
新人エンジニア研修で個別指導を重視する理由|配属後を見据えた5つの取り組み
新人エンジニア研修で個別指導を重視する理由は、受講者によって技術知識や開発経験だけでなく、文章の読み方、理解度、質問の仕方、課題への取り組み方にも違いがあるためです。
ジョブサポートでは、全員が共通のカリキュラムで学習しながら、演習問題の成果物や進捗報告、課題への取り組み方を確認し、一人ひとりの状況に応じて指導方法を変えています。
受講開始時の経験だけで受講者を分類するのではなく、研修中に見えてきた課題に応じて指導することで、未経験者から開発経験者まで、それぞれに必要な学習機会を提供しています。
新人エンジニア研修の目的は、技術知識の習得だけではありません。配属後に仕様や指示を正しく理解し、自ら考え、必要な報告・連絡・相談をしながら仕事を進められる状態を目指すことも重要です。
本記事では、ジョブサポートが個別指導を重視する理由と、配属後を見据えた5つの取り組みを紹介します。
目次[非表示]
- 1.技術習得だけではない、配属後を見据えた教育
- 2.受講者ごとの理解度と進捗に応じた個別指導
- 2.1.進捗や理解度に応じた学習の調整
- 2.2.答えを教えず、自分で考える力を育てる
- 2.3.個別指導で対応できる範囲と限界
- 3.経験者と未経験者が同じ教室で学ぶ理由
- 4.指摘を学びにつなげるための関係性づくり
- 5.研修中の課題を企業と共有する仕組み
- 6.個別指導の運営に関するよくある質問
- 6.1.Q1. 研修の進捗が大幅に遅れた場合、どのように対応しますか?
- 6.2.Q2. 自分から質問や相談ができない受講者には、どのように対応していますか?
- 6.3.Q3. 複数の受講者が同時につまずいた場合でも、個別指導を受けられますか?
- 6.4.Q4. プログラミング未経験者と経験者が混在していても、同じ研修を受講できますか?
- 6.5.Q5. 研修期間内に目標の習得が難しい場合、企業とはどのように調整しますか?
- 7.まとめ|配属後の仕事につながる新人エンジニア研修を目指して
技術習得だけではない、配属後を見据えた教育
ジョブサポートの新人エンジニア研修は、プログラミングの基礎知識の習得(Javaで学びます)を前提に配属後の仕事に必要な基本行動も同時に育てることを目指しています。 技術教育を軽視するものではなく、技術を現場で使える形にするための土台づくりと考えています。
研修では、次のような力を重視しています。
- プログラミングの基礎知識を、Javaを通じて身につける(すべての前提となる力)
- 仕様書や教材を正しく読む
- 指示や要件を確認してから作業に入る
- エラーや不明点を自分で調べ、整理する
- 適切に報告・連絡・相談する
- 指摘を理解し、次の行動につなげる
弊社が実施した調査(「新人エンジニアの生成AI利用実態と指導負担に関する調査」、n=1,004)では、外部の育成支援サービスに期待する内容として「ヒューマンスキルの育成」が46.7%、「自走力の育成」が39.4%でした。配属後の現場では、技術力と並んで、こうした仕事の進め方が求められていると考えています。
これらを育てるうえで、受講者一人ひとりの様子を見ながら関わる個別指導が重要になります。
配属後のOJT担当者が抱える負担や、現場で求められる育成のあり方については、下記で詳しく解説しています。
現場任せのOJTはもう限界。指導担当者の7割が「限界」を感じる今、組織がすべきこと
受講者ごとの理解度と進捗に応じた個別指導
ジョブサポートの個別指導は、全員が同じ研修テキストとカリキュラムで学ぶなかで、講師が受講者ごとの成果物や取り組み方を確認し、指導の重点を変える運営方法です。
受講者ごとに別のカリキュラムを用意したり、受講開始時の経験で固定的にクラスを分けたりするものではありません。プログラミング未経験者から開発経験者まで、共通のカリキュラムで学習します。
研修は、Javaの基礎学習や開発演習を通じた業務実践型で、講義を約30%、自学を約70%とし、講師1名に対して受講者は10名程度を上限としています。
学習は、テキスト読解、課題実施、提出、講師レビュー、修正・再提出という流れで進みます。この過程で、不明点の相談や課題・修正内容の認識合わせ、研修期限の調整・相談も行います。
講師が確認するのは、演習問題の成果物が要求を満たしているか、進捗報告などの研修ルールを守れているか、課題への取り組み方、指摘を理解して修正できているか、分からない点を放置せず相談できているか、といった点です。
これらの状況に応じて、次の3つの観点から指導の重点を切り替えています。

※3つの指導方法は、受講者を固定的に分類するものではありません。研修の進行状況に応じて、講師が指導の重点を切り替えるものです。
講師は、演習問題の成果物や受講者の行動を確認し、必要に応じてマンツーマン指導の頻度や提供する情報の具体性を調整します。共通カリキュラムのまま、一人ひとりに必要な指導を行う仕組みです。
進捗や理解度に応じた学習の調整
テキスト課題の進捗が早く、講師が理解度にも問題がないと判断した場合は、計画より先へ進むことができます。また、標準課題の要求を満たしている受講者には、発展的な追加課題を提供し、さらに高い水準を目指します。
