新人教育が疲れるのは何が原因?現場の疲弊を減らす対策を解説
現場で活躍できる新人エンジニアを育てるには、新人研修後の「教育」が欠かせません。一方で現場からは「新人教育が疲れる」という声が上がり、思うように指導が進まないケースも多いようです。現場が疲弊する原因と新人教育のポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.新人教育が疲れるのはなぜ?
- 1.1.担当者の指導力不足
- 1.2.価値観のギャップが大きい
- 1.3.入社時の新人研修が不十分
- 2.手がかかる新人の特徴とは?
- 2.1.報連相ができない
- 2.2.すぐに他人に答えを求める
- 3.新人教育をする上でのポイントは?
- 3.1.育成カリキュラムを策定する
- 3.2.目的や理由をきちんと伝える
- 3.3.日常業務をマニュアル化する
- 4.教育担当の負担を軽減する解決策は?
- 4.1.OJTリーダー研修を導入する
- 4.2.新人研修の外部委託を検討する
- 5.新人教育には組織のサポートが不可欠
新人教育が疲れるのはなぜ?
(出典) pexels.com
新人研修が終了すると、新入社員はそれぞれの持ち場に配属されます。現場では教育担当者の負担が増大し「疲れる」「うまくいかない」といった声が上がるケースが少なくありません。教育担当者が疲れてしまう原因はどこにあるのでしょうか?
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担当者の指導力不足
教育担当者の指導力が未熟だと、新人の吸収スピードが低下します。「教えたことが伝わっていない」といら立ちや焦りを感じる機会が多くなり、教える側も教わる側も次第に疲弊していきます。
「仕事ができる」と「指導スキルがある」は別物です。エンジニアとしての経歴は長くても、新人教育は未経験という人も珍しくありません。
教育担当者には、コミュニケーションスキルはもちろん、フィードバックやティーチングのスキルも求められます。 本来ならば、組織全体で育成カリキュラムを準備し、教育者のための研修を実施するべきですが、それができていない会社は意外と多いものです。新人教育を現場に任せきりにすると、担当者に大きな負荷がかかります。
価値観のギャップが大きい
多くの場合、新人教育は30~40代の先輩社員が担当することになります。大学を卒業したばかりの新入社員と10歳以上の年齢差があれば、さまざまな場面で「価値観のギャップ」を感じるでしょう。
近年の若者は、SNSで他者とヨコにつながる傾向が強いため、タテ社会の人間関係を理解できないケースもあるようです。「年齢が上というだけで先輩風を吹かせるのはおかしい」と考える人もいます。 また、「最短ルートでゴールしたい」という合理性を重視する一面もあり、意味や目的が分からない作業は避けたいのが本音のようです。
30~40代の世代は、年功序列や終身雇用が当たり前の「タテ社会の組織」で生きてきた人がまだ多いでしょう。世代のギャップから生まれる擦れ違いや誤解、衝突に、お互い疲れを感じてしまうのです。
入社時の新人研修が不十分
多くの会社では、入社時に人事部主導で新人研修を行います。研修で社会人としての基本的なマナーを学び、自社への理解を深めた上で各部署に配属されるのが一般的です。新人研修では例えば以下のような内容を学びます。
- 社会人としての意識(マインドセット)
- 企業理念や社内ルール
- 仕事に必要な基本知識
- ビジネスマナー(報連相・指示の受け方・名刺交換の仕方など)
初期の新人研修が不十分だと、現場の教育担当者にしわ寄せがいきます。報連相や敬語、あいさつなどの「働く上での基本」ができていない場合、教育担当者は一から教え込まなければなりません。 現場にスムーズに移行できるように、「新人研修で何をどこまでやるか」を人事部と教育担当者で擦り合わせておく必要があるでしょう。
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手がかかる新人の特徴とは?
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教育担当者が「手がかかる」と感じる新人には、どのような特徴があるのでしょうか?新人の全てに当てはまるとは限りませんが、特徴や傾向を把握することは、対策を考える上での参考になるでしょう。
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報連相ができない
一つ目は「報連相が苦手なこと」です。報連相とは、報告・連絡・相談の頭文字を取ったもので、社会人が仕事をする上での基本とされています。
報連相のない状態で業務を進めていると、重大なミスの発覚が遅れたり、プロジェクト全体に遅延が生じたりする恐れがあります。最悪の場合、大事な得意先を失いかねません。
報連相ができない新人を頭ごなしに叱るのではなく、できない理由を明らかにした上で解決策を考えるのがポイントです。 報連相の重要性について理解できていない人もいれば、「逐一報告して上司の時間を奪うのが申し訳ない」と気にする人もいます。デジタルツールに慣れた若者の中には、「相談するよりもネットで検索をした方が早い」と考える人もいるでしょう。
すぐに他人に答えを求める
現場の教育担当者からは、「新人が自分で考えようとしない」「指示しないと動けない」といった声もよく聞かれます。 分からない点について人に聞くのは悪いことではありません。ただ、「誰かに聞く前に自分の頭で考え、仮説を立ててみる」というプロセスが、人を大きく成長させるのです。
他人に答えを求める癖がつくと、自分で問題を解決する能力が身に付きません。現場にいる個々人が自分なりの創意工夫をして業務を進めていかなければ、独り立ちができないメンバーが増え、生産性の低下につながります。 デジタルツールに慣れ親しんでいる世代は、とりわけ「検索して答えを見つけること」に長けているようです。裏返せば「自分で考えて答えを導き出すことに慣れていない」ともいえるでしょう。
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新人教育をする上でのポイントは?
