OKRの意味や目的とは。目標設定と管理のやり方
OKRとはシリコンバレーの有名企業が取り入れていることでも有名な手法です。なぜ今OKRが注目されているのでしょうか?まずは基本的な意味や目的を確認しましょう。具体的な目標設定や管理の方法についても解説します。
目次[非表示]
- 1.OKRとは目標管理方法の一つ
- 1.1.OKRはなぜ注目されているのか?
- 1.2.企業の目標から個人の目標までがリンク
- 2.OKRのメリット
- 2.1.社員が主体的に仕事に取り組める
- 2.2.チームに一体感が生まれる
- 3.他の指標との違い
- 3.1.KPIは目標達成のための指標
- 3.2.MBOは企業の目標達成や人事評価の指標等
- 4.設定方法1 目標を決める
- 4.1.達成の可能性が70%程度の目標でOK
- 4.2.ムーンショットの特徴
- 4.3.「実現できそうな目標」の具体例
- 5.設定方法2 明確な成果を決める
- 5.1.実現可能な内容を複数設定
- 5.2.数値を入れて具体的に
- 6.OKRの運用方法
- 6.1.全員がOKRの目的や背景を理解する
- 6.2.設定して終わりではNG
- 6.3.状況に合わせられるよう四半期ごとに設定
- 7.OKR管理ツールのおすすめ3選
- 8.適切な目標設定でOKRを成功させよう
OKRとは目標管理方法の一つ
「Objective and Key Result(目標と主な成果)」の略であるOKRとは、組織の目標管理方法です。多くの企業がOKRに注目する理由や基本的な特徴について見ていきましょう。
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OKRはなぜ注目されているのか?
市場の急速な変化に対応するため、数カ月といったごく短期間での目標管理を行う手法がOKRです。半期や1年といった比較的長期の目標設定で対応できない事態にも、OKRであれば対応しやすいといわれています。
そのため、働き方改革や技術革新などによる変化はもちろん、社会情勢による変化が目まぐるしい現在の状況に合致する手法として注目されているのです。
また、多くの有名企業で取り入れられているという点も、注目される理由です。例えば、GoogleやFacebookなどのグローバル企業もOKRを導入しています。また国内で成果を出している企業としては、急拡大を果たしたメルカリが有名です。
企業の目標から個人の目標までがリンク
多くの有名企業が導入し成果を出しているOKRの特徴は、企業の目標と個人の目標がリンクしていることです。
従来の目標管理は、個人目標の達成が企業にどのように貢献しているのかイメージしにくいものでした。
しかし、OKRでは企業の目標を細分化し、チームや個人の目標へ落とし込んでいきます。その際、全体の目標を共有するので、それぞれの目標がどのような関係性になっているのかが理解しやすく、達成による貢献度も明確です。
全体の目指しているものと、それに向けて個人が行うべきことがはっきりするため、具体的なタスクを実行し着実に目標に向けて行動できる環境が整います。
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OKRのメリット
企業の目標から個人の目標へ落とし込んでいくOKRは、多くの有名企業が取り入れ成果に結びつけている手法です。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
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社員が主体的に仕事に取り組める
目標管理にOKRを取り入れると、社員が主体的に仕事に取り組みやすくなるというメリットがあります。企業と個人の目標にずれが生じないように設定するために、OKRでは全社員の目標を共有するのが基本です。
このようにはっきりとした目標が明確にされていることにより、社員のモチベーションアップにつながります。加えて、今やるべきことがはっきりと分かるため、社員自身で判断しどんどん行動できるようになるのです。
さらにOKRでは目標の進捗が数値で可視化されるため、達成感を得やすくなる点もポイントです。具体的な目標をもとに自律的に活動する組織では、より創造性を発揮した仕事を達成しやすいでしょう。
チームに一体感が生まれる
社員全員が同じ方向を向き一つの目標に向かっていくことで、一体感が生まれるのもメリットです。
単に個人の目標を設定した場合、達成しても企業の役に立っているかは分かりにくいでしょう。
しかし、OKRでは全ての社員の目標は、企業としての目標達成につながっていることが明確です。その上で達成率が数値で示されるため、どのくらい組織に貢献できているのかを、社員が意識しやすいのです。
また、目標の内容はもちろん進捗も全体に公開するため、社員同士のサポートを促すことも期待できます。フォローが必要な社員のサポートはもちろん、成果を出している社員にアドバイスを受けることも可能です。
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他の指標との違い
