SQL言語はデータベース操作に必要なスキル。基本と役割を理解しよう
SQLは、ISO(国際標準化機構)によって規格が標準化されているデータベース言語の1つです。ビッグデータの解析などで注目されているこの言語はどのような使い道があるのでしょうか?SQLの基本と役割、特徴などについて詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.データベース操作に欠かせないSQL
- 1.1.SQL言語の基本と役割
- 1.2.プログラミング言語とは明確な違い
- 1.3.身に付けたいSQL言語は3種類
- 2.3種類あるSQL言語の詳細を把握しておこう
- 2.1.データ定義言語(Data Definition Language)の特徴
- 2.2.主なDDL命令文と機能
- 2.3.データ操作言語(Data Manipulation Language)の特徴
- 2.4.主なDML命令文と機能
- 2.5. データ制御言語(Data Control Language)の特徴
- 2.6.主なDCL命令文と機能
- 3.SQL言語を学ぶメリット
- 3.1.規格が標準化されているため汎用性が高い
- 3.2.データベース処理は社会需要が高まっている
- 3.3.「データベースエンジニア」という道も開ける可能性
- 3.4.「データベースエンジニア」に必要なスキルは?
- 4.データベースの操作にSQL言語は欠かせない
データベース操作に欠かせないSQL
クラウドの普及や紙媒体から電子化への移行によって、顧客情報や商品情報など、重要な情報をデータベースで管理する機会も増えています。
こうした管理に役立つのが、SQLです。SQLの理解を深めるために、まずはSQL言語の基本的な役割と種類について解説します。
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SQL言語の基本と役割
SQLはアルファベットをそのまま読み「エスキューエル」と呼ばれたり、「シークエル」「シーケル」と発音されたりするこもあります。
ISO(国際標準化機構)によって規格が標準化されているデータベース言語であり、データベースの操作には欠かせません。
SQLの役割は主に、データの中から特定のデータを抽出したり、検索や削除といった操作を行うためのものです。SQLでできることは、大きく分けると次の5つになります。
- データの定義
- データの操作
- データ・トランザクションの制御
- ストアドプロシージャ
- View
特に「データの定義・操作・制御」についてはよう使われるので、後ほど詳しく解説していきます。
プログラミング言語とは明確な違い
SQLはデータベース言語に分類されるもので、プログラミング言語とは異なります。プログラミング言語とは、コンピューターを操作するための言語です。
C言語やJava、pythonなどが該当し、電子機器やWebアプリを開発するのに用いられます。 一方、SQLはデータベースという膨大な情報の中から、特定の条件に当てはまるデータのみを抽出・検索するためのもので、直接機械やアプリを操作する命令はできません。
身に付けたいSQL言語は3種類
SQLにはいくつかの種類があり、その中でも特に覚えておきたいのは次の3つになります。
- データ定義言語(Data Definition Language)
- データ操作言語(Data Manipulation Language)
- データ制御言語(Data Control Language)
詳しくは後述しますが、この3種類の言語を覚えれば、SQLを使ったデータベースの操作はスムーズに行えます。
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3種類あるSQL言語の詳細を把握しておこう
先述した『データ定義言語』『データ操作言語』『データ制御言語』の3つについて、それぞれを詳しく解説していきます。
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データ定義言語(Data Definition Language)の特徴
英頭文字を取って『DDL』などと略されることもあります。データベースにおけるオブジェクトの構造や、オブジェクト同士の関係を定義するための構文です。
例えば「CREATE TABLE」と書けば、テーブルの作成を行います。また、そのテーブルの中にどんな情報がどんな属性で管理されているかを定義するためにも用いられるものです。
主なDDL命令文と機能
DDLでよく使われる命令文には、以下のようなものがあります。
- CREATE:データベースやテーブルを作成する
- DROP:データベースやテーブルを削除する
- ALTER:データベースやテーブルを変更する
- JOIN:テーブル同士を結合する
- TRUNCATE:データを全て削除する
いずれもオブジェクトの定義に関する命令文になります。「CREATE」は最もよく使われる命令文です。以下の例文を参照してください。
これは「出席番号・名前・性別」の情報が記載されている「学生」というテーブルを作るための命令文になります。後ろの英数字は、文字のデータの大きさなどを定義しています。
データ操作言語(Data Manipulation Language)の特徴
英語の頭文字を取って『DML』と略されることもあります。データの検索や更新、削除などを行う命令文で、SQLの中で最もよく使われるものです。
最もよく使われるのは「SELECT」の命令文です。これは、データの取得を行うための命令文で、条件を付け加えることで必要なデータだけを検索し、取得することができます。
DMLは目的や条件によって、多くのパターンと構文が存在します。データベースを管理するためには、よく使われるものについては覚えておきましょう。
