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研修中の給料はどう決まる?無給や最低賃金以下は違法になることも

新人研修は新人が仕事を覚えるための準備期間ですが、研修の形態によっては「労働への従事」と見なされ、企業に給料の支払い義務が生じます。研修期間中の給料の決め方や、企業側が把握しておくべき注意点を押さえておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.研修期間は給料を支払うべき?
    1. 1.1.参加が義務なら無給は違法
      1. 1.1.1.残業代も支払い対象
    2. 1.2.「給料なし」の例外も
  2. 2.研修期間の給料はいくら?
    1. 2.1.就業規則や労働条件通知書に従う
    2. 2.2.原則として最低賃金以上は支払う
  3. 3.新卒エンジニアに必要な研修期間は?
    1. 3.1.1~3カ月が一般的
    2. 3.2.効率重視なら外部委託の検討を
  4. 4.説明不足によるトラブルに注意

研修期間は給料を支払うべき?

エンジニアを新たに採用したときは、業務の進め方や自社のルールを覚えてもらうための「研修期間」を設けるケースがほとんどです。 本格的に業務に従事しているわけではないため、無給でよいと考える人もいるでしょう。研修期間中に給料を払わなくても、法律上の問題はないのでしょうか?

参加が義務なら無給は違法

研修時に給料の支払い義務があるかどうかは、「参加が強制か任意か」が大きなポイントです。

受講が義務または業務遂行に欠かせない内容であれば、研修参加は労働への従事と見なされるため、給料の支払い義務が生じます。支払いに応じない場合、「給料の不払い」として労働基準法に抵触する点に注意しましょう。

研修は入社後が望ましいとはいえ、職務によっては内定者の入社前研修を行わざるを得ない場合もあります。入社前でも入社後でも、参加が必須であれば無給は許されません。

残業代も支払い対象

企業は、労働基準法32条に記載された「法定労働時間についての決まり」を守る必要があります。

原則、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働は認められていません。法定労働時間を超えて残業をさせたい場合は、労使協定(36協定)を締結した上で、管轄の労働基準監督署へ届け出が必須です。

強制参加の研修には、労働時と同様のルールが適用されます。法定労働時間を超えたのであれば、研修期間であっても残業代を支払わなければなりません。 残業代を支払わないと、労働基準監督署から賃金不払い残業の是正勧告を受ける可能性があります。

参考:労働時間・休日 |厚生労働省 参考:労働基準法 第32条|e-Gov法令検索

「給料なし」の例外も

研修期間には、給料や残業代の支払い義務が生じない例外もあります。自己啓発セミナーや英会話講座、キャリアアップのためのお話会など、任意参加で業務と直接関係のないものであれば、給料を支払う義務はありません。

ただし、「任意と言いながら、無言の圧力をかけて参加を促す」「参加の可否が社員の評価につながる」といったケースは参加を強制していると判断され、給料の支払い義務が生じます。

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研修期間の給料はいくら?

(出典) pexels.com

研修期間の給料は企業側が自由に設定できますが、法律で定められたルールを守る必要があります。特に研修中の給料を最低賃金より低くするときは、特例に該当すると認められることが条件です。

就業規則や労働条件通知書に従う

研修期間や試用期間は、通常時よりも給料が低く設定されるケースがあります。給料の減額は違法行為ではありませんが、「会社側と労働者の間で合意があること」が前提です。 労働契約法の第6条には、

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する

との記述があります。つまり、研修期間でも労働と見なされるのであれば、支払う賃金の額について受講者(社員)の合意が必要ということです。

研修期間の給料を低く設定するなら、就業規則や労働条件通知書にあらかじめその旨を明記した上で、労働者の承諾を得なければなりません。 承諾を得ていないにもかかわらず、「研修期間中だから、このくらいで十分だろう」と独断で減額することはできないのです。

出典:労働契約法 第6条|e-Gov法令検索

原則として最低賃金以上は支払う

研修期間中の給料は雇用形態に関係なく、国が定める各都道府県の「最低賃金」を下回らないことが原則です。 各都道府県の最低賃金(最低賃金時間額)は、厚生労働省の「あなたの賃金を比較チェック」というページにある地域別最低賃金全国一覧を見れば確認できます。