目標達成のために用いられる指標はOKR以外にもあります。他の代表的な指標の特徴をチェックすることで、OKRとの違いを確認できるでしょう。
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KPIは目標達成のための指標
目標達成の度合いをチェックするために用いられるのが「KPI(Key Performance Indicator)」と呼ばれる指標です。日本語では重要業績評価指標という意味で、計測可能な定量的なものを用います。
例えば、システム開発ではエラー件数・標準化率・テスト終了件数などが、人事部門では研修の受講率・業績目標の達成度・定着率などがKPIとして用いられるのです。
これらのKPIで目標設定をすれば、現在の達成度合いとの比較によりどのくらい成果が出ているかが一目瞭然です。目標値と大きく差がある場合、進む方向性が想定と異なることが考えられるでしょう。
また、業務の進め方について、改善や変更を実施する目安にもなります。
MBOは企業の目標達成や人事評価の指標等
「MBO(目標管理制度)」は、オーストリアの経営学者であるドラッカーが提唱した組織マネジメントの考え方です。企業の目標を達成することを目的に、個人やグループごとに目標を設定し管理します。
この仕組みを取り入れると、目標に対して誰がどのくらい成果を出しているか明らかです。また社員全員が自分の達成率を知ることで、自分の取り組むべきことを意識でき、モチベーションアップにもつながります。
また、個人の成果が明らかになるため、個々に評価する人事制度に生かすことも可能です。例えば、目標達成者にインセンティブを与えるといった賃金制度を導入し、やる気につなげることもできます。
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設定方法1 目標を決める
目標は100%達成するものというイメージを持っている人もいるでしょう。しかしOKRにおける目標は違います。では、どのような基準で目標を決めるとよいのでしょうか?
導入時に必須の目標設定について解説します。
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達成の可能性が70%程度の目標でOK
OKRで目標を設定するときの特徴は、必ずしも完全な目標達成を目指さない点です。
コントロールが難しい外部の変化に対応しながら結果を出す手法であるOKRでは、方向性を調整しながら達成に向けて業務に取り組みます。そのため、最初から達成率は70%ほどに設定します。
こうすることで、チームや社員は、大きな目標に向けてチャレンジできるようになるでしょう。
また、完全に目標達成できなかったとしても、より高い目標へ挑むことで予想外の成果が出ることも期待できます。
ムーンショットの特徴
魅力ある野心的な目標のことを「ムーンショット」といいます。OKRで目標設定をするときには、ムーンショットを意識することも大切です。
ムーンショットを実現するのは困難で、達成までの道のりは厳しいものになるでしょう。しかし困難な目標に対して一丸となって進む過程で、企業としての一体感が高まるといった利点もあります。
また、ムーンショットの達成はこれまでと同じ方法で頑張るだけではできないことがほとんどです。
そのため、発想の転換や常識に捉われないやり方を採用することにもなるでしょう。高い目標に向けて取り組むことで、新しいアイデアが生まれやすくなるからです。
結果として、当初の目標通りにならなかったとしても、期待以上の成果をあげやすくなります。
「実現できそうな目標」の具体例
OKRで目標設定するときには、数字で示さなくてOKです。チームや社員がわくわくしながら取り組める目標を設定しましょう。
例えば「ヒット商品を発売する」「イベントを成功させる」「収益の成長を加速させる」などが挙げられます。
この際、先ほども解説した通り、必ずしも100%達成可能な目標でなくてもOKです。
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設定方法2 明確な成果を決める
目標の次は明確な成果を設定しましょう。わくわくできることや現状に対して高めに設定する目標に対し、明確な成果はより具体的に設定することが大切です。
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実現可能な内容を複数設定
明確な成果を設定するときは、全力で挑めば達成できるレベルにするのがポイントです。目標で掲げるような難易度の高い内容とは異なり、現時点でも実現できそうと感じられるものを選びましょう。
また、明確な成果は複数設定しますが、一つの目標に対して2~5個ほどが適切です。多過ぎると負担が増えるため注意しましょう。
数値を入れて具体的に
目標は数値で表せないものでもよいですが、明確な成果は客観的に計測できる数値で表せるものを用います。
例えば、売り上げ・利益・新規顧客数などが代表的です。他にも下記のような成果を設定するとよいでしょう。
