を行うリソースがない場合は、積極的に活用しましょう。

ジョブサポートの研修では、Web開発エンジニアに必要な知識やスキルだけでなく、本質的な問題解決力の育成にも取り組んでいます。 最初から正解を教えず自ら答えを考えさせるアプローチを取るため、ラテラル思考を磨くのに効果的です。

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ラテラル思考ができるエンジニアを育てよう

(出典) pexels.com

ラテラルシンキング(水平思考)とは、既存の価値観や固定観念にとらわれず、さまざまな視点から柔軟に発想する思考法です。エンジニアが身に付けることで複雑な状況でもスムーズに答えが出せるようになり、幅広いシーンで役立つでしょう。

ラテラル思考を身に付けるには、「前提を疑う」「本質を追求する」といったポイントを押さえつつ、多くの例題を解いてみるのがおすすめです。 企業としても、社内でグループワークを行ったり外部の研修を利用したりしながら、柔軟に発想できる人材を増やしましょう。結果として組織全体の生産性アップにつながるはずです。

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