1on1の目的と成功の秘訣とは。社員をベストなサポートで育てる
1on1ミーティングを効果的なものにするには、いくつかポイントがあります。社員の成長につなげるために心掛けるべき進行の仕方や、身に付けるとよいスキルを確認しましょう。ジョブサポートでも自社社員、研修受講生に導入をしてますが今回1on1の基礎知識や実施方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.1on1の概要
- 1.1.1on1とは
- 1.2.これまでの面談との違い
- 1.3.組織全体への影響
- 2.1on1の取り入れ方
- 3.効果的な1on1にするための進め方
- 4.1on1の目的
- 4.1.信頼関係を深める
- 4.2.自発的な行動を促して部下を成長させる
- 4.3.リモートワーク下での対応策
- 5.1on1の成功に必要なスキル
- 6.1on1の導入事例
- 6.1.相互理解が深まった
- 6.2.上長のための研修でよりよい1on1に
- 6.3.外部のサービスを活用
- 7.1on1マネジメントで能力を引き出す
1on1の概要
そもそも1on1は通常のミーティングや面談とどのように異なるのでしょうか?効果的な1on1を実施するためにも、まずは違いをはっきり認識することが大切です。
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1on1とは
1対1でミーティングを行う1on1は、Yahoo社やアメリカのシリコンバレーで取り入れられている方法として有名です。
不安定さや複雑さが増す社会情勢の中、これまでの常識では対応しきれないことも出てきています。そのような状況の打開策としても注目されている手法です。
例えば従来型の、上司が部下に対して一方向的に指導するマネジメント手法では、社員の多様性を見出しにくく、変化への対応が難しいでしょう。
しかし、1on1を実施すると、相互コミュニケーションにより個々の社員が持つ特徴や個性が見出しやすくなります。画一的な能力が重視されていたときには分かりにくかった強みが、組織の力として生かせるのです。
これまでの面談との違い
従来の面談と1on1で異なる点は、誰のために行うのか、ということです。
従来の面談の目的は仕事を成功に導くことです。そのため、仕事において必要なことを指導する場であり、組織や上司のために実施するものといえます。
一方、1on1は上司が社員の成長をサポートする場です。テーマはその時々によってさまざまで、メンタルヘルス・業務の改善点・キャリア支援・モチベーションアップなどが挙げられます。
どのテーマで実施する場合でも、社員が仕事を通して成長を感じたり、ビジョンを実現したりできるよう勇気付けることが1on1の目的です。
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組織全体への影響
質のよい1on1の実施は、組織全体にポジティブな影響を与えるといわれています。
例えば、社員のパフォーマンス向上による業績アップや、成長の実感による離職率の低下が代表的です。
そのため1on1は、多種多様な人材が集まり始める「組織の急成長期」から実施するとよいでしょう。そうすれば、バックグラウンドの異なる社員とのコミュニケーションも、スムーズに実施しやすくなります。
また、導入した1on1が組織全体に浸透するよう、勉強会やフィードバックを行うことも大切なポイントです。
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1on1の取り入れ方
社員のモチベーションアップや、個々の強みを生かし組織にプラスの効果をもたらす1on1は、どのように取り入れるとよいのでしょうか?実施までにやるべきことを紹介します。
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スケジュールの調整
まずは社員と「スケジュール調整」をしましょう。できるだけ業務が落ち着いている曜日や時間帯を選び、定期的に実施すると1on1の効果を実感しやすいといわれています。
例えば毎週火曜日の10:00からを1on1の時間と定めたら、同じタイミングで実施し続けましょう。すると業務のルーティンの中に1on1が組み込まれ、自然と定着していきます。
従来の面談のように、半年や1年に1回行うだけでは1on1の効果は出にくいので注意しましょう。できるだけ頻繁に実施することで、社員との距離を縮め信頼関係を構築できます。
話すことをまとめる
次に行うのは扱う「テーマ」を決めることです。1on1の実施時に社員と相談しテーマを決めてもよいですが、慣れるまではテーマ決めに時間がかかることもあります。
そのため、スムーズに対話を進めるためにも、いくつかテーマの候補を挙げておくとよいでしょう。導入したてのタイミングでは、信頼関係を築くためにも、健康状態や日ごろ抱えている業務への不安といった内容が適切です。
