若者のエンジニアとコミュニケーションを取るには?コツから会話手法まで
若手エンジニアとコミュニケーションが取りにくい原因を、「若者のコミュニケーション能力が低下しているから」と決め付けていませんか?世代による違いや若い世代の価値観を理解した上で、根本的な能力の問題は具体的な施策を立てて解決しましょう。
目次[非表示]
- 1.若手エンジニアはコミュニケーションに課題あり?
- 1.1.若者のコミュニケーションへの理解が必要
- 1.2.円滑な業務遂行には企業側で工夫を
- 2.若者とコミュニケーションを取るコツ
- 2.1.相手を否定しない
- 2.2.不必要にプライベートに立ち入らない
- 2.3.相手に合わせてコミュニケーションを変える
- 3.今日からでも使える会話テクニック
- 3.1.依頼がしやすくなる「クッション言葉」
- 3.2.指導や注意に「イエスバット法」
- 3.3.気持ちよく納得してもらう「DESC法」
- 4.若手エンジニアのコミュニケーション能力を伸ばすには
- 4.1.コミュニケーション研修を実施する
- 4.2.技術力とともに外部研修で習得させる
- 5.若者とのコミュニケーションは理解から
若手エンジニアはコミュニケーションに課題あり?
指導・監督する立場にある年齢の人が若者と円滑にやり取りできないと、「若手エンジニアはコミュニケーション能力が低下している」と思うかもしれません。しかし、本当に原因は若い世代の能力にあるのでしょうか?
若者のコミュニケーションへの理解が必要
世代間で生まれるコミュニケーションの違いが、意思の疎通を難しくするケースは多くあります。
年代の高い上司が若者と十分なコミュニケーションを取るには、若い世代のコミュニケーションに対して十分な理解が必要です。 若者はSNSをはじめとする短文でのコミュニケーションを得意とする一方で、電話や対面でのコミュニケーションには慣れておらず、苦手とする傾向があります。 上司の世代が当たり前にできていたことが、若者の世代にとって困難であることが少なくありません。
世代として不得意なやり取りの方法だけを取り上げて、「コミュニケーション能力が低下している」と判断するのは早計でしょう。まずは得手不得手を含めて世代の特徴だと受け入れ、理解する姿勢が必要です。
円滑な業務遂行には企業側で工夫を
コミュニケーションの仕方に世代間の違いがあるといっても、仕事を円滑に進めるには若者世代とスムーズにやり取りする工夫が求められます。 特にチームで進めることも多いエンジニアの仕事には、世代を超えたコミュニケーションが欠かせません。
チームの輪に入れず孤立する若手がいれば、業務が滞ったりミスが起こったりする可能性が出てきてしまうでしょう。 現場から「若手エンジニアとのコミュニケーションが難しい」という声が上がっているなら、企業として解決策を提案する必要があります。
若者とコミュニケーションを取るコツ
(出典) pexels.com
若手エンジニアとコミュニケーションを取るには、上司側にも歩み寄りが必要です。上司側に工夫が見られない場合は、人事部や経営層から基本的な考え方を共有する必要があります。
相手を否定しない
若手とコミュニケーションを取るときは、発言や行為を否定するのは避けましょう。ネガティブな言葉を使うと、心理的な距離が大きくなってしまいます。
指導に熱が入ると、感情的になったり相手を否定する言葉を使ったりしがちです。しかし、「今時の若者は報告もろくにできない」といった否定的な発言をすれば、若手エンジニアは心を閉ざし、良好なコミュニケーションが難しくなるでしょう。
若手エンジニアを指導するときは、事実ベースで話すことが重要です。「報告ができていない」を例に取れば、「報告がなかったので、進捗を記録できない。今後は決められた頻度で報告をしてほしい」と客観的な事実を提示して指導しましょう。
不必要にプライベートに立ち入らない
プライベートに踏み込みすぎないよう心掛けるのも、若者とうまくコミュニケーションを取るポイントです。 現代の若い世代は、プライベートと仕事を分けて考えたいと考える傾向があります。必要がないのにプライベートに立ち入ってくる上司には、心理的な抵抗を抱く人も出てくるでしょう。
飲み会への出席を強要したり恋人の有無を聞き出そうとしたりすれば、「関わりたくない上司」と思われ、業務上のやり取りにまで影響しかねません。 若者世代とコミュニケーションを取るときは、過度に私的な話題は控えるのが賢明です。もし仕事と全く関係ない話を振ってしまい、相手が嫌がる素振りを見せたなら、一刻も早く話題を変える意識を浸透させましょう。
相手に合わせてコミュニケーションを変える
若者とひとくくりにせず、相手に合ったコミュニケーションを使い分ける意識も重要です。
どのようなやり取りが適切かどうかは、世代ごとに大まかな傾向はあるものの、人によって異なります。 例えば、デビッド・メリル博士らが唱えた「ソーシャルスタイル理論」によると、人は4種類のスタイルに分類できるとされています。
じっくり考える「アナリティカル」タイプの人は、考える時間を十分に与えれば、的確に動けるはずです。行動が早い「ドライビング」タイプには、仕事の目的を具体的に伝えて端的に指示をすると手際よく仕事を進めてくれるでしょう。 チームの雰囲気を重視する「エミアブル」タイプには、自分の仕事がチームの役に立っていると伝えると、安心して仕事ができる傾向があります。 話好きでおおらかな「エクスプレッシブ」タイプであれば、細かく指示しすぎず「褒めておだてる」のが効果的です。
