アサーティブコミュニケーションとは?エンジニアが習得するメリット
目次[非表示]
- 1.アサーティブコミュニケーションとは?
- 1.1.「アサーティブ」の意味を知ろう
- 2.自己表現の三つのタイプ
- 2.1.アグレッシブ(攻撃的)
- 2.2.ノンアサーティブ(非主張的)
- 2.3.アサーティブ(自他を尊重した主張)
- 3.エンジニアがアサーティブな表現を身に付けるメリット
- 3.1.コミュニケーションロスを軽減できる
- 3.2.自分の意見を効果的に主張できる
- 3.3.業務のパフォーマンスが向上する
- 4.アサーティブな表現を身に付けるには?
- 4.1.「四つの柱」を理解する
- 4.2.DESC法を実践する
- 5.アサーティブコミュニケーションを向上させるポイント
- 5.1.定期的にワークやディスカッションを行う
- 5.2.外部の研修を利用する
- 6.エンジニアのコミュニケーション力を向上させよう
ビジネス上のコミュニケーションは、「アサーティブ」であることが重要とされています。特にチームで業務をこなすエンジニアは、アサーティブな表現を積極的に身に付ける必要があるでしょう。アサーティブコミュニケーションの意味やポイントを解説します。
アサーティブコミュニケーションとは?
アサーティブコミュニケーション(Assertive Communication)とは、意思の疎通を図ろうとする全ての人を尊重するための表現です。アサーティブネス(Assertiveness)やアサーション(Assertion)と呼ばれる場合もあります。 もとはアメリカで登場したコミュニケーション手法であり、日本にはなかった概念ですが、近年は日本でもビジネスシーンを中心に注目を集めています。
「アサーティブ」の意味を知ろう
「アサーティブ」とは、積極的に自己主張をする様を表現した英語ですが、決して自己中心的な意味合いで使われる言葉ではありません。 自らを他者に理解してもらうために振る舞うことであり、主張や意見を適切に伝える姿勢を指します。相手を尊重して対等に付き合いながらも、自らの考えをしっかりと伝えるのが「アサーティブコミュニケーション」です。
日本語にはぴったりと該当する表現がないため、しっくりこない人もいるかもしれません。ただ、欧米ではすでにビジネス上のコミュニケーション手法として重視されており、日本でも今後より重要性が増していくでしょう。
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自己表現の三つのタイプ
(出典) pexels.com
自らを表現する方法として、「アグレッシブ(攻撃的)」「ノンアサーティブ(非主張的)」「アサーティブ(自他を尊重した主張)」の三つがあるといわれています。 他のコミュニケーションタイプも知ることで、アサーティブコミュニケーションがどのようなものかを理解しやすくなるでしょう。
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アグレッシブ(攻撃的)
アグレッシブな自己表現とは、自らを優先し、相手の立場や状況などに構わず主張するタイプです。
自分の意見は明確に伝えるものの、相手の感情や立場を尊重することはありません。周囲からは自己中心的に思われがちで、コミュニケーションがうまくいかない可能性が高いでしょう。
その場では主張が通るかもしれませんが、相手の感情を害しやすく、今後は関わりたくないと思われてしまう場合があるはずです。業務にも支障が出てしまうかもしれません。
ノンアサーティブ(非主張的)
ノンアサーティブ(非主張的)な自己表現とは、他者の意見を尊重しすぎて自分の考えをはっきりと伝えないタイプです。
常に相手を第一に考えて、自らを抑圧している状態といえるでしょう。意見を求められた際には発言しますが、基本的に他者の主張に同調します。 相手と全く同じ考えであれば、同調するだけでも問題はないかもしれません。
しかし、実際は違った意見を持っていたり、自分の考えを聞いてくれない相手の姿勢に不満を持っていたりする人もいます。 自分のしている気遣いが認められていないと感じて、不機嫌になってしまう場合もあるようです。アグレッシブな表現タイプと同様に、コミュニケーションに行き違いが生じやすく、後からトラブルに発展するケースもあります。
アサーティブ(自他を尊重した主張)
アサーティブ(自他を尊重した主張)な自己表現は、自分の考えを尊重すると同時に、相手にも十分に配慮するタイプです。
人によって意見は千差万別という事実を認め、相手の主張を受け入れるべきところは受け入れ、自分が主張すべき部分はしっかりと伝えるのが特徴です。 周囲の人々の感情を無視せずに、相手の気分を害さないよう言葉遣いや言い回しなどに配慮します。 コミュニケーションのすれ違いにより、人間関係上のストレスを抱えがちな現代社会において、特に重視すべき自己表現方法といえるでしょう。
他者とのコミュニケーションを円滑に進めるために、必須のスキルといっても過言ではありません。
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エンジニアがアサーティブな表現を身に付けるメリット
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業界・業種にかかわらず、ビジネスパーソンはアサーティブな表現を身に付けることで多くのメリットを得られます。では、特にエンジニアがアサーティブな表現を身に付けるメリットは何でしょうか?
