新卒の年齢は22歳?採用時における年齢制限の注意点と新卒の定義
採用活動における「新卒者」とは、その年度中に学校を卒業する予定の者を指します。新卒と一口に言っても、年齢は人によって異なるのをご存じでしょうか?新卒の定義や、特定の年齢層を採用・募集する際の注意点を解説します。
目次[非表示]
- 1.新卒者の年齢は何歳か?
- 1.1.ストレートに卒業した人の年齢早見表
- 1.2.新卒の年齢に差が出る場合も
- 1.3.3年以内の既卒者は新卒枠に含める方向
- 2.採用時に年齢制限を設けるのは可能か
- 2.1.募集・採用における基本ルール
- 2.2.年齢制限が認められる例外
- 3.エンジニアを新卒採用する利点と留意点
- 3.1.長期的な視野での育成が可能
- 3.2.育成に時間と労力が費やされる
- 4.採用時の年齢制限には注意が必要
新卒者の年齢は何歳か?
多くの企業では、新卒者を対象とした採用活動を行っています。そもそも、新卒者とはどのような人を指し、年齢は何歳ぐらいなのでしょうか?企業で採用を任されている人事担当者は、新卒者の定義や年齢を把握しておく必要があります。
ストレートに卒業した人の年齢早見表
新卒とは「新規卒業」の略称で、その年度に新しく学校を卒業する学生のことです。採用活動における「新卒者」とは、その年度に専門学校や大学、大学院などを卒業・修了する学生を指すのが一般的です。
小学校から4年制大学までストレートに卒業した人の年齢を見てみましょう。4年制大学に入学した人であれば、新卒者の年齢は満22歳です。
入学 |
卒業 |
小学校入学:6歳 |
小学校卒業:12歳 |
中学校入学:12歳 |
中学校卒業:15歳 |
高校入学:15歳 |
高校卒業:18歳 |
大学入学:18歳 |
大学卒業:22歳 |
最終学歴が専門学校や大学院の場合、新卒者の年齢は22歳とは限りません。専門学校の修業年限は1~4年ですが、多くは2年です。大学院は修士課程が2年間、博士課程が3年間で、博士の学位を得るには5年かかります。
- 2年制の専門学校を卒業した場合:満20歳
- 大学院の修士課程を修了した場合:満24歳
- 大学院の博士課程を修了した場合:満27歳
新卒の年齢に差が出る場合も
新卒者とはその年度に学校を卒業する学生を指すもので、「新卒者だから〇歳」と決まっているわけではありません。同じ大学を同じ年に卒業した新卒者でも、年齢に若干の差が出る場合があります。
例えば、小学校や中学校でケガや大病を患うなどして休学すると「原級留置」という措置が取られるケースがあります。原級留置とは同じ学年を繰り返して履修することで、俗に言う留年です。 日本の義務教育ではほぼありませんが、海外では学力が不十分な場合に「原学年に留め置く措置」が取られます。幼少期に海外で過ごした人は、新卒の年齢が異なるケースも珍しくありません。
また、「高校・大学受験で浪人をした時期がある人」や「単位が足りなくて留年した人」も新卒の年齢が異なります。
3年以内の既卒者は新卒枠に含める方向
「既卒者」とは、専門学校や大学などを卒業後、就職経験が一度もない人のことです。一般的には、卒業して3年以内の人を指します。 採用活動では既卒者と新卒者は区別される場合がありますが、2010年11月に「青少年雇用機会確保指針」が改正され、「新卒採用に当たって、少なくとも卒業後3年間は応募できるようにすること」という内容が盛り込まれました。
企業の努力義務ではあるものの、世間は「3年以内の既卒者は新卒枠に含める方向」で動いています。
参考:3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!! |報道発表資料|厚生労働省
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採用時に年齢制限を設けるのは可能か
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新卒と言ってもその年齢はさまざまです。職場の労務構成や業務内容によっては、「一定の年齢の人だけを採用したい」という企業もあるでしょう。新卒の採用時に年齢制限を設けることは可能なのでしょうか?