日給・週給・月給の場合は、対象の賃金額を時給に換算した上で、各都道府県の最低賃金額と比較しましょう。 ただし、研修期間・試用期間中の給料については、合理的な理由があると認められた場合に限れば、定められた割合の中で最低賃金より低く設定することもできます(最低賃金の減額の特例)。以下は、減額が妥当とされるケースの一例です。

  • 本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度である
  • 本採用労働者と比較し、試用期間中の賃金を著しく低額に定める慣行がある

特例を受けるためには、管轄の労働基準監督署に「最低賃金の減額の特例許可申請書」を提出し、都道府県労働局長の許可を得る必要があります。記入の仕方は「申請書様式・記入要領」のページから確認しましょう。

参考:あなたの賃金を比較チェック|最低賃金制度

参考:最低賃金の減額の特例許可申請について|厚生労働省

参考:最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領|厚生労働省

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新卒エンジニアに必要な研修期間は?

 (出典) pexels.com

研修期間中も、参加が義務であれば給料を払わなければなりません。そのコストを無駄にしないよう、研修は意味あるものにする必要があります。 適切な育成の計画を立てるためにも、新卒エンジニアの研修にかかる期間の目安や効率化の方法を押さえておきましょう。
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1~3カ月が一般的

エンジニアのためのキャリアマガジン「fabcross for エンジニア」が2017年に発表した資料によると、全職種の新人研修の平均期間は2.9カ月で、70%以上の新人が3カ月以内に研修を終えています。 専門的なスキルがあまり求められない職種(事務職その他)では、研修がなかったケースも含め、1カ月以内に終わる人が約59.0%でした。

一方、製造に関わる技術系職種は、事務職よりも研修期間が長くなる傾向があります。研修期間が「1カ月超~3カ月以内」と答えた人の割合は、事務職その他が16.7%だったのに対し、技術系職種では29.2%にも上りました。

同調査の「技術系職種」は製造業のものですが、ITエンジニアも同じく専門的なスキルを求められる職種です。単純作業や事務作業より、平均的な研修期間は長くなると考えられるでしょう。

新卒エンジニアが研修で学ぶべきスキルは、プログラミングスキルだけにとどまりません。タスク管理のためのタイムマネジメントや、物事を論理的に捉えながら理解するロジカルシンキング、社会人としてのビジネスマナーも学ぶ必要があります。 また、近年はAIやIoT技術を活用したソリューションが誕生しているため、最新技術の活用に向けた研修も必須といえます。新卒エンジニアの研修には、少なくとも3カ月程度は確保しておいた方がよいでしょう。

参考:新社会人の研修期間は平均2.9カ月。一般職種の59.0%が1カ月以内で通常業務へ|fabcross for エンジニア

効率重視なら外部委託の検討を

新人研修を自社内で行うとなると、講師社員の研修や資料作成、会場の準備といった事前準備が必要です。担当者は普段の業務と新人研修の準備を並行して行わなければならず、大きな負担がかかります。

準備不足や社員講師の指導スキル不足で研修が効率よくできないと思ったら、研修を外部委託するのがおすすめです。

ジョブサポートには、若手・新人エンジニアを対象とした「プロエンジニア育成コース」があり、システムエンジニアやプログラマーに必要な基礎が1~3カ月で学べます。 現役エンジニア講師が個別指導に当たるため、1対多数の講義にありがちな「受講者間での格差」が生じません。技術面だけでなく、社会人として必要な「ビジネスマナー」や「コミュニケーション力」なども身に付けることができます。

■関連サイト

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説明不足によるトラブルに注意

(出典) pexels.com

研修中の給料の有無は、研修を「労働と見なすか」によって変わります。研修が任意参加であれば給料の支払いは不要ですが、強制参加の場合は労働への従事と同じ扱いとなり、給料を払わなければなりません。

研修期間の賃金額や残業代は、労働条件通知書や就業規則に明確に記載し、後になって「言った・言わない」のトラブルにならないように注意しましょう。人事担当者は、採用・雇用に関わる法律に目を通しておく必要があります。

また、給料を払うべきケースが多い研修は、コストが無駄にならないように充実させましょう。エンジニアの研修は教えることが多く負担が大きくなりがちですが、外部研修を活用すれば社内リソースを圧迫せず効率的な研修を実施できます。

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