エンジニアに必要なロジカルコミュニケーション。メリットや育て方
相手に分かりやすく伝える「ロジカルコミュニケーション」は、エンジニアに必要な能力の一つです。ロジカルな伝え方とは何か、ロジカルコミュニケーションを習得するとどのようなメリットがあるのかを解説します。育成のポイントもチェックしましょう。
目次[非表示]
- 1.ロジカルコミュニケーションとは?
- 1.1.相手が理解しやすい話し方
- 1.2.エンジニアに必要なコミュニケーション手法
- 2.ロジカルコミュニケーションを身に付ける利点
- 2.1.必要な事柄を端的に伝えられる
- 2.2.スムーズかつ正確な意思疎通が可能になる
- 2.3.プレゼンや交渉に強くなれる
- 3.ロジカルコミュニケーションに必要な要素
- 3.1.ロジカルシンキング(論理的思考力)
- 3.2.論点を理解・整理する力
- 3.3.話を分かりやすく組み立てるスキル
- 4.ロジカルなエンジニアを育成するには
- 4.1.社内でロジカル思考のトレーニングを行う
- 4.2.外部の研修を活用する
- 5.ロジカルに伝えられるエンジニアを育てよう
ロジカルコミュニケーションとは?
企業が必要としている人材が多様化する中、異なるバックグラウンドを持つ人とスムーズにコミュニケーションを取るコミュニケーション方法が注目されています。 ロジカルコミュニケーションはその一つであり、ロジックを通じて相手が理解しやすい話し方をするのが特徴です。
相手が理解しやすい話し方
ロジカルコミュニケーションは、一言でいえば「相手が内容を理解しやすい話し方」です。英語研修の講師だった安田正氏によって提唱されました。 伝えたい情報をしっかりと整理し、相手が理解しやすい構成で話すことで、スムーズなコミュニケーションの実現を目指します。
従来、日本人は言葉にせずとも伝わることに重きを置く文化を持っていました。しかし、異なるバックグラウンドを持った相手に、以心伝心で物事を伝えるのは難しいでしょう。 自分とは違った文化や価値観を持った人に対しても、ロジックを媒介にして分かりやすく物事を伝えれば、スムーズなコミュニケーションが実現します。
エンジニアに必要なコミュニケーション手法
エンジニアは開発プロジェクトをはじめ、同じ専門知識を有するエンジニアとコミュニケーションを取る機会が多いでしょう。 一方、社内の営業職やエンジニアではないクライアントなど、専門知識を持たない相手とコミュニケーションを取る機会も少なくありません。 職種が違う相手には専門的な内容をかみ砕いて伝える必要があるため、よりロジカルに物事を伝える工夫が必要です。
エンジニアがロジカルコミュニケーションを身に付けることで、専門分野の違う相手や組織外の相手に対しても、よどみない意思の疎通が可能になります。 意思疎通の行き違いが、プロジェクトの進捗にも影響を及ぼしてしまう可能性があります。コミュニケーション上のミスやトラブルを防ぎ、スムーズに開発を進めるには、ロジカルな伝え方が必要になるでしょう。
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ロジカルコミュニケーションを身に付ける利点
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ロジカルコミュニケーションを身に付けると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?代表的な三つの利点を把握すれば、エンジニアがロジカルな伝え方を習得する必要性が分かるはずです。問題解決力を身に付ける若手、新人SE・PG向けの通年Java研修(1~3ヶ月コース)はこちら
必要な事柄を端的に伝えられる
伝えたい内容を端的に表せるのが、ロジカルコミュニケーションの大きな特徴でありメリットです。伝えたいことを効率的かつ素早く伝えられるので、コミュニケーションにロスが生じません。
ロジカルに伝えられないと、どうしても話が長くなり、相手にストレスを与えてしまいます。 また、説明が非効率で何度も同じ内容を説明しなければならない状況は、プロジェクトの進行に悪影響を及ぼすでしょう。 互いのストレスを最小限に抑えて業務を円滑に進めるためにも、特にエンジニアはロジカルコミュニケーションを習得した方がよいといえます。
スムーズかつ正確な意思疎通が可能になる
相手に情報をスムーズかつ正確に伝えられるのも、ロジカルコミュニケーションの利点です。頭の中では何を伝えたいのか明確になっていても、話の構成や言葉の選び方などで、意図が正確に相手に伝わらない場合もあるでしょう。
たとえスピーディーに業務をこなせる優秀なエンジニアでも、専門外の人との意思疎通に難儀するケースは珍しくありません。ロジカルに相手に伝える技術を身に付ければ、意図が正確に伝わらずに後からトラブルになる事態を防げます。
プレゼンや交渉に強くなれる
ロジカルコミュニケーションを身に付ければ、相手に「何を伝えたいのか」が明確になるため、プレゼンや交渉で有利になるでしょう。 主張がはっきりしていなかったり説明が支離滅裂だったりすると、たとえ意見や主張が正しくても受け入れてもらえない可能性があります。
ロジカルな伝え方ができるようになると、話のポイントを明確にした上で筋道立てて伝えられるため、相手を説得しやすくなります。 また、エンジニア同士の会話でも、うまく考えが伝わらない場合も少なくありません。日常業務を円滑に進めるためにも、エンジニアにはロジカルに物事を伝える力が必要です。