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募集・採用における基本ルール
2007年の雇用対策法の改正によって、「年齢制限の禁止」が義務化されました。少子高齢化で景気が停滞する中、持続的な国の成長のためには「年齢ではなく、能力や適性に見合った活躍の場が与えられなければならない」というのが国の見解です。
例えば、新卒者を採用する際に「22歳に限る」と年齢制限を設ければ、法の規定に反します。求人票の記載だけでなく、年齢を理由に応募や面接を断る行為も許されません。 「重労働なので40歳以下の男性のみ」「PCスキルが必須なので20~40歳に限る」といった制限は全てNGと考えましょう。
年齢制限が認められる例外
雇用対策法では年齢は不問としながらも、年齢制限が認められる例外を設けています。ポイントは、特定の年齢でなければならない明確な理由をきちんと示すことです。以下に、例外事由の一部を列挙します。
- 長期勤続でキャリア形成を図るために新卒者などを募集・採用する場合
- 従業員の年齢構成の維持・回復ために、特定の年齢層を募集・採用する場合
- 定年年齢や継続雇用の最高雇用年齢との関係で、採用しても職業能力が形成される前に退職すると考えられる場合
上限を設ける場合は求職者や職業紹介事業者に対し、書面または電子媒体で理由を提示しなければなりません。 参考:年齢にかかわりなく均等な機会を|厚生労働省
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企業によっては、キャリア形成や職場の労務構成の是正を目的に、エンジニアの新卒採用を検討しているところもあるでしょう。新卒採用にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
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長期的な視野での育成が可能
新卒でエンジニアを採用するメリットは、企業の長期的な視野に基づいた人材育成をしやすいという点です。 新卒者や既卒者は、卒業後に入社した会社が「初めての会社」になります。まっさらな状態なので、組織文化や企業理念、ルールなどを受け入れやすく、企業が求める人材に育て上げることが可能でしょう。
会社の中核を担う幹部候補を育てるために、優秀な新卒者を採用する企業も増えています。中途採用のエンジニアはスキルが高く、即戦力がありますが、前職の組織文化やルールが染み付いていると、新たな組織になじめない可能性があります。 帰属意識が低い人の場合、条件のよい勤め先がほかに見つかるとすぐに離職してしまうため、長期的な人材育成ができません。
育成に時間と労力が費やされる
現役のエンジニアはスキルやビジネスマナーが一通り身に付いているため、自社の方法やルールを擦り合わせれば即戦力としてすぐに活躍できます。 一方、新卒のエンジニアは「業務としての開発は初めて」という人が大半なので、先輩社員が一から指導しなければなりません。
技術面だけでなく、ビジネスマナーも教え込む必要があり、育成に多くの時間と労力が費やされるでしょう。 とりわけ、新卒エンジニアを初めて採用する企業は、「育成のノウハウがない」「リソースが割けない」といった壁に直面します。 エンジニアの新人育成に関しては、外部講師による研修を活用する手もあります。
「ジョブサポート」のプロエンジニア育成コースは、参加者のスキルに合わせた個別指導型です。 技術面だけでなく、プロとしての心構えやビジネスマナーもしっかりと学べるため、新人育成に悩む多くの企業が活用しています。
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採用時の年齢制限には注意が必要
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新卒者の年齢には明確な定義はなく、新卒者に該当する範囲をどこまでとするかは企業によって見方が異なります。 雇用対策法では、募集・採用時の年齢制限を禁じているため、明確な理由がない限り「〇歳まで」という表記は違法です。
人事担当者はルールをしっかりと守った上で、採用活動を行う必要があります。 特定の年齢を採用しなければならない理由を除いては、年齢にこだわらず、能力や資質を正当に評価することが重要でしょう。