全員の特性を現場の上司が把握し、それぞれに合わせたコミュニケーションを取るのは難しいかもしれません。しかし、人事サイドで若者たちのキャラクターをある程度把握して現場にアドバイスをすれば、円滑なやり取りを目指せるでしょう。
今日からでも使える会話テクニック
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「否定をしない」「プライベートに踏み込みすぎない」といった考え方は、長年の習慣から改善に時間がかかる場合もあります。一人一人に合わせたコミュニケーションを実現するにも、分析に一定の時間が必要でしょう。 急を要していたり年配社員の意識改革がなかなか進まなかったりする場合は、短期間で取り入れやすい「会話テクニック」を共有するのも一つの方法です。
依頼がしやすくなる「クッション言葉」
部下に仕事を依頼するとき、「クッション言葉」を添えることで柔らかい頼み方ができます。クッション言葉とは、そのままでは厳しい印象や不快感を与えかねないセリフの前に付ける言葉です。 例えば「忙しいところ申し訳ないのだけれど」とクッション言葉を前に付けて頼めば、「あなたが忙しいのは重々承知した上でお願いしている」という気持ちが伝わります。クッション言葉によって、依頼を受け入れやすい雰囲気を作れるでしょう。 相手からの頼みをどうしても受けられないときも、「せっかくの相談で申し訳ないけれど」と前置きすれば冷たい印象を避けられます。
指導や注意に「イエスバット法」
「イエスバット法」とは、肯定的な言葉から話し始め、後から否定や指摘を続ける話法です。相手に聞く耳を持ってもらいやすい状況を作れます。 例えば、「あなたはいつも仕事が早くて、チームが助かっています。ただ…」と、よいところを評価してから改善点を提案します。最初に褒めることで部下の心を開いてから提案できるのが、イエスバット法を使うメリットです。 部下からすれば指摘されても「叱られている」という印象が薄く、聞き入れやすくなるでしょう。肯定から入ることで、指摘のときに高ぶりがちな感情がダイレクトに伝わるのを防ぎ、萎縮させにくくなるという効果もあります。
気持ちよく納得してもらう「DESC法」
DESC法とはアサーティブコミュニケーションのスキルの一つで、相手に不快感を与えずに納得してもらう会話技法です。DESC法では、次の4ステップで自身の提案を相手に伝えます。
- Describe(描写する):課題の現状や相手の行動を客観的に伝える
- Express(説明する):描写した内容について自分がどう感じているかを伝える
- Suggest(提案する):課題解決のために必要なアイデアを提案する
- Choose(選択する):相手が提案を受け入れたか否で変わる結果や選択肢を示し、行動を選ぶ
DESC法を取り入れることで、相手・自分どちらの立場も尊重しながら物事を提案できます。価値観の違いに左右されないため、異なる世代間のコミュニケーションに役立つでしょう。
若手エンジニアのコミュニケーション能力を伸ばすには
(出典) pexels.com
円滑なコミュニケーションは双方の工夫、歩み寄りによって実現します。周囲が円滑にやり取りできるよう働き掛けても、若者側にコミュニケーションの基礎ができていないと業務に支障を来しかねません。 若いエンジニアのコミュニケーション能力が低すぎると感じたときに、組織としてできる対策には何があるのでしょうか?
コミュニケーション研修を実施する
若手エンジニアのコミュニケーション能力を伸ばしたいなら、研修の実施を検討しましょう。基礎的なカリキュラムで、社会人に求められるコミュニケーション能力のアップを図ります。
コミュニケーション研修には、社内で行う方法と外部研修に頼る方法があります。社内研修のメリットは、研修内容を自由にアレンジできることです。 ただ、社内に研修を実施できるだけのリソースがないと、既存社員の負担ばかりが増え、必要なことを教えきれない可能性があります。
一方、外部研修であれば、既存社員に負担を掛けず質の高い研修を受けさせられます。社内研修に比べて一体感を得にくいというデメリットもありますが、個人個人にコミュニケーションの基礎的な考え方・マナーを教えるのが目的なら十分でしょう。
技術力とともに外部研修で習得させる
技術とセットでコミュニケーション能力を習得できる外部研修の導入は、若手、特にエンジニア経験が浅い社員の育成に効果的です。コミュニケーション能力を含め、エンジニアに必要な基礎能力を総合的に伸ばせます。
技術力とコミュニケーション能力を同時に学べる外部研修のメリットは、若手エンジニアのやる気が向上することです。 自身のスキルが将来に直結するエンジニアは、技術面を伸ばせる環境に高い満足感を得る傾向があります。エンジニアとしてのスキルも伸ばせる研修には、積極的に参加する人が多いでしょう。
技術力とコミュニケーション能力を一緒に伸ばせる外部研修には、ジョブサポートがおすすめです。「プロエンジニア育成コース」では開発スキルに加え、チームで仕事をするエンジニアに必要なコミュニケーションも学べます。
若者とのコミュニケーションは理解から
(出典) pexels.com
若手エンジニアとのコミュニケーションを向上させるには、まず若者のコミュニケーションの傾向を理解する姿勢が必要です。年代が高い社員に対して、企業側が情報の提供や円滑なやり取りに役立つテクニックを共有していきましょう。 ただ、十分な対策を講じても、若手エンジニアのコミュニケーション能力が根本的に不足していて業務が進まない場合もあります。必要に応じた外部研修の導入を含め、若者サイドの育成も視野に入れておきましょう。