配属先を決める流れとは。新入社員の離職を防ぐためにできること
人事部、各部のマネージャーの仕事の中でも、配属先の振り分けは毎年頭を抱える業務の一つでしょう。総合職、職種別採用ともに配属先を間違えると新入社員の離職や会社への不満へとつながってしまいます。そのようなトラブルを防ぐため、配属先の決め方や離脱防止の対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.配属までの流れ
- 1.1.新人研修での成果をチェック
- 1.2.配属面談を重ねて配属先を通知
- 1.3.仮配属とは
- 2.配属先の決め方
- 3.適材適所な配属をするポイント
- 4.離職防止の対策
- 4.1.相談に乗り、改善策を考える
- 4.2.同期とのつながりを築けるようにする
- 5.お互いの理解とフォローで定着促進
配属までの流れ
新入社員が入社したあとは、研修や社内イベントをこなしつつ会社の雰囲気に慣れてもらうことになります。人事部の仕事として最後にあるのが、配属先の決定です。
配属先の決定は社員のモチベーションを高めるとともに、生産性を高めるためにも重要になります。会社によって配属先を決めるまでにはさまざまな流れがありますが、まずは一般的な流れについて把握しましょう。
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新人研修での成果をチェック
まずは、新人研修での成果や適性を確認します。新人研修は入社前研修・初期研修・現場研修という区分で行うのが一般的でしょう。
特に初期研修・現場研修では部署への適正も確認する重要なものです。業務や他の社員との相性などをチェックし、新人1人ごとに適正のある配属先をいくつかピックアップしておきます。
エンジニア職など1ヶ月以上の外部研修を中心に活用されている場合、研修会社からの報告書は重要な情報として活用ができます。入社前の評価、外部研修機関での評価を確認する事ができ、より適性に合う配属先を考える事ができます。
配属面談を重ねて配属先を通知
配属先について、面談を重ねたうえで新入社員の意志決定を行います。研修期間中に複数回行うのが理想です。なぜなら、研修を通して社員自身が自分の適性やスキルについて知り、希望の配属先が変わることもあるからです。
面談を行わずに本人の意志決定を欠いてしまうと、モチベーションの低下や早期退職の要因になることもあります。可能であれば、本人の意志を汲んだ配属先に振り分けるのがベストです。
配属先が決まったら本人に通知を行いましょう。準備するものや職務内容など、必要なことについてもあわせて伝えます。
仮配属とは
一般研修や面談で適性を見るとはいっても、本当にその配属先に合っているのかを短期間で判断するのは難しいでしょう。作業現場に馴染めるかどうか、性格や資質の適性をしっかりと見極めるには、実際に配属先で働かせてみるのがよいでしょう。
一定期間、仮配属先でOJT研修を主体に研修に取り組んでもらう制度をとっている企業もあります。仮配属中にいくつかの部署を回ってもらい、本人の適性を調査・把握し、その後の正式配属への足がかりにします。
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配属先の決め方
配属先はどのように決めるのがよいのでしょうか。配属先の決め方の中でも、オーソドックスな方法について紹介します。
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適性で決める
配属先の決め方として最も重視されるのが、本人の適性です。適性は、主に能力適性と性格適性という二つの要素から判断することになります。
能力適性は研修結果やスキル・資格やこれまでの経歴など、性格適性は内向的か外向的かなどの性格傾向をくみ取ることで、本人と企業双方にとって最適な配属先が決まるでしょう。
重視したいのは、実は能力適性より性格適性だといわれています。能力は後から身につくことも十分考えられますが、指導や研修によって性格を変えることは難しく、性格適性の合わない環境はストレスを抱えやすいためです。
総合的な適性結果から配属先を決め、本人の意志を確認したうえで最終的な配属先を決定しましょう。
本人の希望
中途採用、エンジニアなど職種別の新卒採用のであれば、配属先は本人のスキルや経歴によって決めることが一般的ですが、総合職の新卒の場合は本人の希望を重視して配属先を決定する企業もあります。
法的には配属先の決定権は会社にありますが、本人の希望に添わない部署への配属は早期退職や辞退につながりやすく、本人希望をできるだけ尊重しようという方針のためです。
とはいえ、本人の希望より適性を優先するケースは多いようです。本人が希望していても適性が低すぎるような場合、希望通り配属したとしても業務について行けず、早期離脱につながる可能性が高まります。
