帰属意識とは?生産性の低下や人材流出を防ぐメリットも
「帰属意識」とは正確にはどのような意味の言葉なのでしょうか。ここでは、エンゲージメントとの違いやメリット・帰属意識を高める方法について解説しています。帰属意識について正しく知り、自社の人材育成に活用しましょう。
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目次[非表示]
- 1.帰属意識とエンゲージメントの違い
- 1.1.会社への帰属意識とは
- 1.2.エンゲージメントとは
- 2.帰属意識が薄れる主な原因
- 2.1.会社への不信感
- 2.2.VUCA時代に求められる考え方の変化
- 3.帰属意識の向上にはどんなメリットがあるのか
- 4.帰属意識が高いときの状態
- 4.1.従業員満足度が高い
- 4.2.エンゲージメントが高い
- 5.帰属意識を高める環境
- 5.1.社内でのコミュニケーションがある
- 5.2.適正に評価され達成感を味わえる
- 6.貢献したくなる組織を目指す
帰属意識とエンゲージメントの違い
人材確保や離職率の低下という問題の解決方法の一つとして、帰属意識を高めるという手段があります。日本では、帰属意識の高さは集団への貢献度が高いことと同義とされ昔から尊重されてきました。
しかし、「帰属意識」という言葉の意味を正しく捉えられている人は少ないかもしれません。混同されがちな「エンゲージメント」の違いとともに、具体的な意味を解説します。
会社への帰属意識とは
帰属意識とは「ある集団に属している自覚」「その集団の一員であるという意識」のことです。雇用されている社員であれば、会社に属しているという意識ということになります。
社員の帰属意識が高い状態を維持できていると、チームワークの向上や離職率の低下など、会社にとって有益なメリットがいくつもあります。帰属意識の高い社員を育成することは人材育成の課題といえるでしょう。
エンゲージメントとは
帰属意識と似た言葉に「エンゲージメント」というものがあります。英語の「engagement」には約束・誓約・婚約などの意味があり、人事領域では「個人と組織が互いに貢献しあえる関係性」を指す言葉として使われるようになりました。
帰属意識は社員から会社に対して一方的に向けるものですが、エンゲージメントは会社と社員の双方向に発生するもので互いに貢献し合うことを意味しています。
また、会社においてのエンゲージメントと帰属意識は、一方が高ければもう一方も高くなる可能性が高く関連性の深い要素です。
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帰属意識が薄れる主な原因
企業にとって、社員の帰属意識は高い方が望ましいでしょう。しかし、働き方や会社のあり方によっては薄れてしまうこともあります。その要因として挙げられるものを紹介します。
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会社への不信感
帰属意識が薄れてしまう要因の一つは「会社への不信感」です。
働いていてやりがいを感じない、給与が不当に下げられた、人間関係が悪化した、将来性への不安があるなどのマイナス要因が会社への不信感につながり、「この組織に所属していて自分は大丈夫なのだろうか」という気持ちが帰属意識を薄れさせてしまいます。
帰属意識の低下理由は離職の要因になるものと重複する傾向があります。帰属意識を高めたい場合、社員の離職理由を分析することで対策につながるでしょう。
VUCA時代に求められる考え方の変化
VUCA(ブーカ)とは
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
という四つの単語の頭文字をとった言葉です。先の見通しがきかない不安定な経済状況や労働環境が当たり前のようにある現代は「VUCA時代」と呼ばれています。
終身雇用制の崩壊やリストラの増加などによって帰属意識という言葉は下火になっていましたが、VUCA時代を迎えて再び注目を集めています。
HR Tech(テクノロジーを活用した人事)やICT(情報通信技術)の進化によりデータが集めやすくなったことで、帰属意識とエンゲージメントの高さは離職率の低下や生産性向上に結びつくことがわかってきたためです。
VUCA時代を迎えた今、社員の帰属意識を育むことが再び重要になってきています。
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帰属意識の向上にはどんなメリットがあるのか
帰属意識を向上させることによって、会社にどのようなメリットがあるのでしょうか。具体例を挙げて解説していきます。
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チームワークの向上