- サイトの滞在時間20%アップ
- 閲覧数50%アップ
- 週1回のペースで新しい要素を実験する
計測できる成果を設定するのは、目標の達成率を可視化するためです。定量的な成果であれば誰が見ても明らかに成果が分かります。
OKRの運用方法
目標と明確な成果を設定することから始まるOKRの運用ですが、単に設定しただけではうまく導入できません。企業全体に浸透させるための方法を知った上で取り入れましょう。
全員がOKRの目的や背景を理解する
新しい手法を取り入れるとき、まずは社員に納得してもらうことが大切です。そのためには、なぜOKRを導入するのか、その背景・目的・メリットなどをきちんと共有しましょう。
例えば、実行中の計画であってもよりよい方向性があればすぐに修正していくことや、完全な目標達成ではなく社員のマインドセットを変化させることが目的であることをきちんと説明しなければいけません。
また、ケースによっては、OKRの仕組み自体も変更する可能性があることを伝えましょう。単に手法の取り入れ方だけ説明するのではなく、その背景にあるものを企業に所属する全員が理解していることが前提だからです。
社員全員が納得の上取り組むことで、OKRの成果が出やすくなるでしょう。
設定して終わりではNG
OKRは設定しただけで導入できるわけではありません。まず大切なことは、全ての目標を企業全体で共有しチェックされる仕組み作りをすることです。
日々業務に取り組む中で、進捗状況の確認や進行の仕方の振り返りを繰り返すことで、徐々にOKRは浸透していきます。そのためには、簡単に確認できる仕組み作りも欠かせません。
また、運用の改善を続けることも大切です。OKRのサイクルが完了したら、目標設定や進捗の確認方法などに改善すべき点がないかチェックします。
このように、出てきた反省を次のサイクルに生かすことで、企業の状況にあったOKRになっていくでしょう。
状況に合わせられるよう四半期ごとに設定
目標管理を1~3カ月スパンで行うのもOKRの特徴です。従来であれば目標管理は1年間・半年間といった期間で行われるのが一般的でした。
しかし、現在の早い変化スピードに対応するには、より短い期間で方向転換や修正が必要なケースもあります。
1~3カ月に期間を設定することで、予期せぬ変化に対応可能な体制作りがしやすいのもOKRだからこそです。
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OKR管理ツールのおすすめ3選
導入にあたり大切なのは、社員に目的を理解してもらうことや、常に改善し続けることだけではありません。日々の管理が簡単にでき、必要なときにすぐに振り返れる仕組みも重要です。
より手軽に管理を実施するなら、OKR管理ツールを利用しましょう。数ある製品の中でも特におすすめの3種類を紹介します。
HiManager
ツリーで企業内の目標を可視化できる『HiManager』は、目標同士の関連や進み具合をパッと見ただけで把握できる点が特徴です。担当する目標がどこに位置しているか分かりやすいため、導入したてでも使いやすいでしょう。
目標が達成に近づいた場合には、その分バーを動かすだけで進捗状況を更新できます。簡単操作で管理できるため、目標管理の手間がかかりません。
また、実際に行ったアクションや進捗をコメントの形式で管理可能です。目標の進捗状況のチェックに利用できます。
Resily
『Resily』はコミュニケーションの効率化を目指している管理ツールです。
企業・チーム・個人の目標の関連が一目で分かるのはもちろん、それぞれの目標の進捗をアイコン横に設置されている顔の表情で確認できます。
そのため、進捗が思わしくないチームや個人をすぐに特定でき、迅速に状況のカバーが可能になるので、課題解決に役立てられるでしょう。
また、取り組む目標が企業の成長に役立つものなのかをチェックする機能がある点も特徴です。
Resilyサービス紹介 | クラウドOKRツール - Resily株式会社(リシリー)
banto
後回しになりがちな進捗状況の確認を、スマートフォンを使ったメッセージのやり取りでできるのが『banto』です。チャットボットが毎日決まった時間に進捗の提出を求め、社員は質問に答えるだけで報告が完了します
また、目標管理をストレスフリーで実施できるだけでなく、スペシャリストによるOKRの設計も依頼可能です。企業に合ったOKR設計の考え方から運用定着までサポートを受けられます。
banto(バントウ)|お一人月額300円で使えるOKRクラウド
■関連サイト
適切な目標設定でOKRを成功させよう
OKRとは企業・チーム・個人の目標を関連付けて設定する目標管理方法です。1~3カ月という短期間のサイクルで実施することにより、以前より早い変化のスピードに対応しやすいのが特徴といえます。
また、チームワークが発揮されやすくなることや、高い目標を掲げることで予想外の成果を出せる可能性がある手法です。
ただし、目標を設定し共有しただけではOKRは定着しません。導入の目的を周知することや改善し続けることなどを通して、全社へ浸透させていきましょう。OKR管理ツールの利用も役立ちます。