関係性を順調に築けたら、業務やキャリアについてもテーマにしましょう。担当している業務の中で改善できる点・今後実現していきたいキャリア・社員自身の持つ強みなどを引き出すように話します。
面談シートの用意
自由に会話しながら進めていく1on1ですが、後から振り返りができるよう「面談シート」を用意しておきましょう。社員について振り返れるのはもちろん、自らの育成スキルを高めることにも役立てられます。
面談シートで記録する代表的なものは、以下になります。
- 目標
- 目標の進捗状況
- うまくいったこと
- 困っていること
- フィードバック
- 備考
1on1を実施していく中で必要と感じる項目が出てきたら、追加するとよいでしょう。
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効果的な1on1にするための進め方
意義のある1on1を実施するためには、進行の仕方もポイントといえます。また、単に実施しただけで終わらせないために振り返りを行うことも大切です。
適度な緊張感で話しやすいMTGが理想
緊張感でいっぱいの雰囲気では、社員との信頼関係をうまく築けません。質の高いコミュニケーションを取るためには、話しやすい雰囲気が大切です。
そのためには理想を追い求めるより、社員からいろいろな話を聞くことを第一に考えましょう。正しく実施することを意識し過ぎると、1on1の利点である自由度の高いやり取りをしにくくなるからです。ただし、雑談で終わってしまわないよう適度な緊張感も大切です。
また、進行するときには、社員の気分や体調からヒアリングし、前回の振り返りと今回のテーマを確認しましょう。
次に、テーマの内容について社員にヒアリングし内省を促す声掛けをします。最後に、フィードバックや今後のプランを考え、まとめと確認をしたら完了です。
面談シートをもとに振り返り、次に活かす
1on1の内容を生かすには、面談シートによる記録・振り返り・今後の対応の検討を行いましょう。
作成した面談シートは、最後の確認時にその場で社員と内容を確認し合います。その後、次回の1on1のスケジュールやテーマを社員に知らせ、次のミーティングへとつなげるのです。
このように、内容を振り返り今後にどのように生かすかを検討することで、業務に生かしやすくなるでしょう。また、単にテーマについて話しただけになることを防げます。
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1on1の目的
さまざまな目的で導入される1on1ですが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?代表的な目的について紹介します。
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信頼関係を深める
社員との間の「信頼関係」を高めることを目的として1on1を実施している企業も多くあります。個別に実施する対話は、通常の業務を通して行うコミュニケーションより親密な関係性を築きやすいでしょう。
お互いの信頼をベースにしたやり取りができるようになると、それ以前よりもスムーズに意思疎通ができるはずです。そうすると、コミュニケーションの上で発生した誤解によるトラブルが発生しにくくなります。
また、現在担っている業務についての話はもちろん、今後取り組むべきことについても話を深められるでしょう。良好な信頼関係をもとに、新規事業につながるアイデアが生まれることも期待できるのです。
自発的な行動を促して部下を成長させる
1on1の定期的な実施は、社員が自発的に行動し始めるきっかにもなります。常に課題や悩みを共有していると的確なアドバイスや勇気付けの言葉をかけやすいでしょう。それによりやる気を引き出しやすくなるのです。
また1対1で行うミーティングでは、社員の仕事について振り返りを行います。これは社員が自分の行った仕事について客観的に捉え直すきっかけになるでしょう。
たとえ失敗したとしても、きちんと振り返ることで次に生かすヒントを見つけられることもあります。
さらに、成功パターンや失敗パターンの積み重ねにもつながるため、次からは自ら注意点を意識し自発的に取り組めるようにもなるでしょう。
リモートワーク下での対応策
働き方改革や社会情勢の変化によりリモートワークを取り入れる企業も増えています。急激な働き方の変化により、従来のマネジメント手法が通用しなくなってきているケースも多いのです。
そんな中、リモートワークにより減少しているコミュニケーションの機会をオンラインで作れる方法として、1on1に注目が集まっています。定期的な実施により対話やフィードバックを増やすことができるためです。
1on1を実施するとき、まずは今困っていることはないか、出し合ってみましょう。1人では解決しなかった問題も、2人で話すことにより解決法が見つかるかもしれません。
そしてオンラインによる1on1に慣れてきたら、今後のチームとしての働き方や、社員個人の抱く希望についても話し合うとよいでしょう。