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新人教育をする上で、現場の教育担当者はどのような点に気を付ければよいのでしょうか?業務のマニュアル化や育成カリキュラムの策定など、新人教育を効果的に行うコツを解説します。
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育成カリキュラムを策定する
新人教育を実施するに当たり、育成カリキュラムは不可欠です。教育目標やスケジュールが明確になっていれば、「何にどこから手を付けていいのか」と迷わずに済むでしょう。
カリキュラムを作成する際は、各プロセスにおける目標や合格基準を決めた上で実施期間を設定し、やるべきことを一つずつ落とし込んでいくのがポイントです。 教育担当者には日々の業務もあるため、新人教育に十分な工数を割けないケースもあります。
1人に任せっきりにするのではなく、チーム全体で担当者をフォローする体制を構築しましょう。 共通のカリキュラムやフォロー体制がない場合、新人教育は属人的なものになり、教育担当者の力量に新人の成長度合いが左右されてしまいます。
目的や理由をきちんと伝える
「新人が仕事を覚えてくれない」「自発的に仕事をしない」という現場では、教育担当者や先輩社員の指示の出し方に問題がある可能性も否めません。
業務の目的・背景・理由を伝えずに業務の手順だけを教えていると、言われたことを淡々と繰り返す社員に育ってしまいます。自分の頭で考えて判断できるようにするために、「なぜこれをやるのか」「どのような意義があるのか」をしっかり伝えましょう。
新人が失敗したときにも、失敗した事実のみにフォーカスを当てるのでなく、「原因はどこにあるのか」「解決するには何が必要なのか」を自分で考えられるように導くことが大切です。
日常業務をマニュアル化する
日常業務は、できるだけマニュアルに落とし込んでおくのがポイントです。もちろん業務の全てをマニュアル化できるわけではありませんが、基本的な手順をまとめて明文化しておけば、教育担当者や先輩社員が説明する時間を省けます。
若い世代の中には「背中を見て覚える」という教育方式に慣れない人もいます。「経験がない」「知識がない」といった場合は口頭で説明されても理解が難しく、誤った認識に基づき業務を進めてしまいかねません。 マニュアルを用意した上で口頭でも説明すれば、新人の理解度は大きく向上します。品質の向上やミスの防止にもつながるでしょう。
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教育担当の負担を軽減する解決策は?
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「新人教育が疲れる」という事態は、教育担当者だけの問題ではありません。教育がうまくいかなければ新人が自立できず、現場の生産性が低下します。教育担当者の負担を軽減するため、組織全体としてはどのような対策を講じればよいのでしょうか?
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OJTリーダー研修を導入する
教育担当者のレベルの差が、新人の成長度合いの差となって表れるケースもあるため、教育担当者のための「OJTリーダー研修」を実施する選択肢も視野に入れましょう。
OJT(On-the-Job Training)とは、現場での実践を通して業務知識を習得する育成手法です。OJTリーダー、すなわち現場の教育担当者には、高度な指導スキルが必要であるにもかかわらず、リーダー育成が後回しになっているケースはよく見受けられます。
OJTリーダー研修によって、教育担当者としての意識やスキルが向上すれば、新人との衝突や誤解、擦れ違いが減る上、自信を持って指導できるようになるでしょう。
新人研修の外部委託を検討する
新人教育の負担が増大する要因の一つに、「初期段階の新人研修が不十分なこと」が挙げられます。
企業の中には、新人研修に十分な時間やリソースが割けず、過去の研修内容を使い回すケースも少なくありません。 「新人研修はどこも同じ」と思って毎年同じ研修を繰り返していると、時代にも現場にもそぐわなくなっていきます。
新人研修を自社内で行うのが難しい場合は、必要に応じて「研修の外部委託」を検討しましょう。自社にない知識やノウハウ、最新の情報が学べる上、講師の教え方も一流です。
「ジョブサポート」では、通学研修とオンライン研修の二つの選択肢を用意しています。1対1の個別指導型で、個々の苦手な部分にフォーカスできるのが強みです。 技術はもちろん、スケジュール管理や報連相といった「チームで働くための心構え」も習得できるため、現場の教育担当者の負担が低減するでしょう。
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新人教育には組織のサポートが不可欠
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教育担当者から「新人教育が疲れる」という声が上がったならば、組織として「新人教育を現場に丸投げしていないか」を改めて考えなければなりません。新人の研修や教育は本来、人事と現場が一体になって取り組むものです。
育成カリキュラムの策定やOJT研修の導入、フォロー体制の確立など、組織として整える項目は数多くあります。現場の疲弊を減らすとともに、新人が成長できる環境を整えましょう。