一方、進捗が早くても要求の理解が不十分だったり、再提出を繰り返したりする場合には、個別の課題を解消するための追加演習を行うことがあります。
答えを教えず、自分で考える力を育てる
「答えを教えない」という方針は、すべての受講者に共通です。
答えを先に示すと、読み返す・調べる・試すといった過程を省略しやすくなり、配属後に自分で問題を解決する力につながりにくいと考えているためです。
ただし、質問や相談を受け付けないという意味ではありません。講師は受講者の状況に応じて、提供する情報の具体性や指導の頻度を調整します。
「読む・考える・相談する・試す・修正する」を繰り返し、自分で答えにたどり着けるよう支援しています。
個別指導で対応できる範囲と限界
もちろん、個別指導ですべての課題を解決できるわけではありません。学習の進み方には個人差があり、研修期間内に到達できる範囲にも限りがあります。
そのため、研修中に見えた課題は必要に応じて企業と共有し、配属後のOJTへ引き継ぐことも重視しています。
経験者と未経験者が同じ教室で学ぶ理由
ジョブサポートでは、経験や習熟度の異なる受講者が同じ環境で学ぶことにも、教育上の意味があると考えています。 実際の開発プロジェクトがそうした環境だからです。
開発現場では経験や技術レベルの異なる人が一緒に働く
開発チームには、新人からベテランまでが同じプロジェクトで働いています。自分より経験豊富なメンバーと働くだけでなく、他のメンバーへの指摘やレビューを見聞きすることもあります。研修中からこうした環境に触れることは、配属後の現場を想像しやすくする一助になると考えています。ジョブサポートでは、自分への指摘だけでなく、他の人への指摘やレビューからも学びを得る姿勢を育てることに、教育上の意味があると考えています。
同じ教室でも全員が同じペースで学ぶわけではない
同じ教室で学ぶことは、同じペースで進めることを意味しません。進め方は、前述の個別指導で受講者ごとに調整します。同じ環境で学ぶことと、一人ひとりに合わせて支援することは、セットで運営しています。
他者との違いや指摘を学びにつなげる
経験の差がある環境では、周囲との進捗の違いに焦りや不安を感じる受講者もいると考えられます。その可能性は否定せず、学習環境への配慮も含めて関わります。そのうえで、他の受講者との経験の違いを受け入れ、周囲の取り組みや指摘から自分に必要な学びを見つける姿勢が、配属後にチームで働くうえで大切になると考えています。
なお、習熟度別にクラスを分ける方法にもそれぞれの考え方があり、研修の目的や受講者の構成によって適した形は異なります。ここでは、ジョブサポートがこの形を選んでいる理由をお伝えしています。
指摘を学びにつなげるための関係性づくり
個別指導で受講者に必要な指摘を伝えるために、まず相手の話を聞き、研修初期に講師と受講者の関係性を築くことが大切だと考えています。
以前は、問題やルール違反を見つけると、比較的早い段階で指摘していました。しかし、関係性が十分にできていない段階では、受講者が防御的になり、状況を正確に説明しにくくなったり、自分の問題を認めにくくなったりするケースがありました。
これらの経験から、講師の伝え方や関わるタイミングも見直し、現在は研修初期に受講者の話を傾聴し、考えや行動の背景を把握することを重視しています。
例えば、研修ルールを守れなかった場合でも、重大な違反を除き、初回はまず状況を確認し、改善の機会とします。同じ問題が繰り返された場合には、何が問題なのか、なぜ改善できないのかを受講者と話し合い、必要な指摘を行います。これはルール違反を放置するためではなく、受講者自身が問題を理解し、行動を改善できるようにするための指導です。
研修初日のオリエンテーションでは、「指摘は否定ではない」「疑問を放置しない」「バッドニュースファースト」といった心構えを伝えています。ただし、心構えの説明と信頼関係の構築は同じではなく、日々の対話を通じて相談しやすい関係性を築くことを目指しています。
講師との関係性が築かれると、受講者が自分からミスを認めたり、自身の行動を振り返ったりする場面も見られますが、すべての受講者に同じ変化が起こるわけではありません。
関係性づくりは、受講者に配慮すること自体を目的とするのではなく、必要な指摘を理解し、自らの行動改善につなげられる状態をつくるための取り組みです。 ジョブサポートでは、事実を隠さず報告し、問題に向き合い、自ら改善できる姿勢を育てることを目指しています。
研修中の課題を企業と共有する仕組み
ジョブサポートは、研修を企業から見えないものにしないよう、研修中に見えた課題を共有しています。 習得状況だけでなく、必要に応じて仕事の進め方や行動面の課題も伝えます。研修期間内に解決できなかった課題も申し送りの対象です。
共有は、毎週の週報と研修終了時の修了報告書で行います。配属先のOJT担当者が、研修で見えた課題を踏まえて関わり方を検討できるようにするためです。
週報と修了報告書の具体的な内容は、次の記事で詳しく解説しています。
個別指導の運営に関するよくある質問
Q1. 研修の進捗が大幅に遅れた場合、どのように対応しますか?