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コミュニケーションロスを軽減できる
アサーティブな自己表現を心掛ければ、周囲との円滑なコミュニケーションが可能になり、意思疎通の不足による業務上の損失やトラブルを回避できるようになります。 エンジニアの業務において、コミュニケーションロスは致命的な問題です。異なる職種の人にも自分の主張を受け入れてもらえなければ、システム設計の提案も進みません。
また、チームで仕事をしているエンジニアの場合は、アサーティブなコミュニケーションを心掛けることでメンバー同士の情報共有が活発になり、生産性も向上するでしょう。メンバー同士の仲間意識が芽生えるので、組織の成長も見込めます。
自分の意見を効果的に主張できる
アサーティブコミュニケーションを身に付けることで、プロジェクトマネージャーや部門統括者に対しても、自分の考えを伝えやすくなります。
上司・部下の関係では、どうしても上からの一方的な命令や通達に従わなければならないケースが出てくるでしょう。しかし、盲目的に従っているだけでは、組織にとってプラスにならない場合もあります。
アサーティブコミュニケーションを習得すると、上司の気分を害さず、スムーズな意見交換ができるようになるのがメリットです。個人の意見が活用されやすい環境が作れるでしょう。 結果として、現場の声を的確に反映した業務体制を構築しやすくなるでしょう。エンジニア自身が仕事をしやすい環境にもつながります。
業務のパフォーマンスが向上する
エンジニア個人がアサーティブコミュニケーションを実践すれば、組織の情報共有やチームワークが強化されるため、業務のパフォーマンスも向上します。 建設的な意見の交換や議論が活発になされるようになると、これまで発想しなかったアイデアが出てくるかもしれません。
斬新なアイデアは組織にイノベーションを起こし、企業の成績に良い影響を与えます。 アサーティブコミュニケーションによって意見が通りやすくなることで、エンジニアのモチベーションアップにつながるのも利点です。意欲が高まればパフォーマンスが向上し、さらなる生産性の向上につながります。
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アサーティブな表現を身に付けるには?
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アサーティブな表現を身に付けるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか? もともとアサーティブコミュニケーションを実践できる人もいますが、他者との意思疎通が苦手な人でも、ポイントを意識すればアサーティブな自己主張ができるようになってきます。
「四つの柱」を理解する
他者とアサーティブな関係を作り上げるには、「誠実」「率直」「対等」「自己責任」という四つの柱を理解し、実践する必要があります。
- 誠実:自分と相手のどちらにも誠実であろうとする姿勢
- 率直:相手に分かりやすく伝わる言葉を使う
- 対等:上から目線になったり卑屈になったりせず、相手と対等に向き合う
- 自己責任:自らの言動は自らの責任であることを認め、自分で始末をつける
上記のいずれも、アサーティブコミュニケーションには欠かせない要素です。特に相手と立場や価値観が異なるとしても、1人の対等な人間として接する姿勢がまず求められます。 立場を利用して自分の意見を押し付けたり、逆に卑屈になったりしないように注意しましょう。
たとえ表面上は対等に接しようとしていても、心の中で相手を見下していると何かしらの言動に表れてしまうものです。 横柄な態度は円滑なコミュニケーションの妨げになってしまいます。まずはどのような相手にも対等に接するよう、自らを戒める意識が必要です。
DESC法を実践する
アサーティブコミュニケーションを実践するには、四つの柱を意識した上で「DESC法」を実践するのがおすすめです。 DESC法は「Describe」「Explain」「Specify」「Choose」の頭文字を取った方法で、アサーティブな表現を実践するのに役立つ考え方です。
- Describe(描写):思い込みや偏見は排除し、具体的かつ客観的に事実を伝える
- Explain(説明):攻撃的な言い方は避け、自らの意見や感情を率直に説明する
- Specify (提案):現状の問題点に関して、明確な解決方法を提案する
- Choose(選択):提案に対する相手の反応に合わせて、自分の行動を選択する
提案する際には、高圧的な態度を取ったり命令したりするのではなく、相手の立場を尊重することが重要です。相手の感情にも配慮した上で、事実に基づいて現実的な提案をしましょう。
具体的・明瞭に提案しても相手が承諾できないようなら、さらに話し合って、双方が納得できる落とし所を模索する必要があります。 どういった提案をするにせよ、常に相手と対等な立場で話し合うことを心掛けましょう。「Win-Win」の関係を築こうとする意識が必要です。
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アサーティブコミュニケーションを向上させるポイント
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アサーティブコミュニケーションを社員に身に付けさせたい企業は、テーマを設定してグループでトレーニングするのが効果的です。社内で行う方法も外部の講座や研修を利用する方法もあるので、自社に合った方を選択しましょう。
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定期的にワークやディスカッションを行う
社内で定期的にできるトレーニングとしては、アサーティブコミュニケーションに関するワークや、テーマを設けたディスカッションがあります。 ある場面を仮定して、参加者の提案したコミュニケーション方法が「アサーティブかどうか」について意見交換をするのがおすすめです。
また、過去にノンアサーティブ・アグレッシブな自己表現をしてしまった経験を話し合い、どうすればアサーティブな表現に変わるのかを話し合ってみましょう。 アサーティブな表現に関する診断テストもあるので、事前に参加者のアサーティブのレベルを測っておくとより効果的です。
外部の研修を利用する
アサーティブコミュニケーションに関する外部研修もあります。さまざまな企業や団体が研修を開いているので、自社の環境に合ったものを選びましょう。社内に講義や研修のリソースが足りない場合におすすめです。 エンジニアなら技術的なスキルと一緒に、業務を円滑に進めるためのコミュニケーションスキルを外部研修で育てるのもよいでしょう。
ジョブサポートのプロエンジニアコースでは、新人からベテランのエンジニアまで、必要な知識やスキルを短期間で習得できます。コミュニケーション能力も育てられるので、ワンストップで育成したい企業は検討してみましょう。
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エンジニアのコミュニケーション力を向上させよう
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アサーティブコミュニケーションとは、相手を尊重しつつ、適切なアプローチで自己表現をする方法です。特にコミュニケーションロスが問題につながりやすいエンジニア業界では、業務を円滑に進めるためのスキルとして注目されています。 アサーティブな表現を身に付けるには、「誠実」「率直」「対等」「自己責任」を意識してトレーニングを重ねることが大事です。社内でグループワークやディスカッションを実践しつつ、必要に応じて外部の講義や研修も検討してみましょう。