帰属意識が高ければ当事者意識も高まります。自分の業務のことだけではなく、どうしたら会社を成長させられるか、利益をあげられるかといったことにも意識が向くということです。
そうした意識を持った社員が増えれば、自分のチームがしている仕事は会社のためという共通目標と仲間意識が自然と生まれ、結果としてチームワークが向上します。チームワークの向上は、会社にとって生産性の向上などプラスの形で表面化するでしょう。
人材流出を防げる
帰属意識が高いということは、組織での仕事にやりがいを感じ会社を好ましく思っている社員が増えているということでもあります。会社への好意が高まれば、人材が他社に流れていってしまったり離職してしまったりという事態を防ぐことができます。
人材の流出は会社にとって大きな痛手です。会社は、将来的に自社の利益になることを期待して人材育成に投資します。せっかく費用をかけて育成した社員が流出してしまうと、人手不足だけでなく社内全体の熟練度の低下を招きます。
一人の社員が会社で働いている年数が長くなり離職率が改善されれば、育成にかけた費用が無駄にならず社員のスキル面での不安も解消されるでしょう。
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帰属意識が高いときの状態
帰属意識が高いとき、社員や会社はどのような状態にあるのでしょうか。帰属意識が高まっている状態を知り、社員の意識を把握しておきましょう。
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従業員満足度が高い
従業員満足度はES(Employee Satisfactionの頭文字をとった略語)とも呼ばれており、従業員が労働環境に満足しているかどうかを数値としてスコア化したものです。
従業員満足度の指標には、福利厚生・人間関係・職場環境・モチベーションなどの要素があります。従業員満足度が高いということは、現在の仕事に満足していると同時に帰属意識が高まっているということです。
この指標が高いときは社員のやる気も向上しており、生産性の向上や新規事業のアイディア創出など目に見える成果が出る状態になっています。
エンゲージメントが高い
エンゲージメントは組織と所属する従業員の双方向に働く信頼や愛着のことです。組織として成長しており、従業員が給与アップや労働環境の改善などの形で恩恵を受けられる状態になると、エンゲージメントは高くなります。
エンゲージメントに比例して従業員満足度が向上し離職率も低下していきます。会社への信頼度が上がるため、帰属意識が高まることにもつながります。
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帰属意識を高める環境
帰属意識を高めるためには労働環境も重要な要素です。帰属意識が高くなる労働環境には、次のような特徴があります。
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社内でのコミュニケーションがある
その環境下において自分の居場所があること、大切にされていると感じられることも重要なポイントになります。
社内でコミュニケーションが活発にとれているということは、従業員同士の気遣いや情報共有が十分にあるため、社員の不満や問題点を会社側がある程度キャッチアップできている状態といえるでしょう。
帰属意識を高めるには、社内コミュニケーションの場を積極的に提供することが有効です。例えば、上司との1on1ミーティングや社内イベント、社内掲示板による情報共有などを行うことでコミュニケーションを活発化させるといった方法が考えられます。
適正に評価され達成感を味わえる
帰属意識を高める要因として「評価が適正である」こともポイントです。社員の努力や成長が評価されなければ、社員はやる気を失い会社に対して不満を溜め込んでいくでしょう。
社員の働きを適正に評価することで達成感が生まれ、帰属意識の向上につながります。評価の際、売上や契約数などの目に見える数値だけではなく、勤務態度・同僚とのコミュニケーション・仕事に取り組む姿勢などを評価することも必要です。
数字だけで評価する仕組みでは、数値が目に見えやすい営業職などは適正に評価されても、直接売上や利益に関係のないバックオフィスの評価が十分でなくなってしまう可能性もあります。基準が公平でない評価は適正とはいえません。
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貢献したくなる組織を目指す
社員の帰属意識が高まれば、生産性の向上や離職率の低下が期待できるなど組織にとってのプラスが大きくなります。帰属意識を高めるための環境整備・教育は現代において重要な課題といえるでしょう。
帰属意識を高めるためには、適切な評価やコミュニケーションの活発化など労働環境の向上やエンゲージメントを高める施策も必要です。どうすれば会社に貢献できるかを、従業員が進んで考えたくなるような組織を目指しましょう。