進捗の確認、個別の支援、企業との協議の3段階で対応します。
進捗の確認: 受講者が毎日作成するスケジュールと、実際の進捗を照らし合わせて確認します。状況は週報でも共有します。
個別の支援: 遅れが生じた場合は、遅れの原因に応じて、講師への相談頻度や学習スケジュールを調整します。質問が少なく、自分で調べることに時間を使って遅れる受講者もいますが、講師に相談することで時間を短縮できる場合があります。
企業との協議: 新しい単元に進んだ際に前の単元の理解が定着しておらず進めなくなるなど、個別の調整だけでは当初計画どおりの修了が難しいと講師が判断した場合、管理者様へ状況を共有し、必要な調整をご相談します。課題が見えた段階で早めに共有する「バッドニュースファースト」を基本としており、研修開始後の早い段階で課題が明らかになった場合には、初回週報を待たずに管理者様へ直接、研修計画についてご相談することもあります。
Q2. 自分から質問や相談ができない受講者には、どのように対応していますか?
研修初日に「疑問を放置しない」ことを心構えとして伝えています。基本は、受講者が必要に応じて講師のもとへ相談や認識合わせに来る形ですが、研修開始から5営業日程度は、原則すべての受講者に講師から声をかけ、自分から動くことが難しい受講者を中心に関わります。自分から相談に来ることが難しい受講者には、徐々に自分から相談に来られるよう促します。最初から自分で相談できる受講者には、より質の高い報告を求めるなど、受講者ごとに関わり方に強弱をつけています。
Q3. 複数の受講者が同時につまずいた場合でも、個別指導を受けられますか?
講師1名に対して受講者は10名程度を上限とする体制で運営しており、主担当講師に加えてサブ担当の講師も配置しています(いずれも自社の社員です)。直近4年の通学での新人研修では、受講者24名に対して、主担当2名・サブ担当2名の講師4名で対応した実績があります(講師1名あたり約6名)。
講師体制は研修規模や内容に応じて調整しています。
複数の受講者が同時に相談に来た場合は、1つの教室で運営しているため、主担当講師が他の受講者の質問対応やレビューなどで手が離せない場合も、別の講師が空いていれば質問に対応します。すべての講師が対応中の場合は待ち時間が生じることがありますが、待っている間は、受講者が課題について自分で調べるなどして進め、対応が終わり次第、講師から声をかけます。
主担当以外の講師が対応した質問や指導内容についても記録・共有し、講師間で情報が引き継がれるようにしています。
Q4. プログラミング未経験者と経験者が混在していても、同じ研修を受講できますか?
ジョブサポートでは、未経験者から開発経験者まで共通のカリキュラムで受講いただけます。
講師は研修テキストの演習問題の成果物や進捗報告、課題への取り組み方を確認し、受講者ごとの状況に応じて指導方法を調整しています。
理解に課題がある場合は個別指導を増やし、順調に進む場合はコードの品質向上や発展的な課題に取り組むなど、経験や習熟度の違いに対応しています。
詳しくは、第2章「受講者ごとの理解度と進捗に応じた個別指導」で紹介しています。
Q5. 研修期間内に目標の習得が難しい場合、企業とはどのように調整しますか?
研修期間の延長は行っていません。そのうえで、期間内の調整と、配属後のOJTへの引き継ぎを重視しています。対応の流れは次のとおりです。
- 講師が、習得状況と残された課題を確認
- 当初計画どおりの修了が難しいと判断した場合は、その時点で管理者様へ早めに共有
- 研修内容やスケジュールについて、管理者様と協議
- 合意した変更内容を受講者へ個別に説明し、研修期間内で対応
- 修了時に、習得状況と残された課題を修了報告書で報告。終了後の打合せで詳細をお伝えし、配属後のOJTへ申し送り
まとめ|配属後の仕事につながる新人エンジニア研修を目指して
個別指導は、受講者ごとの学習ペースを調整するための仕組みにとどまりません。技術の基礎を前提に、受講者ごとの課題を把握し、仕事の進め方や指摘の受け止め方まで支援することを目的としています。
- 技術の基礎とともに、仕事の基本行動を育てる
- 一斉講義ではなく、受講者ごとの理解度・進捗に応じて支援する
- 経験の異なる受講者が同じ環境で学ぶことに、現場への適応という教育上の意味を持たせる
- 指摘を学びにつなげられるよう、研修初期の関係性づくりを改善している
- 研修中の課題を企業と共有し、配属後のOJTにつなげる
これらは、研修を配属後の仕事につなげるための、ひとつながりの方針と運営体制です。
研修内容の詳細は資料でご確認いただけます。個別のご相談も承っています。