その場合、一方的に希望を却下するのではなく、慎重に面談を行ったうえでなぜ希望を通さないのかを説明することが重要です。双方が納得したうえで配属先を決めるようにしましょう。
欠員補充や増員
欠員補充や事業拡大による増員のために新人を配属することもあるでしょう。
これまで担当者のいなかった業務を新人に担当してもらうケースや、退職者から引き継ぐために新人をあてがう場合もあります。
このようなときにまず考えなければならないのが、業務の重要度や作業内容が新人に任せられるものかどうかです。まだ社内のことをよく把握していない新人には業務過多になってしまう可能性もあります。
他のメンバーと作業を分担する・徐々に引き継いでいくなど、新人にどのような仕事の振り方をするかも、配属先を決める際にある程度決めておくとよいでしょう。
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適材適所な配属をするポイント
新人を適材適所に配属するために重要なのは、やはり適性です。「カルチャーフィット」と「スキルフィット」の二つの要素から、適性を見いだすポイントを見極めましょう。
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カルチャーフィット
カルチャーフィットとは、企業の文化や風習・環境と社員の心理的特性が適合することです。配属先の雰囲気や評価基準、働き方などの要素に新人がマッチングするかどうかを確認することで、さまざまなメリットが生まれます。
まずは、理念教育にかかるコストを抑えられるという点です。次に、配属先の環境に適性のある人材であれば摩擦が起こる可能性も低くなるので、早期退職や人間関係のトラブルといったリスクを抑えることができます。
雰囲気の合う職場ではストレスが少なくのびのびと働けるため、生産性の向上やスキルアップにも期待できるでしょう。
スキルフィット
スキルフィットとは、その人が持つ技術や資格・過去の経験や資質が配属先と適合することです。カルチャーフィットよりスキルフィットを重視するという会社も多くあります。
なぜなら、会社が人材を採用する理由は会社の成長や増益であり、そのためには会社に足りていないスキルや能力を持った社員を登用する必要があるためです。スキルフィットする新人を配置できれば、それだけ部署の生産性や業績がアップする見込みが高くなります。
新人研修や仮配属においては、スキルフィットしている配属先を見つけられるような人事の体制を整えることが重要です。
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離職防止の対策
配属が終わった後でも、早期離職を防止するためにできることを積極的に行いましょう。具体的に人事にはどんなことができるのか、離職防止のためにとれる対策を紹介します。
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相談に乗り、改善策を考える
例え適性がある配属先であっても、悩みや問題を抱えてしまうことは多々あります。「同僚や上司との人間関係がうまくいかない」「がんばっているのに評価につながらない」といった悩みを抱えてしまう社員は少なくありません。
こうした悩みについて誰かに相談し、打ち明ける場がなければ離職率は高くなってしまいます。相談室を設置する・定期的なヒアリングを行うなどして、悩みを持つ社員とともに改善策を模索しましょう。
同期とのつながりを築けるようにする
仕事をする中で孤独感を感じてしまうことも、離職の要因になり得ます。特に近年多くの企業が取り入れ始めているテレワークでは、対人コミュニケーションがとりにくいため孤独を感じやすくなってしまうのがデメリットです。
上司や人事部からの配慮も必要ですが、同期とは共有意識が芽生えやすいため、同期同士でつながりを構築できるよう配慮するとよいでしょう。
テレワークであればグループ研修やWebミーティングなどをこまめに取り入れ、同期と接点を持つ機会を増やすことが孤独感の軽減につながります。
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お互いの理解とフォローで定着促進
配属は人事部からの一方的な申告や新人の希望によって決めるのではなく、適性を考考慮し、新人にとって最適な配属先を決定することがモチベーションのアップや離職率の低下につながります。
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一方通行の決定にならないよう面談などを複数回行い、お互いにとって納得のいく決定をしましょう。働きやすい環境を作り人材を定着させるためには、配属後のフォローも重要です。