主なDML命令文と機能
DMLでよく使う命令文は以下の通りです。
- SELECT:データベースを検索する
- INSERT:データの挿入をする
- DELETE:データの削除を行う
- UPDATE:データの更新を行う
条件文との組み合わせで命令する場合がほとんどです。具体例として以下のSELECT文を見てみましょう。
これは「従業員」というデータの中からWHERE句を使った条件絞り込みにより「性別が男性の従業員の名前を検索する」という命令文です。
このようにDMLは「条件を定義して、その条件に当てはまったデータに対して操作を行う」という命令をよく行います。
データ制御言語(Data Control Language)の特徴
データベースを扱う上で、特定のデータに関しては閲覧できる人を制限したいということもあるでしょう。そんな場合に使われるのがこのデータ制御言語です。
英語の頭文字を取って『DCL』と呼ばれることもあります。 その役割は主に、データベースへのアクセス権限の付与、あるいは剥奪です。
トランザクション(複数の処理を一つにまとめる操作)の開始・確定・取り消しといった操作を行います。 データのセキュリティを管理するために、DCLは重要な役割を果たします。
主なDCL命令文と機能
DCLの主な命令文と機能には、次のようなものがあります。
- GRANT:ユーザーに権限を付与する
- REVOKE:ユーザーから権限を削除する
- BEGIN:トランザクションを開始する
- COMMIT:トランザクションを確定する
- ROLLBACK:トランザクションを削除する
トランザクションについてもう少し詳しく説明します。複数の処理を1つにまとめると、セキュリティやシステムの面でメリットがあります。
例えば、「口座Aから5000円を下ろす」と「口座Bに5000円を振り込む」という2つの処理があるとします。もし口座Aの処理に成功したものの、口座Bへは何らかの理由で振り込めなかったというエラーが発生してしまうと、5000円の収支があわなくなってしまいます。
この2つの命令を一つの処理としておくことで、片方の命令だけが実行されることによる不具合の解消につながります。
このようなトランザクションの処理とユーザー権限の付与・剥奪が、データ制御言語の機能です。
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SQL言語を学ぶメリット
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規格が標準化されているため汎用性が高い
SQLはISO(国際標準化機構)で規格が標準化されています。プログラミング言語やデータベース言語を学ぶ際には、この「標準化されているか否か」はとても重要です。
仮に言語が標準化されていないと、一つの命令文に対して異なった意味が定義されてしまったり、あるいはある命令実行に対して、異なった方法がいくつも存在したりといったように、非常に運用しにくい状態が生まれてしまいます。
SQLは規格が標準化されているので、このような問題が発生することはありません。そのため、扱うデータベースが変わっても同じ命令文が使えますし、SQLを学習する際にも、どれが正解なのか迷うことがありません。
データベース処理は社会需要が高まっている
昨今はインターネットの普及によって、顧客情報の収集や取引先とのやりとりに至るまで全てを、オンラインで行うことが一般化されています。
こうして収集されたデータは、データベースに蓄積されます。データベースから必要なデータを検索する、データを修正するといった処理もオンライン上で行わねばならず、そのためのデータベース言語の重要性は不可欠です。
データベースに蓄積された情報を利用し、顧客の属性を分析したり、営業をかけたりといったマーケティングに活かす企業も増加しています。
このように、データベースの扱いは社会需要が年々高まっていて、今後ますます重要性が増していくことは明らかです。SQLを学んでおくことは、こうした社会需要に対応するためにも重要になります。
「データベースエンジニア」という道も開ける可能性
エンジニアには、車などの技術系のエンジニアからWebアプリ開発などを行うITエンジニアなどさまざまな種類があります。
その中でもデータベースを専門とした『データベースエンジニア』の需要は、データベース処理の社会需要に比例して高まっているのです。
SQLはデータベースエンジニアになるのであれば必須言語となる可能性が高く、高度に使いこなすことができればデータベースエンジニアという道も開けるでしょう。
「データベースエンジニア」に必要なスキルは?
データベースエンジニアに必要とされるスキルは、データベース言語の習得はもちろんですが、データベースそのものの設計や運用、インフラ設計のスキルも必要になってくるため、pythonやjavaなどのプログラミング言語の知識もある程度必要になってきます。
データのバックアップ戦略や分散化、負荷対策、セキュリティ対策なども含めた幅広い分野の知識が求められるでしょう。
しかしながらデータサイエンス分野のエンジニアはまだまだ数が少ないため、高収入・高単価の案件が狙える仕事でもあります。
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データベースの操作にSQL言語は欠かせない
SQL言語は、データベースの処理・操作を行うデータベース言語です。
社会全体のオンライン化に伴い、データベース処理の社会需要はますます増えていくことが予想されます。 あわせて、SQLを習得したITエンジニアの存在は企業にとって重要な課題となるのではないでしょうか。
SQL言語は、今後のITエンジニアにとって不可欠なものになっていくのかもしれません。