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1on1の成功に必要なスキル
面談よりもラフな雰囲気で実施するミーティング「1on1」について、手軽に実施できる手法と感じている人もいるかもしれません。しかし実際に成功させるには、相応のスキルを身に付けている必要があります。
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傾聴力
まず重要なのは「傾聴力」です。社員の話に耳を傾けることや心に寄り添って真意を理解することを傾聴力といいます。傾聴力の発揮には、信頼関係を構築し本音で話せる環境作りも欠かせません。
例えば、「何か質問はありますか?」という問いかけに社員が口ごもり、数秒後に「大丈夫です」と返事があったとします。このようなとき、社員の言葉だけでなく態度や表情なども総合的に見て判断することが大切です。
返事までに数秒間かかったということは、何か聞きにくい質問があるのかもしれません。例えば「何でも質問していいですよ」といった声掛けができると、社員は真意を話しやすくなるでしょう。
また、話す割合は、社員が8割程度になるよう意識するとよいです。
ティーチング力
スキルや知識・技術の共有に用いる「ティーチング力」も1on1において重要なスキルといえます。コーチングが社員の中にある資質を見出す指導法なのに対し、ティーチングは既にある答えを教える方法です。
正しくティーチングを行うには、提供するスキルや知識について正確に知っていることが必須です。経験や主観に頼った知識では、自分にとってうまくいく方法でも社員には当てはまらないこともあります。
そのため、この手法が使えるのは、誰が見ても同一の答えになるのが明らかな知識やスキルのみです。
フィードバック力
1on1で毎回行う「フィードバック」についてのスキルも、社員のモチベーションアップや成長につながるポイントといえます。
効果的にフィードバックができれば、消極的な思いを抱いている社員を勇気付け「挑戦してみよう」というポジティブな気持ちへの転換も可能です。
ただし、フィードバックする事柄は、曖昧な表現にすると混乱や誤解を招きます。そのため、印象的に社員へ伝えるためにも、できるだけ具体性を持たせた伝え方をしましょう。
■関連サイト
1on1の導入事例
社員との相互理解を基盤にした良好な関係やコミュニケーションの構築のために、1on1が役立つことが分かりました。では実際に導入した企業では、どのような方法を実施し成果が出ているのでしょうか?
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相互理解が深まった
多くの企業で担当者が語るのは、「相互理解」が深まったということです。社員と1対1で話す機会を設けることで、業務への思いが分かり、以前より共感力が高まったというケースもあります。
また、社員なりに工夫しながら仕事に取り組んでいることが分かったということや、これまでのサポートや声掛けでは不十分だったということに気付くこともあるでしょう。
さらに、社員が上司の考えやビジョンを理解することで、協力的になったという事例もあります。
上長のための研修でよりよい1on1に
社員の成長につながるよい1on1を実施するには、上長のスキルアップが欠かせません。そのため、定期的に上長を対象とした研修を実施している企業もあります。
上長がよりよいフィードバックやサポートをできるように成長することで、1on1が社員の働き方や考え方について見直す場として機能しやすくなることが期待できます。
外部のサービスを活用
1週間に1度というように頻繁に実施される1on1ですが、日々の業務の忙しさゆえに導入しても定着しない企業もあります。ミーティングの時間をなかなか取れず定着しない場合には「外部サービス」の利用を検討しましょう。
1on1の定期的な実施は、成長の実感のしやすさにつながっているといわれています。外部サービスのサポートを受けながら1on1を導入することで、社員が自らの成長を実感しやすい環境を作りやすくなるでしょう。
また、上長には悩みや希望を率直に伝えられない場合でも、外部サービスなら心置きなく話せることもあります。業務に直接関わる内容は扱えませんが、社員の内面について理解を深めたいという場合に向いている方法です。
■関連サイト
1on1マネジメントで能力を引き出す
社員のよい点を見出し、成長をサポートする1on1の実施は、変化の大きな現在の社会情勢に対応しやすいマネジメント手法といえます。個々の特徴的な力を育むことで、変化に対応しやすい多様性を引き出しやすくなるのです。
また、1対1のミーティングを定期的に実施することで、社員との信頼関係の構築にもつながります。日常業務で意思疎通を行いやすくなることはもちろん、組織の今後について建設的な議論を交わすこともできるでしょう。
1on1の効果を実感するには、1週間に1度というように高頻度で定期的に実施することが大切です。外部サービスの利用や上長向けのスキルアップ研修なども活用し、社員の能力を引き出しましょう。