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ロジカルコミュニケーションに必要な要素
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ロジカルコミュニケーションに求められる要素とは、具体的に何なのでしょうか?自社のエンジニアにロジカルな伝え方をマスターさせたい担当者は、まず必要なスキルを把握しましょう。
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ロジカルシンキング(論理的思考力)
ロジカルなコミュニケーションを実現するには、前提としてロジカルに物事を考えられるようになる必要があります。「ロジカルシンキング」のスキルは欠かせません。 論理的思考の基本となる「演繹法(えんえきほう)」「帰納法(きのうほう)」の理解や、的確に物事を伝えるために情報を整理する力が求められます。
前提(ルール)を目の前の事実に当てはめて結論を出すのが演繹法で、一つ一つの事実を精査して共通点を見いだすのが帰納法です。 加えて、判断に必要な情報を漏れ・重複がないように集める「MECE」と呼ばれる技術や、ピラミッド構造で物事を整理する手法も習得したいフレームワークでしょう。 ロジカルシンキングの基本やフレームワークを理解して実践できるようになれば、自然とロジカルな伝え方も身に付いてくるはずです。
論点を理解・整理する力
相手に説得力のある主張をするには、「何を伝えたいのか」「何を求めているのか」を明確にしなければなりません。ロジカルコミュニケーションには、どのような情報を伝えれば目的が達成できるのかを明らかにする力が必要です。
伝えたいメッセージや論点が整理されていなければ、相手は結論が分からずに混乱してしまいます。 伝えたい情報を整理し時には切り捨て、本当に重要な情報を的確に伝える練習が大事です。訓練すれば誰でもできるようになるので、研修の内容として検討しましょう。
話を分かりやすく組み立てるスキル
ロジカルシンキングをもとに思考を整理して伝えたいメッセージを明確にしたら、相手に理解しやすいよう伝えるスキルも必要です。相手にどうすれば論旨を分かりやすく伝えられるかを考え、話の構成を工夫します。 多くの人にとって分かりやすい話や、説得力の高い話にはある程度の決まった構成があります。例えば結論から入って次に根拠を示す構成の方が、後から結論を話すよりも相手に伝わりやすいでしょう。
ロジカルな話の特徴は、結論と理由がしっかりと提示されており、そのつながりが明確であることです。結論と理由の関係を少し意識するだけでも、話の説得力が変わってきます。 ロジカルなコミュニケーションができる社員を育てたいなら、話を分かりやすく構成するスキルも習得させましょう。
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ロジカルなエンジニアを育成するには
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人によってロジカル思考の素養には違いがあります。企業としては、まず全体のレベルの底上げを考えましょう。ロジカルコミュニケーションは、どのような方法で鍛えられるのでしょうか?
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社内でロジカル思考のトレーニングを行う
社内でロジカルに伝えるための「ロジカル思考」をトレーニングするのも、一つの方法です。ロジカルコミュニケーションのケーススタディーには、社内で実践できるものも多くあります。
2~3人程度のグループワークを行うだけでも、一定の効果があるでしょう。エンジニア同士や各部門の代表者を集め、定期的に開催するのがおすすめです。 ロジカル思考は一朝一夕で身に付くものではありませんが、積み重ねることで徐々に育っていきます。論理的に考えられるようになれば話を整理する力も付き、ロジカルコミュニケーションの実現に近づくでしょう。
外部の研修を活用する
社内のエンジニアに本格的にロジカルコミュニケーションを身に付けさせたいなら、外部の研修を活用するのもよいでしょう。 さまざまな企業がロジカル思考に関する研修を開催しており、ロジカル思考やコミュニケーション術の体系的な習得が可能です。
ジョブサポートの研修では、エンジニアとして必要な知識・スキルとともに、コミュニケーション能力を鍛えられるコースも用意しています。 社内にコミュニケーションの研修を行うリソースがなくても、ワンストップで総合的な力を身に付けられる講座を使えば育成を進められるでしょう。
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ロジカルに伝えられるエンジニアを育てよう
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ロジカルコミュニケーションとは、相手に伝わりやすいコミュニケーション手法を指します。ロジカルに意思疎通ができるスキルを身に付ければ、必要な事柄を正確に伝えられるだけでなく、交渉力やプレゼン力を高めることも可能です。
スムーズなコミュニケーションのためには、基本となる論理的思考力に加えて「話を分かりやすく構成するスキル」も求められます。社内で研修やグループワークやトレーニングを行うほか、外部の研修も検討してみましょう。